【連載】NAOさんのDIYでクルマいじり 第11回:お尻がわなわなする微振動をやっつけろ! |
科学的に根拠が証明されている素材を使用しているエーモンの特殊制振合金ワッシャー「静音計画 ロードノイズ低減プレート」シリーズ。まずは一番お手軽なところでフロントシートに取り付けてみた |
■微振動を低減することで、一歩先の快適さへ
クルマのコンフォート性能は、絶対的な騒音レベルだけでは語れない。NVH性能(Noise=騒音、Vibration=振動、Harshness=乗り心地)については各自動車メーカーがしのぎを削って開発してくれているおかげで、どんなクルマでもモデルチェンジする度に快適になっている訳だが、限られたコストと物理的制約がある以上「これで完璧」というのは難しい。
例えばミニバンの場合、スライドドアやバックドアなど大きな開口部があるためセダンに比べるとどうしても車外からの進入騒音が大きくなりがちだし、車室内を最大限に確保するためボンネット部分が小さく、ダッシュボードの下にエンジンが入り込むようなレイアウトになるためエンジン騒音対策も難しくなる。
技術の進歩とメーカーの努力により、例えばヴェルファイアの場合は一昔前の上級セダンに匹敵するほどの静粛性が実現されているのだが、ある程度静かになると、今度は小さなノイズがまた気になってきてしまう(笑)。
ロードノイズ低減プレートの公式サイトに、「舗装されていない荒れた路面を走行時、突然現実の世界に引き戻された。」という一文があるのだが、筆者の使用パターンではオフロードを走行することはまず有り得ない。だが、オンロードのみの走行であっても「突然現実の世界に引き戻される」という表現がピッタリな、残念な舗装路に遭遇することは少なくない。
ゴーゴーとうるさい道路もあれば、なんとも言えない「わなわな感」がお尻に伝わってくるような……表現が難しいのだが、そんな道路もところどころにある。さて、ワッシャー数枚で、どこまで改善できるだろうか!?
「良くなった気がする」とか「信じるものは救われる」のではなく、ちゃんと科学的に効果を測定できるのが気に入ったぞ | 例によって、作業スペースは余裕をもって確保するのが吉。無理な作業は事故とケガの元なので要注意 |
■ボルトさえ見えれば、取り付けは簡単!
「ワッシャーをボルトに挟み込むだけで」、ようするに、とっても簡単に取り付けできますよー、という本製品の説明に嘘偽りはない。問題は、筆者の愛車のボルトがとっても奥ゆかしくて、なかなか顔を出さなかったのだ(笑)。良い子だから顔を出して……とバキバキ内装カバーを取り外して、早速フロントシートに特殊制振合金ワッシャーを取り付けていく。
座席シートの固定ボルトが隠れている場合は、内装を外す一手間が必要。愛車の構造を知るよい機会と思って、チャレンジしてみよう | 最近のクルマはシート周辺にもエアバッグが取り付けられている場合があるため、作業前にバッテリのマイナス端子を忘れずに外しておこう | ボルトは見えたが、ちょっと奥にあるため取り外しにくい。前回紹介したスーパー磁石とりもちシステムなどを活用したい |
ボルトがどのぐらいのトルクで固定されているのか興味があったので、トルクレンチで計ってみところ、おおよそ3kgのトルクで取り付けられていた | ドア側のボルトは作業スペースも広く簡単に取り外すことができた。くるくるくるくる | センター側のボルトの取り外しは、反対側のシートやインパネ下部などで作業スペースが狭く、長めのレンチだと作業がやりにくい。とはいえ、短いとボルトが固くて回らない |
取り外したボルトにワッシャーをはめてみた様子。ワッシャーはテーパー状になっており、盛り上がっている側をボルトの頭に向けてセットする | 鉄製のボルトは磁石を使うと取り出しやすい。小型のネオジム磁石は工具箱にくっつけておくと何かと便利だ |
■まだまだ続くよ、ボルト探しの旅
フロントシート固定ボルトのフロント側ボルト2本を攻略?したところで、フロントシート固定ボルトのリア側ボルトに取りかかろう。ややこしくてスミマセン(笑)。
ちなみに、ほとんどの場合座席シートは4本のボルトで固定されているが、4本いっぺんに取り外してしまうと椅子ごとひっくり返ったりずれて内装に傷を付けたりと面倒の元なので、特殊制振合金ワッシャーを取り付ける際はボルト1本ずつ作業することをお勧めしたい。
座席シート後ろ側の固定ボルトは……やはり見えない。前側同様に分解してみよう | まずは一番上のカーペットをめくるために、スライドレール端のカバーを取り外す。プラスチックのツメを折らないように注意 | そしてカーペットをめくると、ボルトが……見えない。ここでくじけてはいけないのだ |
■まずは普通に取り付けて試運転
内装カバーを取り外しさえしてしまえば、ワッシャーの取り付けは至って簡単だ。ボルトの締め付けトルクも特に気にする必要はなく、特殊制振合金ワッシャーが平に潰れるまで締め付ければよい。ちなみに前出のトルクレンチで測定してみると、やはり3kg程度のトルクでしっかりと取り付けできるようだ(実測値であり、正しい仕様かどうかは分かりません)。
助手席と運転席、それぞれに4枚ずつ特殊制振合金ワッシャーを取り付けて、さっそく近所試運転。
んー……本当に申し訳無いのだが「これはすごい!」という劇的な変化は感じられないぞ。だが、注意して走行してみると、いつも「お尻のわなわな感」を感じていた路面が、ちょっと快適になったような気がする。うわっ、「気がする」が出てしまった。ヴェルファイアの場合は最初から様々な対策が取られているようなので、ちょっとやったぐらいでは効果が体感しにくいのかも知れない。と、言うわけで……。
■いきなり応用編!? 秘技!禁断のワッシャー二枚重ね
座席シート固定部分をいろいろいじっていると、筆者の中にふつふつと欲望が沸いてきた。どうせここまでバラしたのだから、もっと分解してみたい(笑)。特殊制振合金ワッシャーをフツーに取り付ける方法は公式サイトでも丁寧に紹介されているので、ここは筆者らしい展開ということでご容赦いただきたい。
しっかり養生した上で座席シート固定ボルトをすべて外してみると、シート1脚でとんでもない重さがあることに気がついた。オットマン付きフル電動パワーシートということでモーターなども多く、重さの測定はできなかったが抱きかかえた感じでは30kg以上はあるように思われた。
シート下にはスーパーウーファーを取り付けているのだが、フロアからの余計な振動が減れば理論上音質にもよい影響があるはず。折りたたみ傘はご愛敬 |
この重たいシートを固定しているボルト部分には、相当な力が掛かるに違いない。だとすれば、ボルトの頭側だけではなく、フレーム側にもワッシャーを入れればより効果が高まるはず。もともとシート固定ボルトが見えているクルマであれば上下に挟み込むのも容易だが、今回は内装カバーがいろいろジャマなのでシートを丸ごと取り外して作業したほうが楽そうだ。内装を養生し、スノコを置いてシートをどかし、フロア側に特殊制振合金ワッシャーをセロファンテープで仮固定し、その上にシートを戻して特殊制振合金ワッシャー付きボルトを締め付ける。
どう考えたって、このほうが効果が出やすいに決まっているが、やはり効果てきめん!今度は「よさを感じとるぞ……」と気合いを入れなくても、明らかに「お尻のわなわな感」が減少しているぞ!これは大満足。
例によって、今度は逆にフロアからの「わなわな感」を感じるようになってしまったが……やっぱりサスにも取り付けるしかないらしい(笑)。
※そもそも「お尻のわなわな感」とは何だ?と言われそうだが、筆者が愛車でいつも走行する某国道の一部分で、不快かつ微妙な振動が伝わってくる舗装があり、それを指している。
※クルマいじりは自己責任で。無理な改造は事故や故障、怪我の原因となる場合があります。もちろん、違法改造はやめましょう。