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パノラマルーフからのジリジリする暑さをカットできるカービューティープロのカーフィルムがあった

パノラマルーフからの景色を楽しみながら、暑さ対策もできるカーフィルムがあった

 本格的な春到来まであと少し。気温の上昇とともに“お出かけテンション”は高まる一方ではないだろうか。しかし、新型コロナウイルスの脅威は依然として残っているので、万全の感染対策をとりつつドライブを楽しみたいところ。

 ところで、今現在の自動車市場は何と言ってもSUVが中心。Car Watch読者の中にもSUVオーナーはたくさんいると思うが、パノラマルーフの使用中に暑さを感じた人はいないだろうか? インターネット上で情報収集する限り、暑さを気にしている人は確実に存在するし、新車の注文書を前にパノラマルーフを選択するべきか否か、迷っている人も結構いるようだ。

 そこでカーフィルムのプロである、カービューティープロに話を聞いたところ、パノラマルーフにフィルムを貼る人が増えているそう。筆者は東京都世田谷区にあるカービューティープロの本社にお邪魔し、パノラマルーフの実情とカーフィルムの有効性について取材を行なった。

カービューティープロは、1984年にボディコーティングやカーフィルムなどのカーディテイリング技術者を育成するためのスクールを開講。技術者たちは「プロファミリー」として全国各地で開業している。左からスクール事業部の内田好哉氏と瀧澤修氏、スクール生の桐生裕六氏、講師の森山友寛氏

さまざまな性能を持つカーフィルムは、今や立派な機能部品

「クルマに使用されている純正ガラスはUV(紫外線)こそ、99%カットと謳われていますが、IR(赤外線)については各社バラバラで統一されていません。そのため、純正のプライバシーガラスやパノラマルーフが暑いと感じる人が、IRカット機能付きのカーフィルムを施工するケースが増えています。防犯上の理由により、プライバシーガラスが薄くなったのもその理由の1つです」とカービューティープロの内田さんは言う。

 パノラマルーフは10年以上前から見かけるようになった装備で、最近は大小SUV車を問わず、装着率が高まっている。大型ガラス+シェードの組み合わせが一般的だが、ガラスに調色機能を持たせたタイプやガラス自体が開閉するタイプなど、種類はさまざま。ガラスならタイプを問わずフィルムの貼り付けが可能のため、カービューティープロではさまざまな車種に施工を行なっている。

 内田氏は「もったいないと思うのが、夏場は暑くてシェードを閉めっぱなしという人。私たちが取り扱うカーフィルムは、透過率やIRカットの数値が複数設定されており、お客さまのニーズや車種の特性に合わせて細かく選択することができます。フィルム施工により、人間が暑いと感じる赤外線の波長域の90%はカットされるので、腕がジリジリしたり、頬が暑かったりというのは、ほぼなくなります。真夏日にも積極的にシェードを開けて、ルーフからの景色を楽しんでもらいたいですね」と教えてくれた。

カーフィルムの施工を行なったカローラクロスのパノラマルーフ。サンルーフとは比較にならない広さで、真夏の炎天下では暑いと感じることもありそうだ。オプションでIRカットフィルムが用意されているが、スモークとダークスモークの2種類のみ。ルーフに貼るフィルムの設定はない

 知っている人も多いと思うが、ガラスの透過率は保安基準で定められている。規制がかけられているのはフロントガラスと前席両サイドの3枚だけで、透過率は70%。この70%以上をキープできていれば、前席の3枚にカーフィルムを貼ることも可能で、カービューティープロでも施工可能だ。運転席・助手席の夏のジリジリした暑さ防止や、冷房効果向上による快適性向上・燃費向上を求めて、フロントガラス、前席両サイドガラスにクリアタイプのIR/UVカットフィルムを貼る人も増えているそう。実際、その効果は大きいといえる(メーカーデータでは運転席周辺でフィルム施工前と後の温度差は約10℃にもなる!)。ちなみに、ルーフを含む後席左右とリアガラスには規制はない。

 パノラマルーフへのカーフィルム施工の最大の目的はIRカットによる暑さの低減だが、施工によるメリットは他にもある。第一に挙げたいのが安全性や防犯性の向上。万が一の事故発生時にガラスが飛散するのを防いでくれるし、ガラス破りの盗難に対する抑止効果も期待できる。また、エアコン効率の向上による燃費向上や、色の変更によるスタイリングの向上という面もあり、もはや機能部品と呼べるほどの多機能ぶり。

※IR(赤外線)=ジリジリした暑さのもと、UV(紫外線)=日焼けのもと

自動車のフロント以外のガラスは、粉々に割れる特性を持つ強化ガラスが使われているが、カーフィルムを施工することで、飛散防止だけでなく防犯性向上にも役立つ

カローラクロスにカーフィルムを施工してみた

 今回、カーフィルムの効果を実証すべく、パノラマルーフ付きのカローラクロスにカービューティープロが独自に取り扱うIRカット機能付きのフィルムを施工した。作業を行なったのは前出のカービューティープロの内田さん。普段はスクールで技術者を育成しているカーディテイリングのプロ中のプロだ。

 施工したのはパノラマルーフ、フロントガラス、前席両サイド、後席両サイド、リアガラスの7枚。カービューティープロが取り扱うフィルムは一般市販品と異なり耐退色性など各機能が優れたプロ仕様で、材質はPET材。パノラマルーフとフロントガラス、前席両サイドのガラスには視界の妨げにならないようにクリアをチョイス。

 後席両サイドとリアガラスにはもちろん純正プライバシーガラスが採用されているが、IRカット効果と、よりスタイリッシュにすることを目的に、後席両サイドはスタイリング重視で比較的濃いフィルム、リアガラスは視界を確保するためにやや薄めを選んだ。それぞれのガラス部位にフィットした、自分好みのフィルムが選べるのもカービューティープロの特徴。

 また、カービューティープロには、クリア~ダークスモークの濃淡、色、機能など、バラエティーに富んださまざまなIR・UVカットフィルムが53種類も用意されていて、きめ細やかにユーザーの要望にも応えてくれるのだ。

 では、カービューティープロ内田さんの作業を時系列で追っていこう。

施工前にティントメーターで純正ガラスの透過率を測定してみたところ、(左から)パノラマルーフが23%、後席両サイドが32%、リアガラスが31%であった。部位によって透過率の異なるフィルムを使用しているので、施工後の数値とぜひ比較してほしい。カービューティープロではカーフィルムを個別に選ぶことで、透過率をある程度揃えることも可能という
作業は一番短時間でできる後席両サイドから行なった。ガラスの寸法を計測し、おおまかな大きさにカット。さらにカービューティープロの貼り付け用施工液を外側のガラスに吹きかけ、フィルムを貼り付けたら、正確な寸法をマーキング
作業台の上でカットしたらアクリルボードに貼り付け、カッターナイフを差し込み、セパレーター(剥離フィルム)をはがす。さらに貼り付け用施工液をたっぷり吹きかけたら、いよいよフィルムの貼り付け
フィルムを滑らせながら、貼り付ける位置を調整。位置を決めたら、スキージ(水抜き&しわ取り)をして終了
未施工の小窓と比べればその違いは一目瞭然
透過率は32%から6%へと大幅に下がっている

カービューティープロのノウハウが際立つパノラマルーフへの施工

 パノラマルーフとリアガラスは、曲面の部分があるため、500℃の温風が出るヒートガンをあてて、フィルムの余っている部分をシュリンクさせ(縮ませ)ながら曲面に合わせて形状を整えていく「熱成形」と呼ばれる方法で施工していく(フロントガラスに施工する場合も同様)。

フィルムをルーフにのせたら、ヒートガンをあてながら、曲面に合わせてフィルムの形状を整えていく。カットする部分のマーキングが終わったら、フィルムを丸めてルーフ上での作業は終了。平たい後席両サイドの施工と比べると倍以上の時間がかかっている感覚
室内をしっかり養生したうえで、パノラマルーフ内側にフィルムを貼り付ける。位置を調整したらスキージして終了。文字にするとあっという間だが、苦しい体勢での作業を強いられるため、熟練の技が求められる。施工後、透過率は23%から21%へとダウン。クリアのフィルムでも透過率は少しだけ下がる
リアガラスも「熱成形」で施工。透過率は31%から9%へと低下。しかし、写真のように視界はしっかり確保されている。この他にも経年劣化による色落ちがない(原料着色)など、カービューティープロの取り扱うプロ用フィルムは高いクオリティを備えている
4面を貼り終えた状態。後席両サイドとリアガラスは濃さが増しており、スタイリッシュに仕上がった。パノラマルーフは目に見える変化はないものの、IRカット機能や飛散防止機能などがプラスされた恩恵がある

 3月も中旬に入り、本格的な春が到来。クルマを運転中、暖かさを感じるようになった。施工前と施工後、カローラクロスをドライブしたオーナーに話を聞いたところ、たくさんの効果が確認できたとのこと。

 まずはじめは、車内に入る直射日光の緩和。すべてのガラスにIRカット機能付きのフィルム(フロントガラスと前席両サイドは透明フィルム)を施工したため、太陽との位置関係を問わず、ジリジリ感が和らいだ。子供の熱中症や運転中に日焼けするリスクの低減が期待できる。また、エアコンの設定温度を上げなくても、暖かさをキープできるようになったという。これはガラス面の温かい側(内側)から寒い側(外側)に熱が逃げてしまう熱貫流抑制効果によるもの。IRカットフィルムはその効果が非常に高い。夏場は真逆になるので、季節を問わずコンプレッサーの負荷が低減し、燃費や電費向上のメリットを生み出してくれるだろう。

後席両サイドは色の濃いフィルム、リアガラスは視界を確保するためにやや色の薄いフィルムだが、施工前よりもよりスタイリッシュに仕上がった
ルーフに施工したのはクリアのフィルムなので、良好な見晴らしはそのままで、室内にジリジリと伝わってくる暑さを抑えてくれるのがありがたい

 そして、非常に分かりやすい効果がビジュアルの変化。後席から後ろのガラスが濃くなり、引き締まった印象に変わったが、車内からの必要な視界はしっかり確保されている。プライバシー性の向上も特筆すべき点。このオーナーは以前、別のクルマで交通事故に遭った際にガラスが割れた経験があり、「カーフィルムを施工したことで得られる安心感は高い」と語ってくれた。

 プライバシーガラスの普及により、カーフィルムの存在感が薄くなっていたのは事実だが、カーフィルムの技術革新と施工技術の進化により、再び存在感を取り戻している。何よりカービューティープロにはユーザー1台1台の細かいニーズに応えるノウハウがある。今年の夏はカーフィルムの施工にチャレンジし、愛車をグレードアップさせてはいかがだろうか?

カービューティープロでは独自にカーフィルムの有無による室温と燃費テストを行なっており、データを公表している。また、本社内では温度の違いを体感できるディスプレイが用意されており、フィルムの効果を手軽に体感できる。また、カーフィルムの施工希望者には全国のプロファミリーを紹介してくれるので、ぜひ問い合わせをしてみてほしい

Photo:井上誠