東京モーターショー2015

2016年3月にリース販売を開始するホンダの新型FCV「クラリティ フューエルセル」世界初公開

価格は766万円。一充填走行距離は700kmで5人乗車を実現

東京ビッグサイト

2015年10月30日~11月8日一般公開

 本田技研工業は10月28日、「第44回東京モーターショー2015」の会場で新型FCV(燃料電池車)「クラリティ フューエルセル」を世界初公開。2016年3月にリース販売を開始すると発表した。価格は766万円。

 クラリティ フューエルセルの発表に関しては、ホンダによる9月30日発表の出展概要で東京モーターショー2015での展示が予告され、ひと足早く開催された「2015 Honda ミーティング」の場で報道陣向けに試乗会も実施されているが、このモーターショーのプレスブリーフィングでは正式な車名と価格、発売時期などが公表されている。

ホンダ、航続距離700km以上の新型FCVを東京モーターショーで世界初公開

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150930_722815.html

【2015 Honda ミーティング】西村直人のホンダ最先端技術リポート(後編)

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20151027_727542.html

ホンダの新型FCV「クラリティ フューエルセル」。ボディーサイズは4895×1875×1475mm(全長×全幅×全高)。ボディーカラーは写真の「プレミアムブリリアントガーネット・メタリック」に加え、「ホワイトオーキッド・パール」「クリスタルブラック・パール」の3色を用意
フロントフェンダー後方のエアアウトレットの下に「FUEL CELL」のバッヂを装着
フロントマスクに9灯式フルLEDヘッドライトを装着
タイヤサイズは前後235/45 R18 94W
プレスブリーフィングでニューモデルとなるクラリティ フューエルセルについて紹介する本田技研工業 代表取締役社長 社長執行役員 八郷隆弘氏
八郷氏は「『The Power of Dreams』を原動力に、世界中のお客さま一人ひとりに感動や喜びをお届けできるモビリティの実現に向け『チームHonda』一丸となってチャレンジを続けていく」とコメント

 ホンダブースで行われたプレスブリーフィングで登壇した本田技研工業 代表取締役社長 社長執行役員の八郷隆弘氏は、「ホンダはみなさんの夢と、作り手である私たちの夢を重ね合わせつつ、これまで新しい価値の創造に努めてきました。人々の生活や人生の可能性を広げるような夢を描きつつ、その実現に向けてチャレンジを繰り返すなかで、常に“夢の持つ力”を大切にしてきました。今回、ホンダのブースでは、この夢に連なるグローバルブランドスローガン『The Power of Dreams』をテーマに、コーポレートカラーの赤いラインでステージを貫きました」とホンダブースについて紹介。

 この会場で世界初公開した新型FCVのクラリティ フューエルセルについて、八郷氏は「環境性能はもちろん、運転する楽しさや使う喜びも併せ持ったモデル」であると語り、さらに小型化したFCパワートレーンをボンネット内に収め、一般的なガソリン車セダンと同じ5人乗りのキャビンを実現。ホンダの「MM思想」を受け継ぎ、FCVのベンチマークとなりえるセダンであるとしている。このほか、1回の水素充填で走行できる距離は700kmとなり、FCVトップクラスの数値であることを紹介した。日本市場で2016年3月からリース販売を開始し、その後に米国、欧州に展開するとのことだ。

 このほかに4輪製品の分野については、今シーズンから参戦を再開したF1グランプリでのチャレンジを紹介し、このF1マシンを同様にホンダらしい走りと高い環境性能を高次元で実現する新型「NSX」を、来春から北米で生産開始。北米での発売を皮切りに、日本を含めた各地域に順次投入していく。さらに「歴代最高」を目指して開発した新型「シビック TYPE R」を750台限定、428万円で発売することなどを紹介している。

クラリティ フューエルセルの解説では、スマート水素ステーションや外部給電器と組み合わせた活用についても紹介。市販化を予定する自社製の外部給電器「Power Exporter 9000」とクラリティ フューエルセルを接続するデモを行い、CO2フリーなエネルギー循環についてアピールした
車両前方のボンネット下に集約されたクラリティ フューエルセルのFCパワートレーン。ホンダの3.5リッターV型6気筒エンジン並みのサイズにまとめられ、燃料電池スタック出力密度は3.1kW/L、モーター最高出力は130kWとなっている
メーターパネルをステアリング前方に配置するオーソドックスなレイアウト。インパネやドアライニングなどにウルトラスエードを採用する
インテリアカラーはボディーカラーによって変わり、「プレミアムブリリアントガーネット・メタリック」と「ホワイトオーキッド・パール」にプラチナムグレー、「クリスタルブラック・パール」にブラックが組み合わされる
シフト操作には現行型モデルの「レジェンド」と同じく「エレクトリックギヤセレクター」を採用
新型NSXを「車名の由来である『New Sports eXperience』を体現したクルマ」と表現する八郷氏
新型シビック TYPE Rは日本に先駆け欧州市場ですでに発売されており、好評を得ているとのこと
このほかに八郷氏は、ホンダの創業者である本田宗一郎氏の夢であった航空機産業への参入が実現間近となっていることを紹介

編集部:佐久間 秀