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トヨタ、2017年3月期第3四半期決算で通期業績見通しを営業利益1500億円上方修正の1兆8500億円に

スズキとの資本業務提携について早川氏「ゆっくりと考えていきたい」

2017年2月6日 発表

トヨタ自動車の2017年3月期第3四半期決算説明会

 トヨタ自動車は2月6日、2017年3月期第3四半期(2016年10月1日~12月31日)決算を発表。当期3カ月の売上高は7兆841億円(前年同期比3.5%減)、営業利益4385億円(同39.3%減)、税引前純利益は5875億円(同24.5%減)、当期純利益は4865億円(同22.5%減)。

 第3四半期累計期間(2016年4月1日~12月31日)の売上高は20兆1547億円(前年同期比6.0%減)、営業利益1兆5554億円(同32.5%減)、税引前純利益は1兆7640億円(同28.1%減)、当期純利益は1兆4327億円(同24.0%減)。期中の連結販売台数はグローバルで664万3000台と前年同期比15万台(2.3%)の増加となっている。

左からトヨタ自動車株式会社 常務役員 大竹哲也氏、取締役 専務役員 早川茂氏
決算結果を説明するトヨタ自動車株式会社 常務役員 大竹哲也氏

 同日決算説明会が開催され、同社 常務役員 大竹哲也氏と取締役 専務役員 早川茂氏が出席して、営業利益や所在地別の販売台数などについて説明した。

 9カ月累計の連結営業利益1兆5554億円の増減要因については、増益要因として原価改善の努力が3050億円、営業面の努力が3000億円あったという。減益要因としては為替変動の影響が7700億円、諸経費の増加ほかが4050億円、その他の要因が1802億円とした。

 一方、所在地別営業利益では、日本の販売台数は161万3000台と前年同期比13万6000台増となったが、為替変動の影響や諸経費の増加ほかなどにより営業利益は6940億円と前年同期比48.6%の減益。

 北米の販売台数は214万5000台と同4000台増、為替換算レート変動の影響などにより営業利益は3819億円と同10.4%の減益。欧州の販売台数は66万8000台と同5万台増で、営業利益は526億円と同3.8%の増益。アジアの販売台数は119万2000台と同17万6000台増。為替変動の影響および諸経費の増加ほかなどにより営業利益は3474億円と8.3%の減益となった。

 その他の地域 (中南米、オセアニア、アフリカ、中近東)の販売台数は102万5000台で、諸経費の増加ほかなどにより営業利益は770億円と16.2%の減益となった。

 なお、通期の業績見通しについては、外国為替相場の変動や通期の販売計画を上方修正したことなどにより、売上高は26兆5000億円と前回見通しより5000億円上方修正、営業利益1兆8500億円で1500億円上方修正、税金等調整前当期純利益2兆700億円で1700億円上方修正、当期純利益1兆7000億円で1500億円上方修正した。

 説明会後の質疑応答では、トランプ政権の影響に関する質問が集中した。不透明感が高まる北米市場について、大竹氏は「生産対応はこれまでの報告から変化はない。北米の自動車市場は2016年は1755万台のマーケットであったが2017年は1720万台程度。前年比98%程度を見込み、依然として大きな市場であるのは変わりない。しかし、市場の構成比がトラックやSUVにシフトしており、乗用車セグメントは競争環境が厳しくインセンティブも業界全体で上昇している。また、リース満了の中古車が多くなり中古車価格も下落傾向にある。我々としては2017年の台数は『カムリ』や『C-HR』といった新型車の販売促進、ライトトラック系の供給改善を図っているので前年並みの販売を2017年も見込んでいる。また、適正在庫となる管理をしているので、台数と収益のバランスしたオペレーションをしていきたい」と説明した。

トヨタ自動車株式会社 取締役 専務役員 早川茂氏

 日米首脳会談への期待感を聞かれた早川氏は「日米関係が安定して推移することで、国民も経済も発展する方向に向けてコミュニケーションを図ってほしい。また、両国間のトップの信頼感も重要になってくる」とコメント。

 また、同日発表されたトヨタとスズキの業務提携に向けた覚書を締結に関する質問に対して、早川氏は「昨年10月の記者会見以降、今日は具体的にケーススタディを進めていく項目について合意ができたので、両社でその覚書を締結したというのが今日の発表の趣旨。スズキさんとの業務提携を通じて、社会課題の解決、自動車社会の健全な発展に向けて提携していきたいということで話を進めてきた。環境や安全など多方面で技術提携に取り組むトヨタとして、業界内外での仲間づくりルール作りが必要と感じた。カンパニー制の導入など構造改革を進めていく中で、スズキさんのスピード感ある仕事の進め方などからたくさん学ぶ点があると感じている」と話した。

 さらに、資本業務提携に向けた話し合いがあるかについての質問があると、早川氏は「昨年10月のトップ会見で、資本提携についてはゆっくり考えると申し上げており、今もその状況でゆっくり考えていきたい」と話した。

2017年3月期第3四半期決算説明会プレゼンテーション資料