まるも亜希子の「寄り道日和」
災害時に備えて車内に常備したいもの
2020年8月6日 00:00
テレビの前で、身動きもできないほど驚愕したことは多々あります。阪神・淡路大震災、9.11、東日本大震災。でも今回、それらと並ぶほどに呆然としたのは、九州を襲った豪雨の映像でした。クルマで逃げようとしていた一家が濁流にのまれてしまった、という報道にも本当に胸が痛くなりました。
起こるわけがない、と思っていたことが起こってしまう。そんな災害に備えて、私たちはいったい何をしておけばいいのかと、今回また深く考えさせられました。家の中には、3.11以降ずっと避難道具や水と食料の備蓄、着替えや古毛布といったものを1つにまとめたバッグを常備しているんですが、もし、クルマで出かけた先でそうした災害に遭ってしまったら? 考えてみれば毎日クルマで出かけている私たちなので、大いにありうることなのに、今まで想像もしていなかった自分に驚き、不安になってしまいました。
クルマの中には、災害に備えてどんなものを常備しておけばいいかな。そんなことを考えて情報収集していたところ、見つけたんです! ホンダアクセスから純正用品としてディーラーでも販売されている、「防災安心セット」という頼れる小箱。
見た目は、持ち手がついた四角い箱なんですが、この中には7年保存できるクッキーや水、防塵マスク、反射板付きグローブ、使い捨てトイレが大小1つずつ、防寒対策や雨よけに使えるポンチョ、緊急用ホイッスルなど、いざという時に「あってよかった」と思える道具が13個も入っています。箱には1人用~3人用まであって、13個がそれぞれ人数分入っているんです。
また、荷室のフロアで動いたりしないように、固定しておくための面ファスナーと、必要なものだけ車内に置いておきたいという人や、災害時にクルマから避難所に持ち運べるようにと、コットンバッグも付属していました。思えば数年前の大雪の時に、通行止めで身動きが取れなくなり、救助もなかなか到着できず、路上で何日も過ごさなければならなくなってしまった一件がありましたね。万が一そんな状況に陥ったとしても、きっとこれが積んであったら生き延びる希望が持てそうな気がします。
で、皆さん。保存用とは百も承知とはいえ、7年も保存がきくクッキーのお味って気になりませんか? パッケージには、耐温度域-20℃~80℃で、風味豊かなチーズ味。3本入りと書いてあります。本来ならいざという時のために手をつけちゃいけませんが、今回はラッキーなことに見本をいただいたので、試食してみたんです。イメージでは、カロリーメイトのような感じかな、と思っていたんですが、1本がカロリーメイトの1.5倍くらいの大きさで、手に持ってみるとけっこうズシリとしています。ひとくち食べると、最初はサクッとしっかりした噛み応えがありつつ、中はしっとり。チーズ風味はちょっと控えめで、甘みはほとんどないのでスイーツが苦手な人でも大丈夫そうです。1本食べたら、けっこうお腹の足しになりました。ただ、口の中の水分はほとんど持っていかれます(笑)。一緒にお水が入っているので大丈夫ですが、お水を飲み干してしまう前に食べた方がよさそうですね。
さてもう1つ、災害時に備えて車内に常備したいものといえば、脱出用ツールですよね。シートベルトを切ったり、窓ガラスを割ったりする道具です。私はもう何年も前に、某カー用品メーカーの開発をされている方にお話を伺ったことがあるのですが、日本で販売されている脱出用ツールの中には、いざ使おうとした時にまったく役に立たない粗悪品が意外と多いんだそうです。その方は、自社で脱出用ツールを開発する際に、国内で売っているほとんどの脱出用ツールを購入して試したとおっしゃっていました。なので私はそれ以来、自分ではどれを買えばいいのか迷子になってしまい、なかなか購入できずにいたんです。
でも今回、ホンダアクセスで販売している、とてもコンパクトな緊急脱出・救出用ツール「スマートレスキュー」を試す機会があり、本物のクルマと同じシートベルトを切らせてもらいました!
そもそもスマートレスキューはすごくよく考えられていて、まず車内での保管場所。よく、グローブボックスやドアポケットなどに入れておく人が多いそうなんですが、それだと万が一車両がクラッシュしたり追突されたりした時に、ボディが歪んでしまって取り出せなくなってしまうんです。なのでスマートレスキューは、運転席頭上のクラブレール(グリップ)に面ファスナーでくるりと巻きつけておき、使う時はオレンジのベロを引っ張ればスルリと取り外せるようになっていました。これはナイスアイデア!
そして、ツールの赤いキャップがシートベルトカッターになっているので、シートベルトを挟んで一気にシュッと動かすと、あっという間にスパッと切れました。えっ、こんなに簡単なの? というくらい。これならほとんど力がいらないですね。
シルバーの棒の方は、ガラスを割るツールになっています。ボールペンくらいの太さで、けっこう短いので「これで本当に割れるのかな?」と半信半疑でしたが、実はコツがあって、窓ガラスの真ん中ではなく、なるべくAピラーに近いところを強く押すようにすると、けっこう簡単に割れるんだそうです。さすがに実際のクルマで試しに割るわけにはいかなかったので、イベントでお客さまに体験していただく際に作ったという箱の中で、窓ガラスを割らせてもらいました。
そっとガラスにツールの先端を押し当てて、力をグググと込めていくと、ボンッと大きな音がして一瞬でガラスが粉々に! 普段、家でコップなんかを割ってしまうとパリンという音ですが、これは予想もしない爆発音みたいな音でびっくりしました。これが分かっただけでも大収穫です。
ただ、帰宅してさっそくスマートレスキューを愛車CR-Zの運転席グリップに取り付けようとしたところ、エ~~ッ! なんとなんと、CR-Zには運転席にも助手席にもグリップがありません(笑)。今まで気にしたこともなかったので、愕然……。今はどこか、緊急時にも手に取りやすい保管場所を思案中です。
そんなわけで、いつ何が起こるかわからない毎日に、いったい何を備えたらいいのか。考えはじめると途方に暮れてしまいますが、まずはこうしたツールやセットを活用して、それをベースに自分たちが必要なものを足して、安心を積み重ねていければいいなと思っています。