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KDDIと日立、グローバルIoT事業で協業。KDDIとトヨタの「つながるクルマ」の通信基盤を適用拡大

KDDIのグローバル通信プラットフォームと日立の「Lumada」を連携強化

2018年6月7日 発表

KDDI株式会社 取締役執行役員常務 森敬一氏(左)と株式会社日立製作所 執行役常務 社会ビジネスユニットCEO 永野勝也氏(右)

 KDDIと日立製作所は6月7日、グローバルIoT事業で協業すると発表した。両社は、KDDIのグローバル通信プラットフォームと日立のIoTプラットフォーム「Lumada」の連携を強化、KDDIはトヨタ自動車と進める「つながるクルマ」の通信基盤の適用分野を拡大していく。

 同日、KDDIと日立の共同記者会見が開催され、KDDI 取締役執行役員常務 森敬一氏と日立製作所 執行役常務 社会ビジネスユニットCEO 永野勝也氏が出席して、両社のIoT事業の取り組みについて説明した。

 KDDIでは国ごとに仕様が異なるIoT通信接続をグローバルで共通化し、IoTの通信接続からサービス展開、データ分析までサポートする「IoT世界基盤」を推進している。

 そのIoT世界基盤として展開するKDDIのグローバル通信プラットフォームは、トヨタ自動車とKDDIが進める「つながるクルマ」の通信基盤に採用されたもの。国や地域に跨り移動する自動車や建設機械といった移動体のほか、グローバルに出荷されるさまざまな産業設備などの一元管理を、通信環境を気にすることなく実現できるプラットフォームとなる。今後、KDDIでは自動車のほか、さまざまな産業分野における適用を拡大していく予定。

トヨタ自動車と自動車向けに開発してきたグローバル通信プラットフォームを軸にIoT世界基盤を推進してきたKDDIの取り組みを示したスライド
KDDIと日立の協業のポイント

 記者会見で、KDDIの森氏は「(IoT事業では)パートナー企業との連携が非常に重要となり、日立さんと共にIoTの世界進出を進めてまいりたい。KDDIと日立さんとの協業では、プラットフォーム連携からIoT機器の適用までさまざまな分野で協業してまいります」とコメントした。

KDDI株式会社 取締役執行役員常務 森敬一氏

 一方、日立は製造業における制御・運用技術のOT (Operational Technology)とAIやビッグデータ解析など最新のデジタル技術のITを融合したIoTプラットフォーム「Lumada」を2016年5月に提供開始した。

 Lumadaは、これまでに電力や交通など社会インフラ分野、製造・流通分野などの幅広い分野で、国内外のパートナーと機器の故障予知による稼働率の向上、交通情報を活用した輸送計画の最適化といった500件を超える各種ユースケースを積み上げてきた。

 KDDIのグローバル通信プラットフォームの開発においては、Lumadaの中核テクノロジーの1つであるHitachi Application Framework/Event Driven Computing(HAF/EDC)などが適用されており、今回新たな協業の第1弾として、7月から日立産機システムがグローバルに展開する産業用インクジェットプリンターにおいて、グローバル通信プラットフォームを試験導入する。

KDDIと日立の新たな協業の第1弾として、日立産機システムの産業用インクジェットプリンターにグローバル通信プラットフォームを試験導入。遠隔地でのモニタリング画面のデモ

 日立の永野氏は「KDDIさんと日立はグローバルのIoT事業で協業してIoT世界基盤とLumadaをかけあわせ、これまで通信の制限でグローバル企業が実現できなかったたくさんの可能性を実現させます。グローバルでさまざまな価値のつながり、安全安心快適に暮らせる社会を目指し、世界中どこでもつながるオープンなプラットフォームを広げていきたい」と意気込みを話した。

株式会社日立製作所 執行役常務 社会ビジネスユニットCEO 永野勝也氏
IoTプラットフォーム「Lumada」など日立の取り組みを示すスライド
KDDIと日立の協業によるポイント

 今後、KDDIと日立は建設機械や工場の生産設備、エネルギーや交通といった社会インフラ分野の設備管理など幅広い分野において同基盤の活用を検証するなど、KDDIのグローバルでのIoTの事業展開の加速に取り組んでいくとしている。