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写真で見る ダイハツ「コペン」

 バブル期に続々とデビューを果たした軽規格オープンカー。ホンダ「ビート」、スズキ「カプチーノ」、マツダ「AZ-1」と、それぞれ個性的なキャラクターで一定の人気を博したものの、残念ながら一世代限りで生産を終えてしまった。

 そんななか、2002年発売と最後発となったのがダイハツ「コペン」。こちらは10年あまりと長いスパンで生産が続けられたが、惜しまれつつも2012年に生産を終了。軽規格オープンカーの系譜は途切れてしまったかのように思われた。

 だがその翌年、2013年の東京モーターショーに2014年発売予定とされる2台のコンセプトカーが展示される。「KOPEN future included Rmz(コペン・フューチャーインクルーデッド アール・エムゼット:以下Rmz)」「KOPEN future included Xmz(コペン・フューチャーインクルーデッド クロス・エムゼット:以下Xmz)」だ。この両車には「同じ骨格のボディーをパネルの着せ替えによって変身させる」という新しい試みが取り入れられた。

 そして2014年6月。待望の市販モデルがリリースされた。モーターショーに展示された2タイプともに市販モデルとなって発売されるが、まず先行して発売が開始されたのがRmzの市販モデルにあたる「コペン ローブ(以下ローブ)」。Xmzは「コペン Xモデル(仮称:以下Xモデル)」として2014年秋に発売開始となる予定だ。

 ローブのエクステリアはRmzの印象ほぼそのままだ。特徴的なヘッドライト、リアコンビネーションランプは言うに及ばず、ホイールデザインも変わらない。コンセプトカーで取り入れた“着せ替え”という試みも、「DRESS-FORMATION(ドレスフォーメーション)」として実現している。

 これはボンネットをはじめ、トランクリッド、前後バンパー、前後フェンダー、ロッカー(パネル)、フューエルリッドといった11個所のパーツを樹脂パネル&ボルト留めとすることで、ユーザーレベルでの外装交換を可能とするものだ。ただし、ローブとXモデルではドアパネル形状が異なるため互換性がなく、ローブの外板を交換してXモデルに変更することはできない。また、2015年の年央には「第3のデザイン」とされる、初代コペンに似た丸形ヘッドライトを採用するモデルの登場もアナウンスされているが、こちらは前後ライトをアッセンブリー交換することでローブと互換性があるという。ヘッドライトを交換すると光軸の問題が出てくるため“ユーザー自身の手で簡単に”とはいかないかもしれないが、発売が楽しみなアイテムと言えそうだ。

ボディーカラーは注文色で2万1600円高のクリアブルークリスタルメタリック
トニコオレンジメタリックのボディーカラー
初代からリアの揚力を約60%低減するなど、ルーフを閉じた状態の空力バランスを最適化

 ドレスフォーメーションが実現されたのは、「D-Frame(ディーフレーム)」と呼ばれる新骨格構造を採用したことが大きい。これはフレームとモノコックのいいとこ取りをしたような技術で、この結果、骨格のみでボディー剛性を向上させ、初代モデル比で上下曲げ剛性を3倍、ねじれ剛性も1.5倍に高めている。パネル外板による剛性確保を必要としないため、着せ替えが可能になったというわけだ。

 エンジンは0.66リッター、直列3気筒DOHC DVVT(連続可変バルブタイミング機構)ターボの「KF」型ユニットを搭載。スペックは最高出力47kW(64PS)/6400rpm、最大トルク92Nm(9.4kgm)/3200rpmで、5速MT、または7速モード付きCVTとの組み合わせとなる。車両重量は5速MT車で850kgと初代より20kgほどアップしているが、ボディー剛性や操縦性などの向上を考慮すれば同等以下と言えるレベル。それでいて、燃費はCVT車で25.2km/L(JC08モード)と初代を遙かに上まわり、エコカー減税の免税(100%減税)対象。5速MT車は若干ダウンして22.2km/L(同)となるものの、エコカー減税の軽減対象(取得税60%、重量税50%それぞれ軽減)となっている。

 価格は5速MT車が181万9800円、CVT車が179万8200円。北海道地区はそれぞれ183万600円、180万9000円となる。ボディーカラーはイメージカラーとなる「リキッドシルバーメタリック」など全8色。インテリアカラーはベージュが標準で、ブラックをオプション(3万2400円高)で選択可能。さらに5速MT車にはスーパーLSDが3万2400円高でオプション設定される。

ルーフとバックパネルはボディーカラーにかかわらずブラック1種類。こちらも樹脂製パーツだが、ドレスフォーメーションの交換対象ではない
「アクティブトップ」の開閉シーン(音声はカットしてあります)
交換できるパーツはボルト締め付けとなっている
コンセプトカーではダイハツエンブレムだったが、市販モデルでは専用のコペンマークを装着。車名のCOPENは「Community of OPEN car life」の略
ドアハンドルは全車シルバー。ドア&トランクのキーフリーシステムも標準装備
ドアミラーは全車ブラック。こちらのボディーカラーはマタドールレッドパール(3万2400円高)
給油口は車両の助手席側に配置。レギュラーガソリン仕様でタンク容量は30L
トランクリッドにはコペン ローブのバッヂが付く
アクティブトップのリアウインドーには熱線入りガラスを使用
ヘッドライトの点灯パターン。軽自動車ながらロービームはなんとLED
リアコンビネーションランプの点灯パターン
エンジンは初代の4気筒から3気筒に変更。スペックは最高出力47kW(64PS)、最大トルク92Nm(9.4kgm)
5速MT車はエコカー減税の軽減対象。CVT車は免税(100%減税)対象
アフターマーケット商品のようなスポーティなデザインを採用したマフラー。サウンドも迫力あるもの
ローブ専用デザインの16インチアルミホイール。タイヤサイズは165/50 R16。撮影車両はポテンザ RE050Aを装着
標準仕様のインテリアはブラウン×ベージュの組み合わせ。カーボン柄のインパネガーニッシュは交換可能
ベージュカラーのシート
ブラックインテリアパックはオプション設定
ドアトリムやシートもブラックになる
革巻きのステアリングホイールを全車標準装備。チルト機構も採用
自発光式の3眼メーターにはオープニング機能が備わる。右下のマルチインフォメーションディスプレイにはアイドリングストップ時間や平均燃費などを表示可能
7速モード付きCVT車のシフトセレクター。Dレンジから右側に倒すとマニュアル変速も可能なSモードになる。シフトダウン時にはブリッピング制御も行う
5速MT車のシフトノブ
5速MT車のペダルレイアウト
インパネ中央のエアコン吹き出し口はシンプルなひと口タイプ
プッシュ式エンジンスターターが全車標準
インパネ下部にはオートエアコンの操作パネルを配置
ステアリングコラム右側のスイッチ群。VSC&TRCを全車標準装備
シフトレバー前のスペースにDC12Vソケットを装備
DC12Vソケットの右側はアクティブトップ開閉動作のインジケーター。開閉中は点灯し、終わると消灯する
サイドブレーキ両側にパワーウインドー、ルーフ開閉、標準装備のシートヒーター用スイッチが備わる
シート間にカギ付きのコンソールボックスとカップホルダーを用意
コンソールボックス内にトランクオープナーがある
シート後方の左右ロールバーの間に、風の巻き込みを防止するエアロディフレクターを装備
グローブボックスもキーロックが可能。ボンネットオープナーを内部に設置
ルーフ前端には手動のロック機構が備わる
オーディオは全車オプション。標準仕様ではAピラーのツイーターとドア内蔵の16cmスピーカーのみを装着
ドアポケットはメッシュタイプ
ルーフ収納時のトランク
ルーフ収納時の収納スペースを確保するセパレータを装備
クローズ時は9インチのゴルフバッグも収納できる広いスペースを確保
前後両方に開くトランクリッドのヒンジ類は複雑な構造。トランクリッドにはイージークローザーが標準装備となる

(安田 剛)