日下部保雄の悠悠閑閑

サクラを借りたら出会ったパスファインダー・コンセプト

BEVのサクラと伝統のGT-R。内燃機の粋を集めたスポーツカーGT-Rと最新のBEV、サクラは対照的

 半年ぶりにサクラを借り出した。2022-2023のCOTYに輝いたサクラは軽自動車の枠を超えた滑らかな加速力と静粛性で一気にバッテリEVの存在を身近にした。販売も好調で、一時滞っていた納車も今では1~2か月で可能になったという。余談だが、今はアリアとフェアレディZが納車時期が不明となって受注を中止している。オーダーした同業の橋本洋平さんも1年待っても音沙汰がないらしい。

 おっと脱線してしまった。サクラの受賞はCOTYにも大きな影響を与え、部門賞のK-CARが廃止された。自動車の国内販売では軽乗用車は3割近くを占めている。つまりこれからは同じ土俵で頑張ってね、ということだ。創意工夫の玉手箱、軽自動車の今後も楽しみ。

 借りたサクラは都内をチョロチョロ走っていると約7.0km/kWhの電費でECOモードやe-Pedalを使いながらだがわるくない数字だと思っているが、どうでしょう?

 ちなみにブレーキタッチはセンシティブなのでe-Pedalを使ったり、ドライブモードをECOやSPORTにしたりして混雑した都内でお試し中。

 乗り心地は少し硬めだ。約1.1tの車両重量に165/55R15はタイヤキャパシティいっぱいの感触。しかし静かで加速にストレスがないのはやはり楽だ。もう少し乗ってまたショートレポートを紹介します。

 さて、横浜の日産グローバル本社に大きなSUVが展示されていた。7月13日で入れ替わってしまうが今年4月に上海で発表されたパスファインダーのコンセプトモデルだ。中国市場を念頭にしてデザイン、開発された3列シートのビッグサイズでパワートレーンなどは記載されていない。見た感じでは5mを超える全長と2m近い全幅は堂々として迫力がある。説明には「中国のモダンな美的感覚と日産デザインを融合」とあり、最新の日産電動車に共通した流れるような面が特徴。

 ちなみにコンセプトカーの下まわりはガランドウでリアデフもないし、ブレーキも「これから付けます」という感じだった。

パスファインダー・コンセプト、この位置からだと大きなフロントフェースにかなりの迫力を感じる

 日本でデビューするかは微妙だが、日産はグローバル本社でたまに海外モデルを展示することがあるので、その流れかもしれない。それでもコンセプトモデルを日本で見られるのはありがたい。クルマのサイズやデザインなどから輸出先(生産先?)の事情なども想像を膨らませると楽しい。

 コンセプトモデルは最新の4WD技術と謳っていたので、モーター駆動かなと思った。冬に体感したe-POWERやアリアの電子制御は緻密で、氷の上でも想像以上に巧みに走ったのが強く印象に残っていたからだ。

タイヤはミシュランのパイロットスポーツ 4 SUVを履いている。275/50R21のホイールから覗くブレーキは……

 現行のパスファインダーは直噴3.5リッターV6エンジンだが、電動化を強力に推し進める日産が次期パスファインダーを内燃機だけとするとは考えにくい。またe-POWERはBEVへの橋渡しと考えると次期パスファインダーもe-POWERで登場するんじゃなかろうか、と勝手に夢想した。あくまでも個人の感想です。

パスファインダーの側面。長さが分かります
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/2020-2021年日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。