ホンダ、一充電走行距離225kmの「フィットEV」リース販売開始 価格は400万円。最高出力92kW/最大トルク256Nmのギアボックス同軸モーター搭載 |
フィットEVのイメージスケッチ |
本田技研工業は8月31日、自治体や企業に向け電気自動車(EV)「フィットEV」のリース販売を開始した。リース価格は400万円で、今後2年間で約200台をリース販売する予定。
フィットEVは、1997年にリース販売した「Honda EV Plus」を原点する、5人乗りの都市向けコミューター。車両開発にあたってのキーワードは「Fun」「Mottainai」とし、「少ないバッテリー容量で、より長く走れること」「モータードライブの走りを、さらに究めること」「充電などにかかる時間のムダをなくすこと」を目指した。
フィットEVのボディーサイズは4115×1720×1580mm(全長×全幅×全高)、重量1470kg。未来感を表現したフロントビューは、FCXクラリティのイメージを継承したものとなっている |
動力源には、最高出力92kW(125PS)/3695-10320rpm、最大トルク256Nm(26.1kgm)/0-3056rpmを発生する、燃料電池車「FCXクラリティ」と同様のギアボックス同軸モーターを採用するとともに、東芝製の20kWhリチウムイオンバッテリー「SCiB」を床下に搭載し、交流電力量消費率106Wh/km、一充電走行距離225km(ともにJC08モード)という電費を達成。一充電走行距離については、三菱自動車「i-MiEV」の180km(Gグレード)、日産「リーフ」の200kmを超え、「世界最高の電費性能を達成」したとする。
バッテリーについては温度マネジメントが重要であることから、金属のロアケースの上に樹脂カバーで覆ったバッテリーモジュールを並べて固定し、床下に配置しながらバッテリーパックの後方に2つの冷却ファンを設置。これにより、走行と充電を繰り返してもバッテリーの上限温度を超えることがなくなるとともに、温度上昇によるパワーダウンの回避と長期にわたって使用した際の耐久性向上を両立させている。
また、減速トルクを電気に換えてバッテリーに蓄電する回生システムに、より多くの減速エネルギーが回収できる新開発の「電動サーボブレーキシステム」を採用した。同システムの採用により、従来の油圧ブースター式の回生システムでは困難だった、ブレーキペダルの踏みはじめから停止間際までの減速エネルギーの回収を実現し、従来よりも回生量を約8%向上させた。さらに、モータートルク減速と液圧ブレーキの配分が変化しても、ドライバーが違和感を覚えない自然なフィーリングを実現したと言う。
フィットEVの同軸型駆動モーター&ギアボックス | リチウムイオンバッテリー・モジュール | PCU(パワーコントロールユニット) |
エクステリアデザインでは、フロントバンパーと融合したメッキグリルをヘッドライトとつなげる、FCXクラリティのイメージを継承。また、ワイドスタンスを強調したリアバンパーと新造形のリアスポイラーにより、躍動感のあるリアビューに仕上げている。ボディーカラーはリフレクションブルー・パールの1色のみの設定。
ボディーサイズは4115×1720×1580mm(全長×全幅×全高)で、フィット ハイブリッドと比べ215mm長く、25mm広く、55mm高いスペックとなる。ホイールベースは2500mmで変わりない。重量はフィット ハイブリッドの1140kgから330kg増の1470kgとした。
インテリアでは、サトウキビ由来の物質を原料に含む「バイオPET(ポリエチレン・テレフタレート)表皮」を、シートやドアライニングに初採用したほか、センター部にスピードや推定航続可能距離など、重要な情報を集約した専用メーターを装備。専用メーターには、走行モード設定やアクセル・ブレーキ操作により色が変化するアンビエントメーターも備わる。
室内寸法は、フィット ハイブリッドから215mm長く、115mm低い2040×1415×1175mm(室内長×室内幅×室内高)となっており、室内幅は変わらない。
そのほか、バッテリー残量や車内温度などの車両情報の確認、充電やエアコンのON/OFFなどの操作が行えるEV双方向リモコンを搭載。また、フィットEV専用のアプリケーションをスマートフォンにダウンロードすることで、離れた場所からの情報取得やリモート操作を可能にしている。
ナビ画面(充電スタンド情報) | |
ナビ画面(推定航続可能範囲表示) |
シフトパターン | キーレスエントリー一体型キー(普通充電用リッドオープンボタン付) | EV双方向リモコン |
スマートフォンアプリの表示画面。写真は車両情報確認画面 | タイマー充電設定画面 | お出かけ前エアコン画面 |
充電スタンド検索結果画面 | 推定航続可能エリア表示画面 |
(編集部:小林 隆)
2012年 8月 31日