ニュース

スズキの新型車「クロスビー」発表会。「何か新しいことに挑戦したくなると思わせる魅力あるクルマ」と鈴木社長

2017年12月25日 開催

12月25日に行なわれた新型「クロスビー」発表会のフォトセッション。クロスビーの横に立つのはスズキ株式会社 代表取締役社長 鈴木俊宏氏

 スズキは12月25日、新ジャンルの小型クロスオーバーワゴン「クロスビー」を発売。同日に都内で記者発表会を開催した。

 クロスビーは、10月に開催された「第45回東京モーターショー2017」で世界初出展された新型モデル。2013年11月に開催された「第43回東京モーターショー2013」で軽自動車「ハスラー」を初公開したときから、来場者などから「小型車版が欲しい」との要望が多数寄せられ、このニーズに答えるため、ハスラーのデザインテイストを継承しつつ、同社のコンパクトカー「イグニス」と同じAプラットフォームを使って生み出された。価格は176万5800円~214万5960円。このほかのクロスビーに関するグレード展開などの詳細は、関連記事の「スズキから新型車『クロスビー』登場。1.0リッター直噴ターボ+マイルドハイブリッド搭載」「写真で見る スズキ『クロスビー』(車両型式:DAA-MN71S)」を参照していただきたい。

何か新しいことに挑戦したくなると思わせる魅力あるクルマ

スズキ株式会社 代表取締役社長 鈴木俊宏氏

 発表会では、最初にスズキ 代表取締役社長の鈴木俊宏氏が登壇。鈴木氏は「新型クロスビーは、『大人5人がしっかり乗れるワゴンの広さ』『SUVらしいデザイン、力強い走りと走破性』『自由自在に使いこなせるユーティリティ』を備え、1.0リッター直噴ターボエンジンを搭載した新ジャンルの小型車です」と紹介。

「クロスビーというネーミングは、クロスオーバーのXとトゥビーエキサイティングから開発した造語です。その名のとおり、このクルマといっしょなら、今までの世界がもっとエキサイティングになる、何か新しいことに挑戦したくなるとお客さまに思っていただける魅力あるクルマに仕上がったと自負しております」と車名に込めたコンセプトを説明し、「ソリオ、イグニス、スイフトを中心とした小型車にクロスビーが加わり、バリエーションも豊富になってきました。それぞれの特長を生かし、幅広いお客さまにスズキの小型車を広げていきたいと思います」とクロスビーがスズキの小型車販売で新しい柱になることに自信を見せた。

 最後に鈴木氏は「2017年も残り1週間となりましたが、振り返ってみると自動車業界は『CASE』と呼ばれるような大きな変革期を迎えていると言われています。その流れはさらに加速していると考えており、スズキもその大きなうねりに飲み込まれないよう、『チームスズキ』で対応していきたいと思っております。2年後の2020年にスズキは100周年を迎えます。次の100年に向けて、2018年はあらゆる可能性に挑戦していく1年にしていきたいと思います」とコメント。2018年に向けた意気込みを口にした。

クロスビーが加わってバリエーションが増えたスズキの小型車を幅広いユーザーに広げたいと語る鈴木氏

日本市場に向けてスズキが発信する「小型クロスオーバーワゴン」

スズキ株式会社 四輪商品・原価企画本部 四輪商品第一部 クロスビー担当チーフエンジニア 高橋正志氏

 鈴木氏に続いて登壇したのは、クロスビー担当チーフエンジニアを務めたスズキ 四輪商品・原価企画本部 四輪商品第一部の高橋正志氏。

 高橋氏は新型モデルであるクロスビーの開発にあたり「もっとみんなで、もっと遠くまで遊びに行こう。もっと自分らしく人生を楽しみたい。それをお気に入りのクルマといっしょに叶えたい」という思いを込めたと説明。開発コンセプトについて「広い室内空間とあらゆるシーンに対応できるユーティリティを持つワゴンのパッケージでありながら、一方でワゴンに見えないようなスタイリッシュさと力強さを合わせ持つ魅力的なデザイン。さらにどこまでも走りたくなるようなわくわく感を持つSUVの楽しさを掛け合わせることによって実現した、日本市場に向けてスズキが発信する新しいジャンル『小型クロスオーバーワゴン』です」と解説。さらに「ライフスタイルに合わせてクルマを選ぶのではなく、クルマによって自分のライフスタイルを変える。このクルマといっしょなら、冒険心も遊び心も満たしてくれる。何か新しいことに挑戦してみたくなる。そんな愛すべき相棒、それが新型クロスビーです」と語り、ニューモデルが目指した方向性について明らかにした。

クロスビーの開発コンセプトなどについて説明する高橋氏

 クロスビーの商品特長は「パッケージング」「デザイン ユーティリティ」「安全技術」「4WD性能」「低燃費化技術」の5点であると紹介し、「パッケージング」については最大の特長であり、ほかに例を見ないものであるとコメント。「コンパクトでたくましいSUVスタイルを採用しながらも、クラスを超えた広い室内空間と高い走破性を両立しました」と解説。また、2点目となる「デザイン ユーティリティ」では、「都会でもアウトドアでも映えるこだわりのスタイリングと、日常からアクティブなシーンまで幅広く対応できるラゲッジスペースを持つユーティリティ」をポイントに挙げ、さらに「安全技術」では危険を予測して安全運転をサポートする「スズキ セーフティ サポート」に対応。スズキの小型車として初めて「後退時ブレーキサポート」を搭載したことで、後退時にも衝突回避、または衝突被害を軽減してくれるとアピールした。

「4WD性能」では、2つの走行シーンに加えて急な下り坂で走行をアシストする「ヒルディセントコントロール」、ぬかるんだでも安心して走れる「グリップコントロール」を搭載。「低燃費化技術」では1.0リッターの直噴ターボエンジンとマイルドハイブリッドを組み合わせた新型パワートレーンを開発し、全車に標準装備して燃費と走りの両立を図っていることを紹介。最後に高橋氏は「新型クロスビーはこれまでのSUVやコンパクトカーとは一線を画す新ジャンルとして、新しい市場を切り拓くことを期待しております」と商品解説を締めくくった。

クロスビーの開発コンセプト。3つの魅力がクロスしたモデルとなっている
クロスビーが持つ5つの商品特長
クロスビーは2つの新色など多彩なボディカラーをラインアップ。さらに内外装をカスタマイズするステッカー類などのオプション品も豊富に用意している
シート表皮もパイピングとカラーアクセントのセットを3種類設定。ボディカラーとコーディネートして車内を彩る
ボディサイズは3760×1670×1705mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2435mm
ゴルフバックを真横に倒して搭載したり、35Lのキャリーバッグ5つを並べて搭載できるラゲッジスペースを用意
樹脂製の大容量ラゲッジアンダーボックスは、車外に持ち出して多彩な使い方ができると提案
上級グレードの「HYBRID MZ」は「防汚タイプラゲッジフロア」を採用する
スズキの小型車で初となる「後退時ブレーキサポート」や「デュアルセンサーブレーキサポート」などをパッケージにした「スズキ セーフティ サポート」を用意
オプション装備の「全方位モニター用カメラパッケージ」では、「3Dビュー」や「左右確認サポート機能」などで駐車場や狭い路地などでの安全確認を手助けする
4WD車ではオフロード走行をサポートする「ヒルディセントコントロール」と「グリップコントロール」、雪道などの走行を助ける「スノー」モードに加え、パワフルな走りが楽しめる「スポーツ」モードを設定
JC08モード燃費は2WD(FF)車が22.0km/L、4WD車が20.6km/Lとなる
グレードは2種類を用意し、それぞれで2WDと4WDが選択できる

 発表会後半に実施された質疑応答では、外観デザインが軽自動車の「ハスラー」に似ていて、軽自動車の拡幅版として見られてしまうリスクがありながらもあえてこのデザインを採用した理由について問われ、担当チーフエンジニアの高橋氏は「このクルマの成り立ちは、4年前の東京モーターショーでお披露目したときに、お客さまから『小型車版も出してほしい』という声を非常に多くいただきました。そんなお客さまの声が増え続けたということが開発のきっかけになりました。そこで、ハスラーが持つ『皆さまに愛されるデザイン』『使いやすさ』といったものを継承しながらも、このクルマは『イグニス』と同じAプラットフォームをベースにしながら、デザインも含めていちから見直し、小型車らしい質感、外観などすべてを新たにデザインしました」と回答。さらに鈴木社長も「ということで、『クロスビーはクロスビー』だと思っています。並べて見ていただいても、今までのような『ワイド』といったころのイメージではないと思います。『クロスビーはクロスビー』。ちゃんと名前がありますので、しっかりと売っていきたいと思っています」とコメントした。

質疑応答の様子

 また、全車でターボ仕様を採用し、自然吸気エンジンが設定されていない理由について高橋チーフエンジニアは「エンジンについては、『みんなでもっと遠くまで遊びに行きたい』というコンセプトを考えたときに、大人が後席に乗っているようなときでももっと遠くまで、荷物も載せて遊びに行くと想定すると、余裕のある走りを実現するために1.0リッターの直噴ターボエンジンのみというのが、このクルマの商品性も含めてぴったり合うと考えて決めました」と説明した。

 このほか輸出の可能性については鈴木社長が回答し、まずは国内専用のモデルとして立ち上げ、日本市場でしっかりと売ることを意識しているとしつつ、一方で輸出が視野に入っていないわけではなく、このクルマに興味を持ってくれる市場があるなら考えていきたいと述べた。