F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第62回:レッドブル・ホンダの12連勝に、角田選手の10位入賞! うれしいことがたくさんあったベルギーGP

 ベルギーGPです!

 大好きなスパフランコルシャンサーキット。今回はたくさんいい出来事がありました。

 その1は、われらがホンダが12連勝を達成しました!

 1988年にセナさんとプロストさんがマクラーレン・ホンダで記録した11連勝を今回更新することができました!

 今年、達成できるかもしれないという記録は、最多優勝記録。これは2016年のメルセデスの21戦19勝。

 あとは、問答無用の全戦優勝!だ! ここまできたら、どこまでも行きましょう!

 折原さん、後列左から2人目。「この瞬間に関われて感無量です、現場責任者としてスタート前は緊張しました。角田選手が1ポイント獲得できたのも非常にうれしい」とおっしゃってました。

 法原さんのうれしそうな顔! お隣は、イギリスでご近所さんな、吉田メカニック。

 記念写真に来てもらう途中のレッドブル担当の湊谷さんと蛯原さん。いい笑顔です!

 吉野さん! ここベルギーで表彰台に上がったのは2022年! ゲンのいいサーキットとなりました!

 みんなのうれしそうな表情を見ていると本当にうれしい! 本当に本当に、うれしい!

 やっぱり、F1という世界最高峰のレースに、ホンダはいてもらわないといけません!

 サーキットにいるスタッフ、そしてサクラで頑張っている皆さん、サプライヤーの皆さん、皆さんの努力がどんどん実を結んでいます。おめでとうございます!

 フェルスタッペン選手、今回も全部ガチに勝ちました! 素晴らしいなあ、なんという男なんでしょ!

 今回表彰台に上がったチーフメカの人かな? むっちゃうれしそうでした。

 表彰式直前、ピットウオールでハンナさんがいい笑顔でした! レッドブルのチーム力ってのは、隙がないように見えます。

 フェルスタッペン選手はギヤボックスの交換で5グリッドダウンの6番手スタート。予想通り、どんどん追い上げます。抜くのはケメルストレートと予想して待ってました。後ろのお客さんの視線がいいでしょ!

 圧倒的スピードでした。

 うれしかったその2に、角田選手の10位入賞! 速かったし、強かった。

 仲よし、そしていろいろ教えてもらったアルボン選手を抜く直前!

 兄弟のような、お兄ちゃんのようなガスリー選手を抜く直前。

 後ろのお客さんの傘が開いている状況、スリックタイヤで難しい状況でもしっかりと対応。

 パルクフェルメに帰ってきたところ。プレッシャー半端ない状況。でも、それがF1という世界。ここで結果を残していけるということの難しさをしっかり分かった上でやり抜く。

 休み前に、この形を残すことができてよかった!

 レース後にサーキットを出るところ。よかったね!

 いい夏休みを過ごしてください! って言ってくれる優しさもいいじゃん。後半戦も楽しみにしていますよ!

 アロンソ選手が手負いのサインツ選手をパスするところ。

 今回5位のアロンソ選手。ランキングは3位のままですけど、1ポイント差でハミルトン選手が迫ります。ここの争いも面白い!

 最高速350km/hで抜く醍醐味を見れるサーキットは貴重。

 スプリントレース。ピアストリ選手が2位という快挙。

 スプリントレースのグリッド。

 ピアストリ選手、ルーキーイヤーです。正直言いまして、序盤のスピードを見ていて、皆が言うような逸材という感じはしないな~って思っていた僕が間違っていたようです。

 ここ数戦の素晴らしいレースを見ていて、マクラーレンの2人は今後のF1の将来を担う存在かもしれません。要注目ですね。

 マクラーレンの躍進具合が素晴らしい。

 リカルド選手。スプリントレースは10位でポイントならず。レースは16位。今回のアルファタウリ内レースは角田選手の頑張りが光りましたね。

 F2の岩佐選手。なんと、大事な大事な予選が16位……。

 これは、赤旗で中断後の予選。全車ピットでスリックタイヤでアタック準備完了していて、コースインするときに、事前に決められた自分のピットの位置で待機しなければいけません。

 ブルーのライトが点灯した時点でピットを離れることができますから、出口近くのチームが最初に出られるわけで、岩佐選手のピットは最高尾近く。そして、アタックラップ1周目の途中に雨……。ちょうど、半分くらいのクルマが計測ラインを通過したときにどしゃーと来たので、どうしようもない……本当に運がなかった……。

 ところが、土曜のレースでビシバシ抜きまくって8位でチェッカー。レース後に違反車両があって繰り上がり7位となりました!

 本当に素晴らしいレースを見せてくれました! これも、とってもうれしかった!

 その土曜レース後の岩佐選手。自分でも納得のレース内容。でも、予選さえちゃんとできていればという気持ちもありますよね。

 レースは結果だということをよく聞くし、その通りだととも思います。

 でもなあ……。

 ランキングは3位のまま、日曜のレースは僕の目の前を通過したのは、スタートのときだけ。16番手スタートだったので、見つけることができず……だから写真はなし……。

 噛み合うレースを続けなければいけないのに、残りレース数は3イベントのみになりました。頑張れ!

 われらがGT-Rであります。前と後ろにカメラを付けて走ります。水温大丈夫だったのかな? 例の映画の撮影かな。

 今回は、ピットもレースカーもいませんでした。

 スパウエザーが元気すぎました。

 僕が最初にスパフランコルシャンに来たのは、1984年の2輪GPでした。な、なんと39年前だ……。

 それ以降、何回もスパフランコルシャンにレースの撮影に来ていますけど、今回の3日間ほど、カッパを着たり脱いだりしたことはなかったように思います。晴れてたかと思ったらドバーっと雨、そして曇り。まさにスパウエザーなんだけど。

 39年前と今と比べると、コースもまわりの景色も随分変化しましたね。今でも十分撮影に魅力的ではありますけれど……やめとこ。安全対策ですからね。

 木曜日にガスリー選手の発案で、ユベール選手の追悼のためのマラソンがありました。

 2019年のF2のレースで、オールージュを上ったところで多重事故があり、アントワーヌ・ユベール選手が命を落としてしまいました。

 その事故現場に僕は居ました。

 想像できないほど、鈍く大きな炸裂音が耳に入って、振り返るとクルマがバラバラになっていました。直感で、とても重大な状況であるというのは感じました。

 22歳という若さで、将来有望な若者が命を落とす結果となった瞬間。先日もF3での死亡事故もありました。

 高速コーナーで駆け上がるオールージュからラディオン。世界を見てもこれほどダイナミックで、レースの醍醐味を見れるコーナーはないかもしれません。

 高速コーナーを急な上りで通過する、その途中でクルマがバランスを崩せば上りながらスピンモードになり、壁に激突して跳ね返ったところに後続車が続いて駆け上ってくれば多重クラッシュになる。

 写真を撮る上でも、そしてスパに来るお客さんにとっても非常に魅力的な場所です。

 スパウエザーで雨ともなれば、危険度が増します。過去、多くのドライバー、ライダーの命がここで奪われました。

 その、すばらしきコーナーを持つこのサーキットで安全にレースが続けられるようにするにはどうすればいいのか。僕にはその答えは明確には分かりません。

 レースは見る人にも、やっている人たちにも大きな感動や笑顔を届けてくれます。でも、同時に危険であることでもあります。

 だからこそ、命をかけて走るドライバー、ライダーには常に尊敬を持っていることが必要であると思います。そして、これ以上の尊い命を奪わないでくださいと祈ること、安全対策を進めることを忘れてはいけません。

 さあ、これからいつもより少し短い夏休みとなります。肌寒いスパから、暑い日本に帰ります。

 次は、フェルスタッペン選手のための(?)オランダGPですね。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。