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データシステム、2014年夏以降の新製品内覧会を開催

CAN通信を高速処理する“PLD”対応品や後付けの安全装備などを紹介

データシステムが今後市場投入を予定する最新商品を一堂に展示
2014年5月28日開催

データシステム 代表取締役社長 荒井弘之氏

 データシステムは5月28日、都内で2014年の夏ごろに発売を予定する新製品や開発を進めている試作モデルなどを紹介する新製品内覧会を開催した。

 会場には同社が得意とするアイディアを凝らした電子機器系の新製品が多数展示され、解説員による説明が行われたほか、内覧会の冒頭でデータシステム 代表取締役社長 荒井弘之氏は「近年、自動車の平均使用年数は長期化の傾向にあり、アフターパーツマーケットは需要が拡大し続けています。本日は“クルマの神経”とも呼ばれるCAN通信システムに関する製品をご紹介したいと思います。CAN通信はクルマの各種情報を多くの車載コンピュータ間でやりとりするためのデジタル通信規格のことで、これまでは1つの情報に対して1つの通信線が必要なアナログ通信でしたが、デジタル化することによって、たった2本の通信線で多様な情報を扱えるようになるため、大幅な通信線の削減によってコストや重量が削減できます。最近では国産車でも採用車がどんどん増えてきいる状況で、まさに“クルマのデジタル通信革命”といえるものです」と説明。

「弊社ではこのCAN通信システムに早くから注目し、CANマイコンの使った製品を販売してきましたが、このたび、さらなるCAN通信速度の向上と情報量の増加に対応するため、超高速処理が可能な“PLD”による製品開発を進めてきました。そしてついにPLDによるCAN通信を使った製品開発に成功し、このPLD製品とスマホ関連製品、画像処理関連製品などさまざまな製品をご紹介したいと思います」と語ったあと、スライドを使って独自のPLD(Programmable Logic Device)について解説している。

PLD(Programmable Logic Device)はプログラム可能なICのこと
ホンダや欧州メーカーのニューモデルではCAN通信のデータ量が増加。従来のCANマイコンでは対応しきれない状態となっている
CANマイコンでは多数の通信が連続して発生すると、車両側と車載機器の情報伝達に問題が発生する場合も出てくる
PLDを用いた場合、通信速度が速いのでデータ量の増加や頻度の高さにも的確に対応。必要な情報だけに関与するため、通信に影響が出る可能性も低いという

 このほか、会場内で製品展示されたデータシステムの新製品を個別に紹介する。

TV-KIT/TV-NAVIKIT(PLDバージョン)

新しいPLDを利用したTV-KITシリーズの新製品

 内覧会の冒頭で時間を割いて説明が行われた新しいPLD技術は、同社の基幹製品である「TV-KIT/TV-NAVIKIT」に採用されて製品化される。TV-KIT/TV-NAVIKITはメーカー純正カーナビに追加装着して、走行中でも画面にテレビ映像を表示できるようにするアイテムで、同社の製品紹介Webサイトでも「運転者が走行中に画面を注視することは法律で禁じられています」と但し書きが大きく記載され、同乗者が移動中にテレビを楽しむための製品となっている。

 新しいPLDバージョンは、ホンダの「ヴェゼル」「オデッセイ」「フィット」、マツダの「アクセラ」、日産の「スカイライン」、フォルクスワーゲンの「ゴルフ」「ゴルフ ヴァリアント」、アウディの「A3」「S3」などの対応品が順次発売される予定となっている。また、PLDバージョン以外の新製品として、トヨタ車対応の純正風ビルトインスイッチを採用したTV-KIT/TV-NAVIKITも並べて紹介された。

同社の基幹製品であるTV-KIT/TV-NAVIKITの新製品。超高速処理を可能にしたPLD技術でCAN通信のデータ量が多い最新モデルにも対応。既存車種向けの従来品では、画面切り替えなどに使うスイッチを純正品のフィーリングに近づけたビルトインタイプを新設定

エマージェンシーストップシグナル

エマージェンシーストップシグナル「ESS421」

 費用対効果の高い安全装備としてニューモデルでの純正採用が増えてきた「エマージェンシーストップシグナル」を、同社では後付けアイテムとして製品化。2014年夏の発売予定と紹介されており、価格は未定。車速パルス(2、4、8、16、32)が検出できる車両に装着可能となっており、取り付けると50km/h以上のスピードで走行中に急ブレーキをかけた場合、ハザードランプが自動的に高速点滅。後続車にアピールして注意喚起できる。また、付属のスイッチを1回押すと、ハザードランプを2回点滅させる「ワンタッチハザード機能」も用意されている。

車速パルスが検出できるクルマに幅広く後付け可能なエマージェンシーストップシグナル。システム構成はシンプルだが、急ブレーキに対して自動的にハザードランプを高速点滅させ、後続車に注意喚起できる。「ワンタッチハザード機能」のスイッチはコンパクトで設置場所の自由度が高い

コーナーガイドセンサー

多彩なオプション品でシステムアップできる新製品「CGS252」

 エマージェンシーストップシグナルと同じく、2014年夏の発売予定で価格未定の「コーナーガイドセンサー」。新たに障害物のある位置を男女の音声で知らせてくれる「ボイスアラーム(VA2523)」がオプション装着できるようになる。

障害物との距離を、ビープ音で知らせる「スピーカーセット」、専用のグラフィカルモニターで知らせる「表示モニターセット」、音声で知らせる「ボイスアラームセット」の3種類が設定される
バンパーに装着する超音波センサーはメーカー純正品をイメージしたデザイン。メタリック塗装以外ならカラーリングも可能
距離数字と点滅表示で障害物を知らせる専用グラフィカルモニター

ドライブレコーダーコントローラー

ドライブレコーダーを防犯カメラとして活用するというアイディアの「ドライブレコーダーコントローラー」

 ここから先は、まだ開発作業を煮詰めている段階で、市場投入は少し先になるという試作モデルをご紹介。会場でも大きく注目されていたのは、ドライブレコーダーと組み合わせて使う「ドライブレコーダーコントローラー」という製品。近年製品数が増えてきたドライブレコーダーが、車両のシガーソケットから電力供給を受け、エンジンキーがACC(アクセサリー)に動いたことをトリガーに録画を開始することに着目。ダッシュボードなどに物体の動きを検知するドップラーセンサーを置き、センサーに反応があったときに一時的にシガーソケットに電力供給を開始して、まるでドライブレコーダーが防犯カメラのように不審者などを録画するというシステムだ。

 製品のコントローラーは車載バッテリーの電圧をチェックしており、電圧が一定以上に下がったときはドップラーセンサーのチェックを中止するセーフモードを設定。電圧低下でエンジンが始動できなくなるトラブルを回避する。録画機能はドライブレコーダーに任せ、製品はドップラーセンサーとコントローラーのみに限定できるので、製品化時の価格は1万円以下に抑えて手軽に導入できるようにしたいと解説員から説明された。

基本構成はコントローラーとなる本体とドップラー1個の組み合わせで、センサーは最大4個まで増設可能になる予定。車両の前後や、より広い範囲をチェックできるようになる。センサーの形状もいろいろと検討している段階で、今後変更になる可能性もあるとのこと
作動デモも行われ、人が通り過ぎたりするとドライブレコーダーの録画がスタートする光景がチェックできた。条件に合うドライブレコーダーなら手持ちの製品が使えることも大きな魅力

エアサスコントローラー

 エアサスコントローラー自体は同社で以前からラインアップされているが、開発中の新製品ではBluetoothを使ってスマートフォンと連動。自社開発する専用アプリによってiPhoneなどの画面上でエアサスの車高を上下させられる製品となる。

緊急時にはコントローラー本体の側面に設置されたボタンでも車高の調整が可能
純正状態に戻す「ノーマル制御」に加え、2種類の車高をワンタッチで切り替えられる「車高メモリー」を用意。4輪の車高をそれぞれ変更可能

マルチアングルカメラ

「マルチアングルカメラ」は180°広角カメラと歪み補正回路を組み合わせ、正像と鏡像を切り替えてフロント/リアカメラに利用できるほか、スイッチによるモード変更で「パノラマ」「パノラマ+トップビュー」「パノラマ+Wサイドビュー」など6つの表示モードを1つのカメラで実現する。

認識範囲の広い180°広角カメラながら歪み補正回路によって見やすい表示を実現。1つのカメラで6種類の使い方に対応する

(編集部:佐久間 秀)