「ソウルモーターショー2011」注目車種を紹介 【韓国自動車編】 |
4月1日に「ソウルモーターショー2011」の開催についてお伝えしたが、今回はその際に紹介しきれなかった注目車をお伝えしていく。まずは韓国自動車業界から。
■現代自動車
韓国最大の自動車メーカーである現代自動車ブースで、もっとも目を引いたのは燃料電池車(FCEV)として出展されたコンセプト車「ブルースクエア(Blue2)」だ。今後のFCEVマーケットを牽引する意味合いも込めて名付けられ、同社のエコプロジェクト「ブルー・ドライブ」と、水素分子の化学式「H2」を絡めたネーミングということのようだ。
デザインはかなりダイナミックで、そのプロポーションはフロントからリアエンドまで存在感がある。インストゥルメントパネルには「ゴリラ・グラス」と呼ばれる強化ガラスと有機ELを組み込み、モーションセンサーを用いてドライブバーの動きに応じた操作を可能とする新システムを採用する。
現代自動車のFCEVコンセプト車「ブルースクエア(Blue2)」。フロントグリル内に組み込まれたLEDによって車両の動きを外部に知らせることが可能。「System-off」の表示が見える | リアバンパー下にも走行状態を示すLEDパネルを組み込み、「Eco-Drive」「Stop」といった表示を行う。写真は「ブルースクエア(Blue2)」のイメージビデオより |
■起亜自動車
現代自動車の傘下にありながら、ブランド上はライバル関係にある起亜自動車。ハイブリッド車でもソナタ・ハイブリッドの好ライバルとなりそうな「K5・ハイブリッド」を出展した。
K5は、昨年6月に韓国内でソナタの販売台数を抜いたこともある人気車。ボディーラインは起亜自動車ならではのデザインが施されており、再びK5ブームが訪れるかもしれない。ハイブリッドシステムはソナタと同一で、150PSを発生する2.0リッターガソリンエンジンと、41PSのモーターを組み合わせる。2次電池はリチウムイオンポリマー電池を採用する。
ソナタ・ハイブリッドと兄弟車関係にあるとはいうものの、デザインはソナタとは別モノ。起亜自動車ならではのアイデンティティーを持つフロントグリルも健在だ |
2010年釜山モーターショーで発表した「KEV1」をベースに、コンパクトSUVとして出展された「KEV2」。若い層をメインターゲットにしたアクティブなデザインをコンセプトとする |
■双竜自動車
韓国の双竜(サンヨン)自動車では、コンパクトSUVとして出展された「KEV2」に注目が集まった。双竜自動車はもともとSUVのラインアップが充実しており、詳細は明らかになっていないものの、この分野ならではのEVを提案する。
パワートレーンは2010年に発表済みの「コランドC EV」とほぼ共通で、リチウムイオンポリマー電池を搭載する。そのデータから推察すると最高速は150km/h程度で、航続距離は180km前後になるものと見られる。
■ルノーサムスン
韓国サムスンとの合弁企業であるルノーサムスン。ここでは電池を交換できるユニークなシステムを採用した「SM3 Z.E.」が話題を呼んだ。
SM3はすでに韓国内で販売されているミドルクラスセダンで、いわばそのEV版。2012年までに約600台の投入を予定している。航続距離は約160kmだが、バッテリー残量が少なくなったときに、バッテリーステーションを利用することで数分で電池ごと新しいものに交換できる。充電については通常8時間程度を必要とするが、急速充電を行えばバッテリーの寿命が短くなる。この両方を解決できるアイデアと言うことができる。
またルノーサムスンは、超大物級のニューモデルとなるコンセプトカー「SM7」も出展した。韓国内においては、大型車は現代自動車の独占状態が続くが、欧州車への人気が高まるとともにルノーグループもその分野への拡大を狙っての投入だ。全長5mの堂々としたボディーサイズを持ち、プレミアム感もたっぷり。詳細は発表されなかったが、発売は2011年後半としている。
ルノーサムスン「SM3 Z.E.」は、フランスで発表されているフルーエンスZ.E.の韓国向け車種。急速充電システムも同時に展示された | ルノーサムスン「SM7」。大型のフレームグリルが特徴で堂々たる存在感を放ち、ヘッドライトからリアランプまでプレミアム感を十分に感じ取れる |
(会田 肇)
2011年 4月 4日