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マツダ、大幅改良した新型「デミオ」「CX-3」発表会

「上期は販売台数の前年割れで苦戦したものの、11月からは前年超えを目指す」と福原常務執行役員

マツダR&Dセンター横浜で行なわれた新型「デミオ」(右)「CX-3」(左)発表会

 マツダは10月14日、5ドアハッチバック「デミオ」、コンパクトクロスオーバーSUV「CX-3」の商品改良および特別仕様車の追加を発表。マツダR&Dセンター横浜(神奈川県横浜市)においてこの2モデルの発表会を実施した。

 発表会にはマツダ 常務執行役員 国内営業・法人販売担当/マツダ中販 代表取締役社長 福原和幸氏、商品本部 デミオ担当主査 柏木彰宏氏、商品本部 CX-3担当主査 冨山道雄氏が出席した。

上期は前年割れが続き苦戦したものの、11月からは前年を超えていきたい

マツダ株式会社 常務執行役員 国内営業・法人販売担当/マツダ中販 代表取締役社長 福原和幸氏

 発表会ではまず福原氏が登壇。商品改良と営業施策の両面に触れスピーチを行なった。福原氏は冒頭、上期は前年割れが続き苦戦したが、先行して商品改良を行なったアクセラ、アテンザに加えてデミオ、CX-3と4車種が揃ったことにより、11月からは前年を超えていきたいと期待を述べた。

 イチからすべてを見直して開発したマツダの新世代商品は、2012年のCX-5からスタート。3年で6車種を一気に投入することにより「国内の販売を大きく成長することができた」とコメント。アクセラ、アテンザ、今回の2車種を加えた4車種の商品改良では、「人間中心の開発哲学をもとに、あらゆる領域の開発を一括企画で行ない商品力を大幅に高めたことにより、国内における次の成長フェーズに入っていきたい」とした。

 現在、これら新世代商品の保有台数は前期末で40万台を超えており、マツダの登録乗用車の3割を占めるまでになった。こうした状況において、ユーザーはもちろんマツダを取り巻く環境が変化してきたと福原氏。具体的には「輸入車オーナー」「短期間で乗り換えるオーナー」が増えてきたという。また、新世代商品は中古車市場でも人気が高いことから同一車種を短期間で乗り換えるオーナーも増えており、これは「過去のマツダではあまりないこと」とコメント。こうした状況を踏まえ、「常に最新のマツダ車にお乗りいただける環境を作り、お客さま変化に対応していきたいと思っている」とし、最新技術の継続投入により商品価値を維持することで、ユーザーの資産価値を守る取り組みを総合的に進めていきたいと説明した。

 こうした背景には、従来の開発スタイルではフルモデルチェンジ時以外では投入することが難しかった新技術を、マツダならではの一括企画によるモノづくり革新により環境、安全、走行性能などの最新技術を最速のタイミングで導入することが可能になった点が挙げられた。その結果、「お客さまの資産であるクルマの残価を高く維持することができ、お客さまは最新の環境安全走行性能技術が搭載されたクルマに少ない負担で乗り換えていただける」と述べるとともに、「新世代商品6車種投入後の次の国内の成長フェーズに入っていきたい」と今後の展望を掲げた。

 商品改良を先行して実施したアクセラとアテンザは、対前年比の販売台数が大幅に増加。特にアクセラでは「G-ベクタリング コントロール」が高い評価を受けるなど、対前年比で175%、累計受注台数は目標の3倍を超える7800台を実現したという。今回商品改良を実施したデミオとCX-3は、登録乗用車の販売で50%を占めるモデルであることから、魅力を高めた新モデルをリリースすることで11月から前年を超えていきたいと期待を寄せた。

 営業面においては、「“お客さまとの間に特別なキズナを持ったブランドになる”ことを目指して、お客さまの大切なおクルマ、資産を守る視点で営業施策を実施している」といい、「中古車、クレジット、整備、保険といった総合的な取り組みでお客さまの資産価値を維持し、お客さまが気に入った商品を気に入ったタイミングで、最新の技術を搭載したクルマを少ないご負担でお乗り換えいただける、そういった環境を営業面でも整えたいと取り組んでいる」と説明。具体的には「Webによるグループ間での中古車在庫、中古車販売の共有化」「ボディ修理補償特約を付けたブランド保険の販売」「残価設定型クレジットの残価引き上げ」「新世代店舗の拡充」などを実施すると説明した。

 最後に「“マツダならではの一括企画を生かし、常に最新の技術を投入し進化し続ける商品”と“お客さまに寄り添い特別なキズナを深めるための統合的な営業取り組み”、この両輪で選ばれ続けるブランドを目指したい。11月からは販売台数で前年超えを目指していきたい」「今回、4車種がそろって営業取り組みも整った。これから反転していきたい」と展望を語り、スピーチを締めくくった。

デミオとCX-3は高い評価を受けている
新世代商品の保有台数は40万台を超える
新世代商品の投入により購入者層も変化
商品改良により新技術を投入することで商品価値を維持
新技術「ヘッズアップコクピット」はアクセラを皮切りに展開
一括企画による商品改良
商品改良後に販売台数が大幅改善
アクセラは当初計画の3倍もの受注を獲得
アクセラから搭載された「G-ベクタリング コントロール」は高い評価を得ている
4車種で販売台数の76%を占める
新世代商品オーナー向けに試乗キャンペーンを実施
ブランド価値向上への取り組み
中古車施策
ブランド保険に修理補償をプラス
残価保証型クレジットの残価率を引き上げ
新世代店舗
新世代店舗により集客が向上
年間50店舗をメドに新世代店舗を推進
オートザム店でのマツダ全車種取り扱いにより販売体制を強化
選ばれ続けるブランドを目指す

お客さまにとってデミオが世界で最も輝くコンパクトカーであり続けてほしい

マツダ株式会社 商品本部 デミオ担当主査 柏木彰宏氏

 続いてデミオ担当主査の柏木氏が登壇。2014年に発売した4代目デミオは「クラス概念を打ち破る」をテーマとするとともに、「クルマのサイズと価値は比例する」という一般的な概念を打ち破って素晴らしいコンパクトなクルマを作りたいとの想いで開発されたとコメント。

 CX-5以降の新世代商品群は、「人間中心の開発哲学」を掲げて開発を実施。車種共通の固定要素を一括して企画開発する「一括企画」を採用しており、「1つの技術がある車種で開発されると、ほかの車種にも展開する準備が整っていることが大きなメリット」とした。デミオの場合、CX-5、アテンザ、アクセラに続く4番目の製品だったため、それまでに開発された技術や要素を効率的に採用することができ、「サイズは小さいけれどその1つひとつをコンパクトなボディに詰め込んだクルマ」と表現。結果として「クラス概念を打ち破ったものになった」と説明する。

 具体的にはドライビングポジションを重視したペダルレイアウト、日本ではクラス初となるディーゼルエンジンの搭載、数々の安全装備、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)、上級モデル譲りの4輪駆動(i-ACTIV AWD)などで、一括企画ならではの技術が数多くデミオには採用されているとした。こうした結果、発売してから1年ほどの間に世界中で40もの権威ある賞を受賞しており、国内販売の4割を占める基幹車種に育ったとこれまでの経緯を説明した。

 今回の商品改良では「世界で最も輝くコンパクトカーであり続ける」を狙いとして定めた。その実現のために、「最高の運転体験を提供できるクルマである」「先進的なお客さまを魅了するクルマである」ことが必要であり、それぞれ「人間中心の開発哲学を徹底的にやる」「新しい世界観を提供できる特別仕様車を定期的に投入する」こととした。

 まず、ダイナミクス領域についてはアクセラ、アテンザに投入し、好評を博しているG-ベクタリング コントロールをデミオにも搭載。同時にサスペンション、ステアリングの特性を広範囲で見直すことにより、「クルマの応答性と安定性を高次元で両立。狙ったラインを正確にトレースできるサスペンションに仕上がっております」と自信を見せる。

 安心・安全面でもi-ACTIVSENSEの機能強化や追加を図ることで「アテンザ、アクセラクラスにも劣らない安全性能を実現している」と、コンパクトクラスの概念を超えた装備の数々を示した。

 最後に「デミオというクルマは人間中心の開発哲学のもと、あらゆる領域の改善を今回入れております。このクルマがお客さまの人生を輝かせて、お客さまにとっての世界で最も輝くコンパクトカーであり続けることを願っております」と締めくくった。

4代目デミオのコンセプトは「クラス概念を打ち破る」
人間中心の開発哲学を追求
新世代商品群では一括企画を採用
先行リリースされたモデルの技術をフィードバック
数々の権威ある賞を受賞
デミオは国内販売の4割を占める基幹モデル
世界で最も輝くコンパクトカーであり続けることが目標
次世代商品向けの思想や技術を前倒しで採用
G-ベクタリング コントロールを採用
サスペンションチューニングを広範囲に見直し
ディーゼルエンジンに「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」を採用
メーターまわりの視認性を改善
アクティブLEDヘッドライトをオプション設定
i-ACTIVSENCEにも新機能を追加
クラス概念を大きく超えた安心・安全性能を実現
デザインの変更部分
ボディカラーには新色を追加
ホワイトレザー仕様のインテリア
ブラックレザーのインテリア
スタイルコレクションとしてこれまでに3モデルの特別仕様車を設定
特別仕様車「Tailored Brown」も新設定
世界で最も輝くコンパクトカーであり続ける

あらゆる領域で最新の考え方を採り入れた新型CX-3

マツダ株式会社 商品本部 CX-3担当主査 冨山道雄氏

 最後にCX-3担当主査の冨山氏が登壇。「CX-3は新世代商品群の第5弾。お客さまの創造的なライフスタイルをサポートするプレミアムコンパクトクロスオーバーとして発売された」と前置き。個性的でスタイリッシュなデザイン、あらゆる場面での使いやすさ、それらを追求したサイズとパッケージングが好評であり、日本ではシングル、カップル、シニア層から高い評価を受けていると説明した。

 今回の商品改良の狙いは、もともとのテーマである「次の時代のスタンダードを創造する」をさらに進化させたことだと説明。「先鋭的な価値観をお持ちのお客さま、クルマに対する思い入れの非常に強いお客さま、彼らの感性に響く存在になるためにデザインとそれを支える機能、性能、質感、これらの高さにこだわりを持って一層の進化を行なって参りました」とコメント。デミオと同じく人間中心の開発哲学を元に「デザイン、ダイナミクス性能、ヒューマンインターフェイス、安全技術、あらゆる領域の開発を進めています。次世代の商品向けて開発していた思想、技術を前倒しで採用している」と述べた。

 まず、ダイナミクス領域ではG-ベクタリング コントロールの採用をエポックとして取り上げつつ、制御面だけでなく基本のサスペンションも地道な改良を施していると説明し、中でも「フロントのロワアームブッシュを改良して質感の高いハンドリングと乗り心地に磨きを掛けた」と具体例を挙げた。また、静粛性についてもナチュラル・サウンド・周波数コントロールなどディーゼルエンジンそのものの静粛性を高めるだけに留まらず、車両領域においても「遮音材、吸音材を配置して車内に侵入してくるノイズを徹底的に低減」「2015年の商品改良で前席のドアガラスを板厚を上げたことにより、後席側からの音が気になるようになったが、こうした課題についても即座に取り組みを行なった」とした。

 快適性の領域では、ユーザーからの要望が高かった装備としてメモリー機能付10ウェイパワーシートを追加設定。メモリー機能についてはシートポジションだけでなくアクティブドライビングディスプレイの角度、明るさなども同時に記憶することができ、乗り換えてもすぐに最適な運転環境を提供できるようになっているとした。

 安全技術はセグメントを超えて共通化。アダプティブ・LED・ヘッドライトや交通標識認識システムといったデミオと共通の追加機能とともに、進化したポイントとしてアドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポートを紹介。今までのレーザーレーダー(ミリ波)に加えてフォワードセンシングカメラを採用することにより視野角を拡大。歩行者を認知できるほか、作動上限速度もこれまでの30km/hから80km/hまで向上したと説明した。

 デザイン面では現行モデルの評価はズバ抜けて高いと認識しており、自信を持って今のデザインを継続すると明言。その上で「形を変えるために変化させるのではなく、マツダのブランドの進化、クオリティの高さをより強く表現するために本質を磨き上げることを行なう」とした。それを実現したのが、CX-3の新しい世界観を実現した特別仕様車「ノーブルブラウン」。ナッパレザーなど素材にこだわり、細部に至るまで入念な作り込みを行なうとともに、硬質なメタルを随所に配置して、より先鋭的な世界観を研ぎ澄ませたという。

 最後に「CX-3は人間中心の開発哲学のもと、デザイン、ダイナミクス性能、安全性能と、あらゆる領域で最新の考え方を採り入れ、他人とは違う自分らしさを表現できるクルマとして大幅に進化を果たしました。このクルマを所有して思いのまま走らせ、使いこなせる楽しさ、周囲から個性的でスタイリッシュだと見られる満足感。そうした喜びがお客さまとCX-3の絆を日に日に強くし、お客さまになくてはならない存在になる。これに勝る喜びは私としてはありません」と締めくくった。

CX-3は次の時代のスタンダードを創造する
CX-3の使命
3つのキーバリュー
数々の賞を獲得
広島本社工場に加え下期から防府工場でも生産を開始。海外でも2015年10月から生産を行なっている
商品改良の狙い
CX-3の開発テーマをさらに進化
次世代商品向けの思想や技術を前倒しで採用
G-ベクタリング コントロールを採用
上質な静かさを追求
パワーシートを追加設定
i-ACTIVSENSEの機能を強化
アドバンストSCBSはフォワードセンシングカメラの採用で作動領域を拡大
リアにセンサーを設けることにより後退時にも衝突被害軽減を実現
トップグレードとなる特別仕様車「ノーブルブラウン」を新設定