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写真で見る 日産新型「セレナ」(2022年フルモデルチェンジ)

新型セレナ。e-POWER車に新たに設定された最上級グレードLUXION(写真左)とハイウェイスター

 日産自動車「セレナ」はミドルサイズのミニバン。広い室内空間はもちろん、大人数乗車が可能なことや手頃な価格であることなどから、ファミリー層を中心に高い評価を受けているモデルだ。

 初代モデル(C23型)がデビューしたのは1991年。当時はSUVブームの最中ということもあり、クロカン四駆やステーションワゴンなどとともにミニバン(当時的にはワンボックス)の人気も高まりつつあった。そこで、商用車感が強かった「バネット」のイメージを一新。「FUN」「BIG」「EASY」を柱に、パーソナルカラーを強く打ち出した新型車としてリリースしたのだ。その結果、2代目にバトンタッチする1998年までの間、年間平均で3万4000台あまりを販売するヒットモデルとなった。それを受けて登場したのが2代目となるC24型で、こちらはさらに販売台数を伸ばし、年間平均は5万3000台へとアップ。その後、2005年に3代目(C25型)、2010年に4代目(C26型)、2016年に5代目(C27型)へとモデルチェンジを行なってきたが、ほぼ年間8万台あまりと高水準の販売台数を維持し、常にミドルサイズミニバンのトップシェアを争うモデルとなった。

 こうした背景を元に6代目となる今回の新型(C28型)では「家族との遠出を最大限楽しむためのミニバン」をコンセプトに据え、これまでの3本の柱をより強固なものにすべく開発されている。

 まず、BIGという点。C28型ではベースモデルのボディサイズは4690×1695×1870mm(全長×全幅×全高)と、わずかに(5mm)全高が高くなっている以外はC27型と変わらず。その寸法内で有効室内長2720mmを確保しつつ、多彩なシートアレンジを実現しているのが特徴だ。シートレイアウトは2列目がベンチシートとなる8人乗りが基本で、e-POWER車の最上級グレードのみ2列目がキャプテンシートとなる7人乗りを設定。どちらも2列目を倒したフルフラット化が可能なほか、共通の3列目は跳ね上げ収納に加え120mmの前後スライドも可能。数字的にはわずかではあるものの荷室スペースがC27型より拡大している点も見逃せない。

 EASYの面では先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」の採用が目玉。高速道路の同一車線内でのハンズオフを可能にしているのはミニバンでは世界初だ。こちらは最上級グレードのみ装着となるものの、通常の「プロパイロット」はそのほかのグレードにも標準装備。また、一部グレードに設定される「プロパイロット パーキング」は新たにメモリー機能を搭載することにより、一度駐車した場所を駐車枠として記録しておくことで、自宅など白線による区分けのない駐車場でもスムーズな駐車が可能になる便利機能だ。さらに、リモコン操作でクルマの出し入れを可能にする「プロパイロット リモート パーキング」、進化した360°セーフティシステムなど、最新モデルならではの安全性の高さもポイントだ。

 FUNの面ではパワートレーンの進化などによりベースの性能をアップ。エンジンや走行音を低減したほか、ドライバーが優しい運転をしやすい特性を実現することで、パッセンジャーは車酔いをしにくく、ロングドライブを楽しめる快適性を手に入れている。

 用意されたパワートレーンは2タイプで、日産の十八番「e-POWER」と、ガソリンエンジン車をラインアップする。

 専用エンジンで発電しモーターを回して走行する、いわゆる「シリーズ式ハイブリッド」となるe-POWERは「ノート」から採用された第2世代を採用。コアとなるエンジンは同社初となるe-POWER専用に新開発された「HR14DDe」を搭載。このユニットはノートなどに搭載される「HR12DE」をロングストローク化して1.4リッターに排気量アップしたもので、最高出力72kW/5600rpm、最大トルク123Nm/5600rpmと12%の向上を実現。さらにエンジンボディの剛性アップをはじめバランサーシャフト、フレキシブルフライホイール、高剛性クランクシャフトなどの採用によりエンジン回転数を抑制するとともに、エンジン騒音の低減による静粛性向上にも一役買っている。フロントに搭載されるモーターはC27型と同じく「EM57」を搭載。ただし、スペックは最高出力100kW、最大トルク320Nmから120kW、315Nmへと変更が加えられている。駆動方式は今のところ2WDのみ。先に発売されたノートや「エクストレイル」には4WDモデルが用意されているため、こちらも期待したいところだ。WLTCモード燃費はグレードによって異なっており、20.6km/L~18.4km/L。

 一方のガソリンエンジン車はC27型からキャリーオーバーとなる直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴「MR20DD」とCVTの組み合わせ。スペックは最高出力110kW(150PS)/6000rpm、最大トルク200Nm(20.4kgfm)/4400rpmで変わらないものの、制御ロジックの見直しなどにより、アクセル操作にリニアな加速を実現するなどブラッシュアップが行なわれている。こちらは2WD(FF)車だけでなく4WD車も設定。ただし、価格や発売時期は「追って発表」となる。WLTCモード燃費は2WD車が13.4km/L(最良値)、4WD車は11.6km/L(同)。

 グレードはe-POWERが「e-POWER X」「e-POWER XV」、外観をスポーティなイメージとした「e-POWER ハイウェイスター V」、新たに設定される最上級グレードとなる「e-POWER LUXION(ルキシオン)」の4タイプ。価格は順に319万8800円、349万9100円、368万6100円、479万8200円。ガソリンエンジン車は「X」「XV」「ハイウェイスター V」の3タイプで、価格は順に276万8700円、308万8800円、326万9200円。

撮影車両はe-POWER LUXION。ボディカラーはプリズムホワイト
e-POWER ハイウェイスター Vとe-POWER LUXIONはベースモデルと異なりバンパーと一体となった大型グリルを採用
バンパーコーナー部にある加飾部分は飾りではなく整流効果による走行安定性を狙ったダクト付
プロパイロット用単眼カメラの下部には標準装着のドライブレコーダー。e-POWER LUXIONに標準となる
Aピラーとドアの間にあるウィンドウはC26型からの流れを汲むもの
ロワ部のデザインは乗降時の足入れを考慮してのもの
タイヤサイズは全車205/65R16。e-POWER LUXIONのみブリヂストンの新車装着タイヤとなる「TURANZA ER33N」を装着するようだ
ヘッドライト横に専用の加飾が付く
テールゲートのバッヂ
ヘッドライトは光源が縦に並ぶ印象的なデザイン。全車LEDタイプが標準でe-POWER LUXIONはアダプティブタイプになりオートレベライザーも付く
LEDタイプのリアコンビランプも全車標準
第2世代に進化したe-POWERを搭載。エンジンは1.2リッターから1.4リッターに排気量をアップ
高出力モーターとエンジンを組み合わせたユニット。後方はリチウムイオン電池
ボア×ストロークをHR12DEの78.0×83.6mmから78.0×100.0mmとロングストローク化
バランサーシャフトの追加やフレキシブルフライホイールの採用などにより静粛性を向上
ガソリンエンジンはC27型から変わらず直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴ユニットを搭載
「アリア」などに採用されている統合型インターフェースディスプレイを採用。インパネ上部をフラットにすることでバンパー直前の死角減少を狙っている
全車本革巻ステアリングが標準。チルトとテレスコピック機能も備わる
12.3インチのアドバンスドドライブディスプレイはe-POWER LUXIONに標準、一部グレードにオプション。2眼タイプのメーターを備える「クラシック」とコンテンツを中央に大きく表示する「エンハンス」の2タイプが選択可能だ
エアコンやシフトボタンをシンプルに集約。車内スペースを拡大することで左右席間のウォークスルーもラクラク
エアコン下部には運転関連機能のボタンが並ぶ
シフトはすべてボタン式に
ペダルまわり
パーキングブレーキはステアリングコラム左側に
ステアリングコラム右側のスイッチ群。ドライブモードの切り替えはインパネではなくココに
インテリジェントルームミラーはe-POWER LUXIONに標準
NissanConnectナビゲーションシステムはe-POWER LUXIONのみ標準
独立した電源ボタンが用意されている
車両周囲を画面で確認できるインテリジェントアラウンドビューモニター。e-POWER LUXIONのみ標準装備
助手席前にはフタ付の収納スペースがある
下部にはグローブボックスも
インパネ下部にはUSB端子。e-POWER LUXIONはワイヤレス充電器も標準装備
e-POWER LUXIONのシート表皮は合皮を採用
ドアアームレストにはパワーウィンドウスイッチなどを配置
e-POWER LUXIONの2列目はキャプテンシート
前後だけでなく横スライドも可能でベンチタイプのようなアレンジもできる
一部のグレードを除きリアにもオートエアコンを装備
シートヒーター(1列目および2列目左右)は4WD車に標準。2WD車は「ホットプラスパッケージ」によるセットオプション
2列目用のパーソナルテーブルにはカップホルダーやコンビニフックを装備
X系以外のグレードには前席のシートバックに充電用USB端子を装備
AC100V電源はe-POWER車にオプション設定。室内とラゲッジの2か所に用意される
2列目のウィンドウにはロールサンシェードを装備。これもX系以外のグレードに標準となる
3列目は3名掛け
リクライニングに加え120mmの前後スライドが可能
シート左右にカップホルダーを用意。X系以外のグレードには充電用USB端子も
3列目用にもパーソナルテーブルを装備。これもX系以外のグレードに標準
2列目と3列目用のエアコン吹き出し口
2列目と3列目のシートを倒せばフルフラットに
前席と2列目では足を伸ばしてリラックスできるような使い方ができる
ウィンドウ部だけ開くことができるデュアルバックドアも継承。荷物の積み降ろしだけでなく車中泊などでも便利かも
こちらは8人乗りモデルの2列目
フル乗車時にもラゲッジスペースが確保されている
3列目を収納すればより広いスペースが誕生
フロア下にも大きな収納となるラゲージアンダーボックスを用意

セレナ AUTECH

 プレミアムスポーティをコンセプトに作り込んだカスタマイズモデル「AUTECH(オーテック)」も同時にラインアップされる。外観で目立つのは専用のドットパターンをあしらったフロントグリル。ロワ部にはメタル調のプロテクターも配置され、スポーティな印象を盛り上げてくれる。内装に関しても同ブランドのテーマカラーでもあるブルーのロゴやステッチを随所に採用している。

 ボディカラーは専用色となる「カスピアンブルー」など4色を含め全7色が用意される。グレードはハイウェイスターVベースの「AUTECH」(2WD)、e-POWER ハイウェイスターVベースの「e-POWER AUTECH」(2WD)の2タイプ。価格はそれぞれ373万3400円、415万300円。

セレナ AUTECH
C27型のAUTECHモデルを彷彿とさせるドットパターンの専用グリル
ダーク金属調シルバーの専用アルミホイール
ボディロワ部にメタル調のフィニッシャーを装着。ブルーのシグネチャーLEDリアコンビランプも同車ならでは
車内はブルーのステッチや合皮を使い上質なイメージに仕上げた
ブルーステッチの専用本革巻ステアリング
フィニッシャーは専用のダークウッド調を採用
シートは専用のブラックレザレット

セレナ LVシリーズ

 新型セレナをベースにした福祉車両も用意される。ラインアップは車いすのまま乗り降りが可能な「チェアキャブ」、電動でシートを回転、昇降が可能な「スライドアップシート」、病院などの送迎車としての利用を考慮した「送迎タイプ」「乗降サポートパック付車」など。

手動式スロープを備えたチェアキャブ
従来型はスロープを立てた状態で収納していたが新型ではフロアに格納することが可能になった
ウインチやベルトの操作部。リモコンも用意される
3列目への乗車時
2列目は専用のスリムなシートを採用
2列目への乗車も可能になった
2列目乗車時
スライドアップシート
リモコン。乗車していない際に移動スピードをアップする操作も可能になった
シートにも操作部を用意
助手席と2列目をカバーするワイドなステップも用意
車いすをラゲッジに搭載するための電動ウインチも設定