インプレッション
2016 ワークスチューニンググループ 合同試乗会(STI編)
2016年7月28日 00:00
「STI(スバルテクニカインターナショナル)」「NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)」「無限(M-TEC)」「TRD(トヨタテクノクラフト)」という4社の合同グループ活動である「ワークスチューニンググループ」。
日ごろのモータースポーツシーンではライバルとして切磋琢磨しているが、アフターマーケットでは競合しないとのことから、お互いのレベルアップと効率化を図ろうと、1993年より合同で活動している。
その目的はモータースポーツとスポーツドライビングの振興にあり、一般ユーザー向けのサーキット走行会なども実施している。また、1年ぶりに舞台を伊豆の日本サイクルスポーツセンターに移して開催された報道向け試乗会もその活動の一環である。
そんななかで、これまではどちらかというとハイパフォーマンス系やスポーツ系に寄ったベース車を手がけてきたSTIが、今回はベーシックなスバル車が持っているよさを際立たせることをコンセプトに、「誰がどこで乗っても気持ちがいいと感じる、運転が上手くなったように感じる」という走りを追求したコンプリートモデル2台を用意した。
SUBARU XV HYBRID tS CONCEPT
「SUBARU XV HYBRID tS CONCEPT」は、そんなSTIのコンセプトを新感覚のアプローチで具現化した1台だ。より幅広いユーザーに気持ちのよい走りを体感してもらうことを念頭に置き、ベースにXV ハイブリッドをチョイスして間口を広げるとともに、目にした人に「面白そう!」「乗ってみたい!」と思わせるため、まずは視覚的な魅力を高めるべく、XVが持つ“スポカジ”的な要素を際立たせているのが特徴。アクセントカラーとして内外装の各部にオレンジを印象的にあしらっている。
それでいて中身はしっかり性能を出して、「運転すると“STIだ”と感じられる走りを追求した」との言葉どおり、ドライビング操作に対してとても素直に動いてくれることを直感する。加えてフラット感も高く、安定感のある走り味を実現している。これなら長時間のドライブでも疲労感が小さそうだ。もちろん、STIお得意のフレキシブルパーツ類もしっかり装着している。硬派なSTIのイメージを打破する新しいアプローチに注目だ。
レヴォーグ STI Performance Parts装着車
もう1台の「レヴォーグ STI Performance Parts装着車」は、また方向性が違っている。こちらはこれまでSTIが歩んできた路線の延長上で、「REAL SPORTS TOURER」をコンセプトとする。ひととおり手が加えられており、シャシーとボディにはフレキシブルパーツ類を追加。新たに設定された「フレキシブルサポートサブフレームリア」も装着されている。
さらには、風洞実験やニュルブルクリンクでの走行試験で空力効果を実証したエアロパーツ類によるダウンフォースや整流効果により、高速安定性と直進安定性の向上を図っている。レヴォーグもしかり、同じプラットフォームを用いているスバルの一連の車種は、ややリアのピッチングと跳ねが気になるものが多いと常々感じていた。ところがこのデモカーは、サスペンションがしなやかに動いてリアが落ち着いていて、路面への追従性が大きく向上している。これには前述のエアロパーツの効果も小さくないことと思われる。
持ち前の俊敏なハンドリングにさらに磨きがかかり、さながら“コーナリングマシン”としての様相を呈していた。より一体感が増して、ステアリングを切ること自体を楽しめる。また、エキゾーストキットの装着により、いかにも抜けのよさそうな吹け上がりとなっていた。