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BMW、新型プラグインハイブリッド「330e」「225xe アクティブ ツアラー」発表会

電気のみで「330e」は36.8km、「225xe アクティブ ツアラー」は42.4km走行可能

2016年1月26日開催

「330e」と並んでフォトセッションに臨むビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル氏

 ビー・エム・ダブリューは1月26日、プラグインハイブリッドの追加モデルとして、スポーツ・セダン「3シリーズ」の「330e」、スポーツ アクティビティ ツアラー「2シリーズ アクティブ ツアラー」の「225xe アクティブ ツアラー」を2車種同時発表した。

 ニューモデルとなる330eの詳細225xe アクティブ ツアラーの詳細はそれぞれの関連記事を参照していただきたい。

「3シリーズ」のプラグインハイブリッド「330e Luxury」
展示車両はオプション品のタービン・スタイリング415 アロイ・ホイールを装着しており、これに伴い、タイヤサイズも純正の225/50 R17から225/45 R18に変更
エンジンは直列4気筒DOHC 2.0リッターBMWツインパワー・ターボの「B48B20A」型。エンジン単体で最高出力135kW(184PS)/5000rpm、最大トルク270Nm(27.5kgm)/1350-4600rpmを発生。モーターを内蔵する8速ATと組み合わせ、システムトータルの最高出力は185kW(252PS)、最大トルクは420Nm(42.8kgm)となる
外部電源から電力を受けとる充電ポートは助手席側のフロントフェンダー後方に設定。リッドに充電状態などを見分けるためのステッカーが貼られている
使用燃料は無鉛プレミアムガソリン。タンク容量は41L
走行用のリチウムイオンバッテリーをリア車軸間のトランクフロア下に搭載するが、荷室容量は通常時で370Lをキープ。フロア下にはファーストエイドキットを備える
トランク側面に充電用のケーブルを収納
リアシートのシートバックはトランク側からの操作で前方に倒すことが可能。トランクスルーで容量を拡大できる
330e Luxuryはダコタ・レザーシートを標準装備。シートカラーはオイスター
ドアトリムにもレザーやウッドなどの加飾を設定
「2シリーズ アクティブ ツアラー」のプラグインハイブリッド「225xe アクティブ ツアラー Luxury」
ボディサイズは4350×1800×1550mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2670mm
タイヤサイズは205/55 R17。ほかの2シリーズ アクティブ ツアラーと同じくランフラットタイヤを装着する
エンジンは直列3気筒DOHC 1.5リッターBMWツインパワー・ターボの「B38A15A-P160」型。エンジン単体で最高出力100kW(136PS)/4400rpm、最大トルク220Nm(22.4kgm)/1250-4300rpmを発生。これに合わせ、後輪を駆動させる最高出力65kW(88PS)/4000rpm、最大トルクは165Nm(16.8kgm)/3000rpmのモーターを装備して、システムトータルの最高出力は165kW(224PS)、最大トルクは385Nm(39.3kgm)となる
330eと同じく助手席側のフロントフェンダー後方に充電ポートを用意。専用充電コンセントは200V/15Aとなり、約3時間で満充電が可能
駆動用のリチウムイオンバッテリーは後輪車軸間に収め、フロアより上のラゲッジスペースに影響を与えていない。フロア下の収納スペースはリアオーバーハング側だけとなる
充電用ケーブルの収納ケースはカラビナでラゲッジ側面に固定される
インパネデザインは基本的に既存の2シリーズ アクティブ ツアラーと同様
マルチファンクション・スポーツレザーステアリングを標準装備
大型2眼式のメーターパネル。タコメーター下側にモーターの作動状態を示すインジケーターが用意されている
トランスミッションは6速AT。シフトセレクター前方に3種類の走行モードを切り替えるための「eDriveボタン」を設置
アクセルペダルはオルガン式を採用する
運転席の前方にスピードやナビのターンバイターン表示などを投影する「BMWヘッドアップ・ディスプレイ」のコンバイナを装備。全車オプション設定となる
8.8インチ・ワイド・コントロール・ディスプレイはカーナビやオーディオなどの操作に加え、車線逸脱警告システムなど先進安全装備のON/OFF設定なども行なえる
パーフォレーテッド・ダコタ・レザーシートを標準装備。シートカラーはキャンベラ・ベージュ
225xe アクティブ ツアラー Luxuryのドアトリム

「7シリーズ」にも2016年中にプラグインハイブリッドを追加

「225xe アクティブ ツアラー」と並んでフォトセッションに臨むビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル氏
「将来的には“BMWコアモデル”のすべてにプラグインハイブリッドを提供していきたい」と語るクロンシュナーブル氏

 同日、都内で開催された「330e」と「225xe アクティブ ツアラー」の記者発表会では、まず、ビー・エム・ダブリュー 代表取締役社長のペーター・クロンシュナーブル氏が登壇。2016年になって最初の記者会見ということで、製品紹介に先立って、2015年の振り返りを実施した。

 2015年のBMWグループジャパンでは、BMWとMINIを合わせて6万7000台に上る車両を販売。この数字は「カーインポーターとしてトップ」であるとしている。さらにBMW Motorradでは4700台以上を販売し、日本市場での最高記録となっているという。MINIでも2014年以降のディーゼルモデルや5ドアモデルなどの展開が功を奏し、過去最高の2万台以上を販売。BMWも4万6200台となり、2008年の金融危機以降で最高の結果であるとしている。

 このBMWの好調は、2015年5月に市場投入した「2シリーズ アクティブ ツアラー」「2シリーズ グラン ツアラー」というコンパクトセグメントのモデルが、とくにディーゼルモデルで好評を博し、ディーゼルモデルの販売比率も最大35%と大きく引き上げているという。これに加え、コンパクトモデルの「1シリーズ」、バックボーンとなる「3シリーズ」が一新され、年末にかけては「X1シリーズ」「7シリーズ」も全面刷新が行なわれるなど、2016年は最高のポジションでビジネスが進められると語っている。

2009年~2015年の販売状況。6年連続での成長となっており、とくにMINIモデルの販売拡大で2015年は2万台を大きく超えている
BMWのコンパクトモデルではクリーンディーゼルが人気を集めている

 2016年以降に進めていく新しい事業については、まず東京・お台場に新たに設けるBMWグループの「ブランド体験型販売拠点」についてクロンシュナーブル氏は解説。今年の夏にオープンするというこの新施設では、BMW、MINI、BMW Motorradの幅広い車種を展示するほか、広い敷地内で試乗やドライバートレーニングのプログラムも実施されるとのこと。このような施設はグローバルで見てもまだ存在しないもので、これによって自分たちが日本市場に対して自信を持って臨んでいることの現われであるとしている。

 このほか、春に「MINI コンバーチブル」をリリース。クリーンディーゼルモデルの攻勢を強めていくとしたほか、「M2」「M4 GTS」といったMモデルの日本導入について予告。さらに2016年には、7シリーズのプラグインハイブリッドや「リモート・パーキング車両」の販売も行なうことを明かしている。

 クロンシュナーブル氏は、同社の推し進めているサスティナブルモビリティ戦略に基づき、今後さらにプラグインハイブリッドのラインアップ充実を図っていくと語り、「i8」から始まったプラグインハイブリッドが「X5」、さらに同日発表した2モデル、暮れごろをめどに7シリーズと拡大。将来的には“BMWコアモデル”のすべてにプラグインハイブリッドを提供していきたいと意気込みを口にした。

2016年夏にオープンを予定しているBMWグループの「ブランド体験型販売拠点」
東京モーターショー2015で世界初公開された「MINI コンバーチブル」は春の発売予定
Mモデルの日本導入も積極的に展開していく計画
2015年10月に発売された新型「7シリーズ」にもプラグインハイブリッドを追加
プラグインハイブリッドはクリーンディーゼル、EVに続く環境対応車に新しい柱であるとしている
これまでは高価格帯のモデルでの展開だったが、ついにBMWの量販ラインアップにもプラグインハイブリッドが導入された
ビー・エム・ダブリュー株式会社 BMWブランド・マネジメント プロダクト・マーケティングマネジャー 岡田裕治氏

 具体的な製品解説は、ビー・エム・ダブリュー BMWブランド・マネジメント プロダクト・マーケティングマネジャーの岡田裕治氏から行なわれた。岡田氏は「BMWのプラグインハイブリッドモデルは、単にゼロエミッション走行が可能で、環境に優しいというだけではありません。すでにBMW i3やi8といったモデルで実証されていますが、BMWの電動化技術『eDrive』を採用するクルマは、優れた環境性能を実現する一方で、お客さまがBMWブランドに期待する『駆け抜ける喜び』という価値を、まったく犠牲にすることなく実現しているところにあります」と解説。

 また、この2モデル追加で4モデル。将来的な7シリーズのプラグインハイブリッド「740e」で5モデルと多彩な車種にプラグインハイブリッドを展開する同社だが、1つの技術を水平展開して使いまわすのではなく、搭載車両の特徴に合わせてシステムを使い分けていることを岡田氏は強調。「例えば、非常にスポーティなデザインを持つi8は、それ故にデザイン上の制約が非常に大きく、電気モーターを車両フロント側に、エンジンをリアにと並立して配置し、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動を使い分けています。また、車両中央にはプロペラシャフトではなく、非常に重いリチウムイオンバッテリーを配置することで、スポーツカーならではの最適な重量配分を実現しています」と語っている。

新たに2モデルを追加することで、BMWは日本市場最多のプラグインハイブリッドを持つメーカーとなる
3種類の異なる4輪駆動と新たに追加された330eの後輪駆動と、モデルの特徴に合わせて最適なシステムが与えられている
BMW iの「ウォールボックス ピュア」に対応。200Vでの充電が可能で、エンジンも搭載していることから急速充電には対応しない

「330e」の車名では、最初の3が3シリーズであること、続く30が3.0リッター自然吸気エンジン並みのパフォーマンスを持つこと、最後のeが電気走行可能なeDriveテクノロジーを採用していることを意味している。エンジンは「320i」にも搭載されている直列4気筒DOHC 2.0リッターBMWツインパワー・ターボ・エンジンで、これに最大トルク250Nmを発生する電気モーターを8速ATに組み込んで搭載。システムトータルでの最高出力は185kW(252PS)、最大トルク420Nmを発生。0-100km/h加速は、320iや320dを上まわる6.1秒を実現している。

 このほか、モーターの力のみで最高速120km/h、JC08モードでの航続距離は36.8kmを達成。走行用のリチウムイオンバッテリーもトランク下にフラットに収めており、クラスの平均的なセダンに求められる収納力を十分に備えているとしている。

高効率なガソリンエンジン、クリーンディーゼルに続く3つめのパワートレーンとしてプラグインハイブリッドを採用
直列4気筒 2.0リッターBMWツインパワー・ターボ・エンジンと8速AT内蔵のモーターの力を組み合わせ、後輪を駆動するFR方式
既存の人気モデルである320iや320d以上の動力性能が与えられている
「MAX eDrive」モードでは、エンジンを作動させることなく最高速120km/h、航続距離36.8kmを実現する
フラットなリチウムイオンバッテリーの配置でセダンとしての使い勝手をキープ
3シリーズ全車で標準装備する装備の数々

「225xe アクティブ ツアラー」の車名では、最初の2が2シリーズであること、続く25が2.5リッター自然吸気エンジン並みのパフォーマンスを持つこと、xが4輪駆動車であることを表わし、最後のeが電気走行可能なeDriveテクノロジーを採用していることを意味している。

 エンジンは「218i」にも搭載されている直列3気筒DOHC 1.5リッターBMWツインパワー・ターボ・エンジンをフロントに搭載。これに加え、リアアクスル上に最大トルク165Nmを発生する電気モーターを設置。2シリーズ アクティブ ツアラーの長所である広々とした室内空間に影響を与えないレイアウトとしている。

 システムトータルでの最高出力は165kW(224PS)、最大トルク385Nmを発生。0-100km/h加速は、218iや218dを2秒以上上まわる6.7秒にまで高めている。モーターの力のみでの走行では、最高速125km/h、JC08モードでの航続距離は42.4kmと、いずれも330e以上の数値を実現している。

2シリーズ アクティブ ツアラーでも高効率ガソリンエンジン、クリーンディーゼルに加え、3つめの選択肢としてプラグインハイブリッドをラインアップ
225xeではガソリンエンジンで前輪を、モーターで後輪を駆動。状況に応じて使い分けるオンデマンド式の4WDシステムとなる
4WDでタイヤのグリップ力をこれまで以上に有効活用できるようになり、加速性能も大きく高まった
「MAX eDrive」モードでは、エンジンを作動させることなく最高速125km/h、航続距離42.4kmを可能とする
実用性の高さと環境性能を高次元で両立
2シリーズ アクティブ ツアラー全車で標準装備する装備の数々
330eのラインアップ
225xe アクティブ ツアラーのラインアップ
プラグインハイブリッドの2モデルを同時発表
発表会ではクロンシュナーブル氏による充電の実演も行なわれた

(編集部:佐久間 秀)