試乗インプレッション
発売初日に即完売!! 329PS/432N・mのバランスドBOXER搭載&軽量化したスバル「WRX STI RA-R」の性能は?
気合いを入れて、群馬サイクルスポーツセンターを走った
2018年7月19日 21:57
「RA-Rを群馬サイクルスポーツセンターで試乗していただきますので、よろしくお願いしますね」。編集部から受けたその電話を切った瞬間、身が引き締まる思いだった。「Record Attempt Racing(記録への挑戦)」の略称である「RA-R」は、実は以前も存在した由緒正しきネーミング。まだ「WRX」に「インプレッサ」の名前が付いていたころの話。時は2006年11月のことで、2代目「インプレッサ WRX STI spec C Type RA-R」というのが正式名称だった。
当時STIでは「S204」を発売した後のことで、基本コンポーネントはそれに準ずるものの、サーキットを意識した高剛性タイヤを奢っていたり、リアウイングを外すなどして軽量化に踏み切った、まさにサーキットアタッカー的存在だったのだ。今でもその時の衝撃を忘れることはできないが、とにかく刺激的で尖がっており、ちょっとでも気を抜くとリアがすっ飛んでいくようなピーキーなクルマだったように記憶している。あれが復活するのなら、コチラも気合いを入れねば。ステージは群サイだしプレッシャーはハンパじゃない。
群サイに到着してクルマの話を聞けば、やはり今回のRA-Rもスポーツ方向に特化したモデルになっているのだとか。プレミアム路線を歩む「S208」とは違い、エクステリアは潔いとさえ感じるほどシンプル。リアウイングはお約束のように存在せずである。男らしい!
クルマの詳細については別の記事ですでにお伝えしているので割愛するが、平たく言ってしまえば、エンジンはS208譲りのバランスドBOXERエンジンを搭載。振動レベルが量産型に対して減ったというデータも示され、洗練されたエンジンであることがそこから分かる。最高出力は329PS、最大トルクは432N・m。そして、何よりイマドキ8000回転を許容するというところも魅力の1つ。そろそろ「EJ20」型も時代を追われる時が来るのだろうが、そう思うと最後に1回くらいは所有しておきたいなんて、思わずオッサンしんみりしてしまう……。さまざまな内容を案内されているだけで、ハンコをついてしまいそうな勢いだ。
そしてRA-Rのお約束といっていい軽量化だって盛りだくさんだ。撤去したものを列記すると……、ポップアップ式ヘッドライトウォッシャー、リア間欠ワイパー&ウォッシャー、リアフォグランプ、フロントフードインシュレーター、メルシート(スペアタイヤパン内)、大型フロア下アンダーカバー(トランスミッション下、床下センター)、STIロゴ入りステンレス製サイドシルプレート(フロント)、リアシートセンターアームレスト(カップホルダー付)、スペアタイヤ。さらにはドライカーボン製エアロドアミラーカバーを造り、数グラムの軽量化を実現したというから本気も本気。ホイールを19インチから改め、18インチにサイズダウンしたことも効いているだろう。競技車両以外で久々にこんなクルマを見たような気がする。結果としてS208に対して30kg軽量な1480kgを実現している。
手間暇かけて製作されたエンジンと軽量化が魅せた走り
一体これでどんな走りを実現するのか? おそるおそる群サイを走り出す。すると、かつてのようなヤンチャな感覚はとりあえずなさそうな雰囲気。うねる路面を見事に吸収しつつ、タイヤが確実に路面を捉えていることが伝わってくる。これならイケるかも。思わずそんな感覚に次第に変化していく。スタビリティコントロールを解放し、いってみますか!
すると、やはりというか、当然のようにバランスドBOXERは心地いい。低回転のトルクの無さはEJ20のご愛敬だが、ブーストが立ち上がってからは爽快感溢れる吹け上がりである。カーンと甲高い音を響かせながら、密度の濃い吹け上がりを見せてくれるのだ。そこにはガサツな雰囲気は一切ない。手間暇かけられて製作されたエンジンであることは、確かに伝わってくるのだ。
そしてコントロール性も損なわれていない。エンジンが調教されているように、シャシーの仕立てもかつてのピーキーな感覚は一切ないのだ。剛性感溢れるブレーキと、確実なストッピングパワーが得られるところも安心感に繋がっている。リアウイングがないことで高速のジャンピングスポットを駆け抜ける時はリアが飛んでいくことを覚悟していたのだが、そこもスッといなしてしまうところはさすが。245/40 ZR18サイズのミシュラン製「PILOT SPORT 4 S」は、18インチとして初トライだったそうだが、グリップの変化も掴みやすく、群サイのような路面では扱いやすかった。さらに言えばしなやかさある乗り心地にも寄与しているように感じる。
撮影中はリアシートにも座ってみたのだが、不快な思いをすることはなかった。これなら4ドア車として十分に機能するだろう。もう昔のようなことはない。洗練され、安定感ある走りがあり、そして快適性だって損なわれない。それが時代の進化ということだろう。単なる競技車両だと思ったら大間違いだ。
ここまでやって車両価格を500万円以内に収めたことは驚くばかり。S208が626万4000円~710万6400円だったことを考えると、これはかなりのバーゲンプライス。限定500台ということだが、きっと即完売してしまうのではないだろうか?(編集部注:7月19日19時にスバルから完売のアナウンスあり) このクルマを手にすることができたオーナー様、本気で羨ましい!