F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第26回:ハンガリー~日本~ベルギーの旅

 ハンガリーGPが行われるハンガロリンク。

 市内からの高速道路M3でサーキットまで15分くらいの出口です。

 サーキット入り口では毎年たくさんのファンがドライバーの入り待ちをしています。

 ベッテル選手は今季限りですからね。

 みなさん熱心なファンです。鈴鹿よりは少ないかな。

 金曜日のFP1の直前、大雨。マーシャルポストで雨宿りさせてもらいました。右がトーマスさん、左がガーフーさん。

 撮影もこのポスト脇から撮らせていただきました。優しいマーシャルさんでよかった。ありがとうございます。

 ハンガリーで借りたメルセデス・ベンツのAクラス。

 前回も書きましたが、いいクルマでした。ガソリンで6速MTなんです、日本でも売ればいいのにと思うけれど、マニュアルミッションは日本では売れないなあ……きっと。

 日曜のレース後の深夜に高速のガソリンスタンドでレンタカー返却前に給油って思ったんだけども……売れきれ……。

 ガソリンが売り切れているというのは、ほぼ日本じゃないですよね。

 ハンガリー人カメラマンに聞いたら、インフレでガソリンが安いうちに給油しておこうという人が続出して、売り切れも続出なんだということでした。

 やっぱり、ウクライナの戦争の影響もあるんでしょうね。ハンガリーとウクライナは近いですし、避難してくる人も多いし。

 そういう意味でも、日本という国は島国ですし、ウクライナの戦争のこともどこか遠くの出来事として捉えている感じかもしれません。

 戦争はもう半年続いています。

 悲惨な状況は連日テレビで放送されていますよね、僕、news zeroって日本にいるときよく見るんです。

 有働さんがウクライナに取材に出かけていますよね。素晴らしいと思います。ほかの局は、行っているんでしょうか?

 実際に行っているのと、他の誰かが配信した画像を使い回すというのとでは、受け取る側の気持ちも全然変わりますよね。

 最近のテレビのニュースって、ひどいときにはSNSで拡散している動画をそのまま使っていたりお手軽すぎる気もします。見てる側からすると、それもう散々見てるし知っているしって感じですもの。

 まあ、F1という狭い世界の報道にしても、同じ感じではあります。

 報道する媒体に予算がない。現地に行く余裕がない。取材するという意識が薄れる。紙面に独自性がなくなる。面白い特集を作ろうとするより、ただ紙面を埋めるという感じになる。媒体に活力がなくなり面白くなくなる、売れなくなる……という悪循環。

 だって、予算がないんだもの……どうしようもない。確かに、どうしようもない。

 最近のF1はつまらない、昔はよかったということもよく聞きます。

 でも、現場にずっといる僕から見ると、F1の世界はず~~~~っと、もちろん世界一のレベルを保ったままであると思います。

 レギュレーションの変更で面白く感じる事柄は変化あると思いますが、世界一のドライバーが世界一のエンジニアたちが作ったクルマを、ヨーイドンして競争するんですから、面白くて魅力的ですよ。

 ただ、伝えるわれわれの熱量が不足しているのではないかと思えるんですよね。どうしたらいいのか、答えは容易には見つかりません。有働さんのウクライナレポートを自宅で見ながらそんなことを思ってしまいました。

 ハンガリーGPが終わって、5週間ぶりに日本に帰るときのハンガリーブタペストの空港。多くの旅行客で賑わっています。昨年とは大違いですね。

 帰国するにあたって、必要な72時間前までにやらねばならぬ、PCR検査。

 これは、厚生労働省が出している書式。これじゃなくても、同じ内容が記載されていれば大丈夫なんですけれど、もし記載漏れがあると日本行きの飛行機に乗せてもらえないという恐怖があります。ですので、この書式に書いてもらうところを探さねばいけません。

 それが、結構面倒なわけですし、お金がかかるわけで、ここぞと儲けたい業者にとってはこれ幸いとばかりに法外な値段設定をしてました。

 僕の印象では、PCR検査、日本国内の値段が飛び抜けて高かった。検査と、書類を作ると6万円とかあったものね……全くね……。

 今回、ハンガリーの空港で受けたこの書類を出してもらうまでの値段は6000円くらいだったような気がします。

 それも、9月7日から日本への帰国時も3回のワクチン接種証明があれば必要なしというニュースを今日見ました。よかったっす!

 ですから、3連戦の今回のイタリアからの帰国時は、普通に帰れることになりました! もう、よかったよ、本当によかった!

 PCR検査、たぶん、100回以上は受けました……ほとんどが鼻に突っ込まれるパターン。上手な人、いい加減な人、すごく痛い人。いろいろな国で、いろんなパターンの結果受け取りなど経験させていただきました。

 まあ、あの面倒な手続きやお支払い、もう勘弁してほしいですね。

 ハンガリーから日本への飛行機は飛んでないので、今回はヘルシンキ経由です。

 フィンランドと言えば、ムーミン。ということで、ムーミンカフェ。

 フィンエアーで成田まで。

 ほとんど同時にJALも飛んでいたんですけど、今回はフィンエアーでした。すごくガラガラで3席確保して寝ていけたのは、超ラッキー!

 ロシア上空が飛べないので真北に行ってぐるっと回って成田という航路。飛行時間もプラス2時間半くらいかな。

 成田空港着。ホッとしますよ。やっぱり、日本はいいです。

 3週間の夏休みは、何をしていたかと言いますと。

 富士のSGTに行ってました。EOS R7を借りて少し撮ってみたりして。

 御殿場のインター近くでカツ丼セット。おいしくてね! 安いし!

 日本は最高です!

 あとは名古屋と東京でホンダのシビック TYPE Rを撮影しましょうというイベントのお手伝いをさせていただきました。

 参加していただいた、たくさんの方々はみんな一生懸命。嬉しかったですね。

 スポーツカーはカッコよくないといけません。今回のTYPE R、カッコいいですよね!

 名古屋でいただいた、ひつまぶし。まあ、おいしかった! 日本最高です!

 神保町の大好きなうどん屋さんでワカメうどんと野菜天。安定のおいしさ!

 絶対に海外でこんなおいしいうどんは食べられませんから!

 煮干しそば! これもすごくおいしかった! 禁断の替え玉してしまいました!

 もうやっぱり、何度も言いますけど、この値段でこの種類の食べ物を食べられる日本って最高です!

 大吉と散歩する毎日は、いいものです。そして、写真整理と原稿書きの毎日でした。

 あっという間に3週間が過ぎてしまいます・・・

 そして、夏休み明けは、3連戦。ベルギー、オランダ、イタリアです。

 JALラウンジで、いつものカレーにしようと思ったんだけど、今回は牛丼にしてみました。おいしかったですよ!

 まずはフランクフルトまで飛びます。搭乗から降機まで約15時間。ほぼ満員のエコノミーは辛かった……。

 フランクフルトから3時間弱で定宿に到着。

 今回のレンタカーはオペル・コルサ。ガソリン、6速MT。よく走るし、乗り心地もいいし、やっぱりよくできたクルマですね。

 でも、レンタル代が高い。2週間で保険込みで9万円です! 昨年の倍以上かな……困るわあ……。

 ドイツ、フランクフルト空港から約3時間でベルギーの定宿まで走ります。夕日がきれいでした。

 21時過ぎに宿に到着して、ペヤング!

 そして、仕事をしなきゃと思っていたものの、ちょっとベットで横になってしまい、寒くて起きたのが夜中の2時。布団に入り直して寝ました。疲れがね……。

 部屋の窓からいつもの風景、いい感じの田舎村です。

 充実の朝ごはん。毎年変わらず、おいしい蜂蜜が嬉しい!

 今回ベルギーGPで一番気になっていた、オールージュのコース改修。コースのレイアウトは変えず、エスケープゾーンを増やして安全性を高めました。

 その結果、われわれが立つ場所が後ろにずれたわけです。随分と撮影できる位置が下がることになりました。困ったなあって感じが正直なところです。

 時代の流れとして捉えるしかないんですけどね。

 コース脇のアスファルトの広告スペース。右側の掃除機みたいな黄色い物体が、エミレーツのロゴの下書きをしています。仁王立ちの人が点々を結ぶことで、ロゴを描くみたい。

 なるほどね、進化してますね。

 ハース、タイヤエンジニアの冨塚さん。夏休みで日本に戻るその日にコロナ陽性になってしまって、帰国できずという夏休みだったそうです。

 まだまだ、コロナが怖い時期は続きそうです。でも、まあ、なるべく気をつけても、なるときはなるし、ならないこともある。運ですね。

 1コーナーのアウト側は一転グラベルに変更になりました。スタート直後にどうなるのか……。

 F2の岩佐選手。好調を維持して後半戦も大暴れしてほしいです!

 金曜日は雨予報が出ています。どんな展開になるんでしょうね。

 去年みたいに、雨の中、寒い中、6時間も待たされて終わるようなことがないように、お天道さまにお願いしなきゃ!

 今年で終わるかもしれない、スパでのF1。この素晴らしいコースとF1はお似合いだと思うんです。僕個人的には、ぜひ継続してほしいと思います。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。