試乗レポート

最新のNISMOパーツをセットした「スカイライン 400R」「ノートオーラ NISMO」をチェック

分かりやすい加速フィールの変化

 STI(スバルテクニカインターナショナル)、無限(M-TEC)、TRD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)、NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)の4社で構成されるワークスチューニンググループ。その4社による試乗会がツインリンクもてぎで行なわれ、NISMOは「スカイライン 400R」と「ノートオーラ NISMO」を持ち込んだ。

 スカイライン史上最強の400PS超のエンジンを搭載する400Rは、もともとチューニング志向の高い40~60代という比較的年代の高いファンが多く、彼らの期待に応えるべくラインアップした2月発売のスカイライン 400R専用ECM「NISMOスポーツリセッティング TYPE-2」、6月発売の「スポーツチタンマフラー」、11月に発売したばかりの「フロントアンダースポイラー」など、スポーツ志向のアップグレードパーツの数々が装着されていた。

NISMOがワークスチューニンググループ試乗会に持ち込んだ「スカイライン 400R」。ブースト圧と点火時期のチューニングを行なうことによりエンジン出力特性が向上し、全回転域で伸びのよいリニアな加速感を実現する「NISMOスポーツリセッティング TYPE-2」(14万3000円[価格には事前点検、納車前点検、作業工賃を含む])をはじめ、素材に高純度チタン合金を使用し、純正マフラーの21.4kgに対して10.8kgと約50%の軽量化を実現した「スポーツチタンマフラー」(43万7800円)、Cd値はそのままにフロントダウンフォースを大幅に向上させたという「フロントアンダースポイラー」(16万9400円)を装備

 今回は違いがよりよく分かるよう、ノーマルの400Rと乗り比べたのだが、エンジンフィールの差は歴然としていた。走り始めた瞬間から違って、アクセルレスポンスがより俊敏になっている。さらに、「低~中速域のブーストアップと、高速領域での点火時期の変更を行ないました」との関係者の言葉どおり、たしかに低~中速からの伸びやかな加速と高速域での爽快な吹け上がりが気持ちよい。低~中速域では排気量を増やしたかのような力強さを感じる。スポーツモードや変化しろをもっとも大きくしたというスポーツプラスモードを選択すると、よりその醍醐味を堪能できる。

ノーマルのスカイライン 400Rにも試乗

「もともとよいものをさらによくできるよう、いろいろな仕様を比較して検討しました。数値は変わりませんが、実際に乗ってみるとパワーが上がっているかのように感じるはずです。もっと過激な仕様も考えたのですが、あまりやりすぎてもよろしくないと思い、変更感はありながらも乗りやすさも確保できているところを探った結果、ちょうどよいところに落ち着いたかなと思っています。われわれとしても自信作です。NSIMOの走りを待っている大勢のお客さまにとっても、このドライブフィールはきっとご満足いただけるものと確信しています」という旨をNISMOの関係者も述べていたとおりだ。

 ちなみに、ワークスチューニング4社の中でECUを手がけているのはNISMOだけ。それは全国28か所の日産販売店で展開しているNISMOパフォーマンスセンターにおいて、ユーザーの管理がしっかりできるからだ。

 官能的な響きが味わえる400R専用のスポーツチタンマフラーは、お値段がそれなりに高いながらも人気は高く、手作りで生産も限られるところ、数か月のバックオーダーをかかえている状態だという。重量もノーマル比で約半分とかなり軽くなっている。

 V37後期用のフロントアンダースポイラーは、日産の空力解析技術を駆使して開発され、NISMOのレーシングテクノロジーによるエアロダイナミクスを取り入れてデザインされたもの。この場で効果を体感するのはさすがに難しいものの、十数%ものフロントダウンフォースの向上を確認しており、高速域での直進安定性やコーナリング性能を高めることができるという。

走りを求める層の期待に応える

 ノートオーラ NISMOは、もともと標準の「ノートオーラ」から大幅に手が加えられているベース車に対して、さらにNISMOの各種パーツがいくつか装着されていた。

 ただでさえ目立つクルマにさらにアクセサリーをフルに装着した姿は、小さいながらも大きな存在感がある。アドオンタイプのエアロパーツとガーニッシュ類の追加により、個性際立つルックスを見せている。同じくインテリアも雰囲気が大きく変わって、より特別感のある印象的な空間となっている。

 従来型のE12のMT車に向けて作ったという鍛造アルミホイールは、若干インセットがはみだす設定だったところ、E13のノートオーラに履かせるとちょうどよく、迫力あるデザインも効いて見た目のスタイリッシュさが大きく増している。

ノートオーラ NISMOはエアロパーツやLMGT4Sアルミロードホイール(鍛造)などをセット
カーボン柄とレッド&シルバーのコンビネーションでサイドロア部の印象を引き締める「サイドロアガーニッシュセット」はフロント、サイド、リアの左右8枚セットで3万800円
チェッカー柄のグラデーションが特徴的な「フロントグリルガーニッシュ」(8800円)
17インチのLMGT4Sアルミロードホイール(鍛造)は適合確認中のもの。タイヤはミシュラン「パイロット スポーツ 4S」(205/50ZR17)をセット
太陽光や夜間の後続車のヘッドライトのまぶしさを軽減する「マルチファンクションブルーミラー」(2万3100円)
アンテナ部にカーボン柄、リアウィングサイドにレッド&シルバーのコンビネーションを配してリアまわりの印象を引き締める「アンテナ&ウィングサイドガーニッシュセット」(2万4200円)
レッドがアクセントとなって魅力的なインテリアを演出するインテリアパネルは、「シフトノブベースフィニッシャー」が1万8700円、「ウィンドウスイッチフィニッシャー」が4万700円

 鍛造のアルミホイールということで、もちろん高い強度と大幅な軽量化を実現しており、それが走りにも効いている。もともと軽快なハンドリングが魅力のノートオーラ NISMOが、さらに軽快になっていることを体感。意のままのコーナリングを実現している。バネ下の軽量化により足まわりの動きがスムーズになりストローク感も増して、より路面をしなやかにかつしっかり捉えている感覚がある。これには開発中のエアロパーツによるダウンフォースの向上も効いているに違いない。

 e-POWERならではの瞬発力ある加速も、やはり魅力的だ。もともとノートオーラ NISMO自体がノートオーラの標準車に対して専用に味付けされていて、そこからさらに手が加えられたわけではないが、現状でも十分にスポーティな走りを楽しめる。

 従来型のノートNISMOも、NISMOが主催するドライビングアカデミーへの参加者が非常に多く、彼らのNISMOへの期待は大きいことをかねてよりヒシヒシと感じてきたと関係者も述べている。その思いに応えるため、人気の高いモデルゆえなおのこと、NISMOでは今後もスポーツパーツをはじめいろいろなアイテムをラインアップしていく予定という。

岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者の方々にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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