試乗インプレッション
これぞオールラウンドスポーツカー。ポルシェ「パナメーラ スポーツツーリスモ」でロングドライブ
高速道路やワインディングなど、4 E-ハイブリッドもしっかりポルシェでした
2018年7月20日 00:00
後席3名乗車仕様のスポーツツーリスモ
オールラウンドスポーツカーのデザインとコンセプトを持つという「パナメーラ4 E-ハイブリッド スポーツツーリスモ」に乗ってロングドライブに出かけた。行先は軽井沢。しかもイラストレーター様(人妻)とともに、である。ポルシェ、軽井沢、そして人妻。これぞ成功者の週末といった感覚を持つのはオレだけか!? いずれにせよ、ポルシェは借り物であり、軽井沢はたまたまロケに都合がよく、人妻はお仕事で同乗しているだけというのが本当のところ(当たり前)。いらぬ妄想が先走り過ぎているが、落ち着きを取り戻してひとまずクルマを見ていくことにしよう。
すでに成功を収めたといっていいスポーツサルーンの「パナメーラ」をベースとしたスポーツツーリスモは、ワゴンというかシューティングブレークというか、とにかくルーフを少し引き上げてラゲッジスペースを確保した形をとったところが特徴的な1台だ。
ルーフエンドにはセグメント初となる大型の「アダプティブエクステンディブルルーフスポイラー」が装着され、伸びやかなデザインを実現。このスポイラーは走行モードによって角度が調整され、リアアクスルに50kgのダウンフォースを追加することも可能。170km/hで自動的にアップするほか、スポーツ/スポーツ+モードを選択した場合は自動的にパフォーマンスポジションに動くらしい。また、パノラミックスライディングルーフを開くとルーススポイラーは+26度に調整され、それにより風切り音も軽減するというから面白い。いずれにせよ、ボディ形状を改めようとも走りに対する姿勢を変えるつもりはないようだ。
ラゲッジ容量は520Lとパナメーラよりも20L大きくなったそうだが、今回のハイブリッドはバッテリーを床下に搭載していることもあって425Lとやや少ない。床下が見込めないハイブリッドモデルなら、このスポーツツーリスモのスタイルは必須となるのか!? ちなみに、今回は1泊2日分の荷物を積む程度だったから広すぎるくらいには感じた。まあ、これでも足りないならリアシートを折りたたむことも可能なわけだし、いずれにせよこれでラゲッジスペースが狭いなんていう人がいたなら、全く別のタイプのボディを選ぶべきだと勧めたい。それくらい十分な広さがそこにあったのだ。
スポーツツーリスモのもう1つの特徴として挙げておきたいのは、後席が3名乗車に変更されたと言うことだ。パナメーラシリーズとしては初となるこの仕様は、センターコンソールをまたぐ形になることからも分かるように、あくまでエマージェンシー的なものといえる。また、乗降性が容易に感じたし、室内に入ってからも頭上空間に圧迫感がないところが好感触だ。これならロングドライブで後席に押し込まれたとしても文句はないだろう。
パワートレーンはV6 2.9リッターで330PSを発生。それにモーター出力136PSが加わるというのだから贅沢だ。総合出力としては462PSだそうで、これでもシリーズ中では真ん中あたりのスペックというから驚くばかり。さすがはポルシェである。ちなみにハイブリッドを謳うが、実は充電することも可能。急速充電には対応していないが、自宅で充電して近所にお買い物くらいの使い方であれはEVとしても役立ちそう。つまりはPHV(プラグインハイブリッド)なのだ。
高速道路でもワインディングでも、さすがポルシェな乗り味
ここまで完璧に仕上げられていると、どこかにアラがないかと探りたくもなるのだが、自宅から走り出せば、静かにまわりに迷惑をかけることなく住宅街を駆け抜けて行くのだからスマート! 街乗りにおいても急加速を行なわなければエンジンが荒々しくなることも少ない。ただ、唯一気になったのは停止寸前のブレーキのコントロール性。回生ブレーキとの協調が難しいのか、どうもギクシャクしてしまうのはコチラのウデ不足だろうか? あまりにデキがよいので、ちょっとばかしソコが気になった。
だが、高速道路に入ってからは水を得た魚状態。約2.2tの車重をものともせず、豪快に速度を重ねていくのだから心地いい。そこにV6のキメ細かいエンジンフィールが加わるのだから気持ちもいい。矢のように突き進む直進性もなかなかだ。ピタっと安定しながらのクルージングは疲れを軽減させてくれる。これなら軽井沢も近く感じることができるだろう。
ワインディングに突入してからの一体感ある走りはさすが。重たいボディをものともせず、当たり前のように思い通りに動き、狙ったラインを外さずにコーナーを駆け抜けるその様は、さすがはポルシェといったところ。碓井バイパスのような高速コーナーは得意とするところで、何も起きることがない安定感はなかなか素晴らしかった。
後に細かなワインディングも走ってみたが、ボディの大きさを全く感じず、むしろ小さいのではないかと錯覚するような機敏な動きには、ただただ感心するばかり。これぞオールラウンドスポーツカーと言わんばかりの仕上がりがそこにあった。