長期レビュー

日沼諭史の「お父さんと家族のCX-3」

第4回 花粉が降り積もる季節。そうだ、純正パーツで洗車を家族イベントにしてしまおう!

花粉まみれのクルマを、家族でキレイにしようではないか

 花粉症持ちには辛いシーズンになってきた。スギ花粉が(おそらくほとんど)飛んでいない北海道で育った筆者は、就職を機に上京後、しばらくはそれらしき症状が出ていなかったのに、いつの頃からか毎年春先になると流れるような鼻水に悩まされるようになった。それでも「これは季節の変わり目の風邪である」と頑なに信じて受け入れなかったのだが、もう素直に認めたい。“今年から”花粉症である。

 ところで、人によっては鼻水だけでなく、目がかゆくなったり体の不調を訴えたりすることもあるにっくき花粉症の季節に、もう1つ悩ましい問題がある。それが、クルマに降り積もる大量の花粉だ。クルマをガレージに入れているならさほど気にならないのかもしれないが、青空駐車のマイカーにはふと気付くと白いような、黄色っぽいような何かがびっしりと車体を覆っていることがある。鼻水を流しつつそんなクルマを見て、そこで初めて「ああ、今年も花粉が飛ぶ季節が来たのだなあ」と思い至ることもある。それでもって、面倒だなとも思うのである。洗車が。

車体のサイドも花粉まみれ
ルーフも花粉まみれ
特にリアウィンドウの下端とボディの境目には花粉や汚れが溜まりやすい
いつの間にか鳥のフンらしきものも……

 マイCX-3は、ボディが濃紺(ディープクリスタルブルーマイカ)ということもあって、とりわけ汚れが目立ちやすい。編集部の人からは「濃い色だと汚れが目立つよ」と最初に言われていたのである程度は覚悟していたのだが、想像以上にすごい。

 ただ、ありがたいことに定期点検のたびにディーラーで洗車もサービスしてくれるので、それまで我慢したり、どうしても耐えきれない汚れになってきたらガソリンスタンドの自動洗車機でサクッと洗い流したりもしていた。が、たまには普段の鼻水分の憎しみも込めて自分の手でやっつけてやりたいではないか。

 が、休日となると子供たちは公園へ連れて行けなどと騒ぎ出し、ゆっくり手間をかけて洗車する時間を取りにくい今日このごろ。ならば、逆の発想で子供たちも洗車に参加させ、マイカーをきれいにすること自体を“家族イベント”にしてしまうのもいいのではないか。2歳と3歳の子供は、こういった「普段あまりやらないこと」を楽しそうなイベントだと思ってくれるので、お父さんのその思いつきにもすんなり乗ってくれたのである。よしよし。

純正洗車用品の充実の中身

 そんなわけで、マイCX-3を洗車をするための道具を買いそろえるか、とホームセンターに行こうとしていたところ、CX-3納車時にクリーニング用品みたいなものを渡されたことを思い出した。それは、純正ボディコーティング MGシリーズ施工車にもれなく付属してくるメンテナンスキット。型番として「K813-W0-790B」(サポート期間3年の場合。4万9372円)が設定された、れっきとしたマツダ純正部品である。すっかり忘れていたのだが、マイCX-3には3年保証のMGコーティングを施していたのだった。

 ちなみに、純正ボディコーティング MGシリーズにはサポート期間1年の「K811-W0-790B」(3万9086円)と、サポート期間5年の「K815-W0-790B」(5万9658円)もある。1年は短すぎるが、5年だとその間に魅力的な新型CX-3が発表される率が高く、乗り換えを考えてしまう可能性もなきにしもあらずなので、3年が妥当かな、と思って選んだ次第。サードパーティのボディコーティングもあるが、やはり純正は何かと安心だ。

 あと、マツダでは防錆アンダーコーティング、ホイールコーティング、インテリアコーティングといった多彩なコーティングをオプションで用意している。納車時は筆者の予算に合わなかったのでボディコーティングのみにしたのだけれど、外も中も、できるだけ長くきれいな状態で乗り続けたいなら検討したいところだ。

純正ボディコーティング MGシリーズ施工車に付属するメンテナンスキット
ちゃんと型番が設定されているマツダ純正部品である

 さて、このメンテナンスキット、中身は以下の7点がセットになったものだ。

(1)メンテナンスシャンプー
(2)シャンプー用の洗車スポンジ(黒色)
(3)水拭き取り用のクロス(青色)
(4)ツヤ・撥水強化剤
(5)ツヤ・撥水強化剤用クロス(水色)
(6)シミ取り剤
(7)シミ取りに使う塗布用スポンジ(黄色)

 このキットさえあれば、あとは水とバケツを用意するだけで、特別に何かを買いそろえることなく、すぐにでも洗車を始められる。

 添付されていた説明書を読んで、その手順通りに進めていくが、これは家族イベントであることを忘れてはならない。2、3歳の子供だと、まず洗車の目的が理解できていないので、完璧に手伝ってもらうことは期待できないものの、それは最初から分かりきっていること。要は子供に遊びの一環として楽しんでもらうのが(そして、筆者としては子供に文句を言われずに洗車を完遂することが)第一なのである。

みんなで洗車して、子供もお父さんもハッピーに、と思いきや……

 最初は大まかにホコリを取るため、まずは水洗いすることが重要だ。いきなりスポンジでこすってしまうと、ホコリでボディを引っ掻くことになってしまいかねない。屋外の水栓からホースを伸ばし、子供に持たせ、シャワーでテキトーに放水してもらう。子供の身長的に車体の側面くらいしか水洗いできないが、もちろんこれは想定通り。車体のフロントと右サイドをムラだらけに流したら、水が冷たいせいかすぐにやめてしまったので、大部分をお父さんがやり直す。

最初に長女が水洗いを担当
なぜか集中的にホイールを水洗いしている。どちらかというとボディの方をやってほしいのだが
二女がフロントまわりを担当。グリル近辺に水をかけると、自分にも水をかけ出したので急いでストップさせる

 代わりに次のステップの準備として、小さめのバケツに水を満たし、(1)メンテナンスシャンプーを水1Lにつきキャップ2杯分入れて、かき混ぜるのを子供に任せる。その間にお父さんは水洗いを完了。(2)シャンプー用の洗車スポンジ(黒色)をメンテナンスシャンプーのバケツに浸して、洗剤を含ませたら優しく撫でるように、ということを簡単に教えて子供に洗ってもらう。

バケツに水とメンテナンスシャンプーを入れた後、かき混ぜてもらう
ちゃんと優しく、丁寧に洗ってくれる長女。しかし、全体にまんべんなくやるという発想はない

 楽しそうにやってるな、と思っていたら、車体のごく一部を局所的に洗っただけでやっぱりすぐに飽きたようで「公園に行く」とか言い出す子供ら。結局、大部分というか全体をお父さんがやり直すことになったのである。まあ、これも想定内……ではあるけれど、せっかくの家族イベント、もうちょっと一緒に楽しみたかった……。妻と子供が公園へ出かけた後、黙々と1人で洗車する筆者。寂しい。

結局筆者1人で洗車することに(これを撮影してくれた妻は、この後子供と公園へ出かけていった。申し訳ない……)

コンパクトだから作業効率よし。家族イベント向けかもしれないCX-3

 でもって、シャンプーで洗車したあとは、できる限りすぐに水で洗い流し、(3)水拭き取り用のクロス(青色)で水気を取る。今回のようにまだ肌寒い花粉の季節は、車体全体を一気に洗っても問題なさそうだったが、暑い日はシャンプーや水気が拭き取る前に乾いてシミになってしまうことがあるので、この点も要注意。夏場は一連の作業を車体の一部ずつやっていくとよいだろう。

 コンパクトな車体のCX-3は、ルーフの中央付近も手を伸ばせばなんとか届く。単純に外装の面積も少ないので作業効率は高いし、1人でもそれほど時間をかけずに洗い上げることができる。以前乗っていたミニバンだとどうしても物理的に手が届かないところがあり、中途半端にしか洗えないから、ガソリンスタンドなどの洗車サービスに頼りがちだった。CX-3は無理しなくてもしっかり家族や自分の手で洗えるので、そういう意味でもファミリー向けと言えるかもしれない、というか、言いたい。

水拭き取り用のクロス(青色)で水気を取る
バケツのメンテナンスシャンプーが余ったので、ホイールをブラシでゴシゴシ。それでも余ったので通勤用自転車も洗車しておいた。バイクもついでに洗っておけば良かったかもしれない
シャンプー後のボディ。この時点ですでに美しい
次はツヤ・撥水強化剤をクロス(水色)で塗っていく

 水気を拭き取ったら、(4)ツヤ・撥水強化剤を少しずつスプレーしながら、(5)ツヤ・撥水強化剤用クロス(水色)でボディ全体に薄く塗り延ばしていく。汚れを落とす作業ではないので、こちらも力を入れずに、均等に延ばすイメージで拭き上げるのが大事なようだ。

 今回は使わなかったが、シミが目立つ場合はツヤ・撥水強化剤の前に(6)シミ取り剤と(7)塗布用スポンジ(黄色)できれいにする。ただし、シミ取りによってコーティングがはがれてしまうこともあるようなので注意したいところ。定期的に洗車しないと、雨だれの跡なんかがシミになって残りやすいようだ。できるだけシミ取り剤のお世話にならないよう、ボディに汚れが目立つなあと思ったらすぐに洗車することをおすすめしたい。

輝くようなボディ
リアウィンドウ下の花粉溜まりは落ちにくかったが、スポンジやクロスで丁寧にホジホジしたおかげで、すっきりキレイになった

 なお、今回の洗車で使った純正品のスポンジやクロス類は消耗品なので、数回洗車すると作業効率が落ちてしまう。そこまで高価なものでもないから、いつでも取り替えられるように、あらかじめ似たようなものをホームセンターなどで多めに手に入れておくとよさそうだ。

本格ドライブシーズンに向け、にっくき花粉を自らの手でやっつけるべし

 2時間ほどかけてひと通り洗車を終え、まるで新車の輝きを取り戻したかのようなピカピカのボディにうっとりしていると、子供たちが公園から帰ってきた。本来の「洗車を家族イベントにする」という目的はたぶん50%くらいの達成度で、完全に満足できたわけではないけれど、クルマ(特に車内)を汚すことにためらいのない子供にとって、いつも乗っているクルマをキレイにすることの大切さと面白さが、ちょっとでも伝わっていればいいなあと思ったり。いずれは車内清掃も家族イベントにしようかと、こっそり計画中である。

 家族うんぬんや車種に限らず、花粉によるクルマの汚れはうっとうしいもの。シーズン中は洗ってもすぐに花粉だらけになるのがやっかいだけれども、そんな季節でもクルマを美しい状態にするのはやっぱり気持ちがいい。これから春を迎え、だんだん暖かくなり、出かける機会も増えるはず。本格的なドライブシーズンの前に、みなさんも純正パーツのメンテナンスキットや市販の洗車用品を使って、にっくき花粉を徹底的にやっつけてみてはいかがだろうか。

日沼諭史

日沼諭史 1977年北海道生まれ。Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、四輪・二輪や旅行などさまざまなジャンルで活動中。Footprint Technologies株式会社代表取締役。著書に「できるGoPro スタート→活用完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)など。2009年から参戦したオートバイジムカーナでは2年目にA級昇格し、2012年にSB級(ビッグバイククラス)チャンピオンを獲得。所有車両はマツダCX-3とスズキ隼。