ニュース

スズキ、20年ぶりに軽4WD「ジムニー」・小型4WD「ジムニーシエラ」フルモデルチェンジ

ジムニーは145万8000円~、ジムニーシエラは176万400円~

2018年7月5日 発売

ジムニー:145万8000円~184万1400円

ジムニーシエラ:176万400円~201万9600円

新型「ジムニー」(左)と新型「ジムニーシエラ」(右)

 スズキは7月5日、新型軽4輪駆動車「ジムニー」と、新型小型4輪駆動車「ジムニーシエラ」を発売した。価格はジムニーが145万8000円~184万1400円、ジムニーシエラが176万400円~201万9600円。

 5スロットルグリル、丸形ランプ、ヘッドライトから独立したウィンカー、クラムシェルフードなど、歴代ジムニーを継承するデザインを採用。なお、ジムニーとジムニーシエラのボディパネルは共通となり、前後バンパーやオーバーフェンダー、タイヤサイズなどで差別化が図られている。

ジムニー
グレードエンジン変速機駆動方式価格
XG直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ5速MTパートタイム4WD1,458,000円
4速AT1,555,200円
XL5速MT1,582,200円
4速AT1,679,400円
XC5速MT1,744,200円
4速AT1,841,400円
ジムニーシエラ
グレードエンジン変速機駆動方式価格
JL直列4気筒DOHC 1.5リッター5速MTパートタイム4WD1,760,400円
4速AT1,857,600円
JC5速MT1,922,400円
4速AT2,019,600円
WLTCモード燃費
車種変速機WLTCモード市街地モード郊外モード高速道路モード
ジムニー5速MT16.2km/L14.6km/L17.5km/L16.5km/L
4速AT13.2km/L11.0km/L13.9km/L14.2km/L
ジムニーシエラ5速MT15.0km/L12.8km/L15.8km/L15.9km/L
4速AT13.6km/L11.2km/L14.7km/L14.6km/L
ジムニー
ジムニーシエラ

 1998年に3代目となるジムニーが発売され、20年ぶりのフルモデルチェンジとなる今回のジムニー/ジムニーシエラでは、開発コンセプトを「本格的な4WD性能と無駄のない機能美を併せ持つ、世界に認められるコンパクト4×4」として、ジムニーを必要としているユーザーの求める性能・機能を磨き、プロユーザーにも認めてもらえる性能とするべく開発を行なったという。

 本格4WDの伝統を受け継ぐラダーフレームは、前後のクロスメンバー、フレーム中央の「X(エックス)メンバー」を新採用したことで、ねじり剛性を従来の約1.5倍に向上。フレームとボディを繋ぐ新開発のマウントゴムは、上下方向を柔らかくして乗心地の向上を図り、水平方向を硬くして操縦の安定性を高めた。

前後のクロスメンバーと、フレーム中央の「X(エックス)メンバー」を採用するなど新開発のラダーフレーム

 ボディサイズはジムニーは3395×1475×1725mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2250mm、最低地上高は205mm。ジムニーシエラは3550×1645×1730mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2250mm、最低地上高は210mm。ジムニーシエラでは、従来よりもトレッド幅を広げて高速走行時の安定性を向上させている。

 エンジンを縦置きにするFRレイアウトにより、ジムニーはアプローチアングルが41度、ランプブレークオーバーアングルが28度、デパーチャーアングルが51度、ジムニーシエラはアプローチアングルが36度、ランプブレークオーバーアングルが28度、デパーチャーアングルが50度という対障害角度を確保した。

 パワートレーンについては、ジムニーには最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク96N・m(9.8kgf・m)/3500rpmを発生する直列3気筒DOHC 0.66リッターターボエンジン「R06A」型を搭載。圧縮比やロングストロークによる低回転時の太いトルクにより、オフロード走行性能の向上に貢献する。

 ジムニーシエラには、新開発となる最高出力75kW(102PS)/6000rpm、最大トルク130N・m(13.3kgf・m)/4000rpmを発生する直列4気筒DOHC 1.5リッターエンジン「K15B」型を搭載。軽量・コンパクトで燃費に優れ、排気量アップによる出力向上により走りに力強さとゆとりをもたらすとした。

 どちらのエンジンも、吸気口の改良やアルミ製オイルパン、専用フライホイールなどの採用が行なわれ、燃料タンクは樹脂製を採用している。

ジムニーに搭載される最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク96N・m(9.8kgf・m)/3500rpmを発生する直列3気筒DOHC 0.66リッターターボエンジン「R06A」型
ジムニーシエラに搭載される最高出力75kW(102PS)/6000rpm、最大トルク130N・m(13.3kgf・m)/4000rpmを発生する直列4気筒DOHC 1.5リッターエンジン「K15B」型

 トランスミッションには5速MTと4速ATを搭載し、4WDシステムはジムニー伝統の副変速機付パートタイム4WDを採用。オンロードなどでは後輪駆動の2WD、オフロードや雪道ではレバー操作で4WDに切り替えが可能。4WDには通常の2倍に駆動力を増幅するローギヤの「4L」を設定し、急な登坂路や悪路での高い走行性を実現した。

 足まわりはジムニー伝統の3リンクリジットアクスル式サスペンションを採用。構造を継承しつつ新開発となる足まわりでは、各部品の最適化により乗心地を向上。荒れた路面やぬかるみを走破するために、エンジントルクを落とすことなく空転した車両にだけブレーキを作動させ、他方の車輪に駆動力を伝える「ブレーキLSDトラクションコントロール」を標準装備した。また、坂道での運転をサポートする「ヒルホールドコントロール」「ヒルディセントコントロール」も標準装備とした。

副変速機では、通常走行時に選択する「2H(2WD)」、雪道や荒地など2WDで走行が困難場合に選択する「4H(4WD高速走行)」、急登坂、急勾配など大きな駆動力が必要となる場合に選択する「4L(4WD低速)」を切り替え可能
「ブレーキLSDトラクションコントロール」の作動イメージ

 さらに、ステアリングにはステアリングダンパーを新採用して、悪路走行時のステアリングへのキックバックや、高速走行時のステアリングの振動を低減させている。

徹底的に機能美にこだわったデザイン

 ジムニー/ジムニーシエラ共に、デザインコンセプトを「合理的で無駄のない機能美“プロの道具”をデザインする」に定め、理由のある形として合理性と機能性を追求。プロユーザーのヒアリングや実車の試乗、ディスカッションを行ない、デザイナー同士で意識を共有しながら開発を進めたという。

 エクステリアでは、「機能に徹した飾らない潔さ」を狙いとして、悪路走破性、視界のよさ、積載性といった基本性能を特化させ、機能重視のプロの道具と分かるデザインとした。

 フロントウィンドウからの視界確保のため、従来モデルよりAピラーを立たせて車両後方に引き、フードが長く普遍的なプロポーションを創出。前方でクランクした水平なベルトラインと立ったAピラーによりウィンドウを大きくするとともに、Bピラーを直線的にすることでクォーターガラスを拡大して視界を確保した。

 また、フード、ショルダーなどの鉄板を一方向に折り曲げたデザインにするとともに、ボディ四隅のアールの取り方や、ガラス周辺の面取り処理やビート類でしっかりとした骨格と鉄板の厚みを表現。フードとカウルを段差なくルーフもフラットのすることで堆積した雪を下ろしやすく、各ガラスを立てることで雪を堆積しにくくした。

 前後バンパーは、切り上げた処理により走破性を確保するとともに、無塗装とすることで気兼ねなく過酷な環境へ突き進めるようにした。ジムニーシエラでは石はねでボディに傷が付きにくくなるよう、バンパーと同じ無塗装のオーバーフェンダーとサイドアンダーガーニッシュを採用した。台形のホイールアーチは、万が一タイヤ交換が必要となった際に、手の抜き差しやタイヤの出し入れなどが容易にできるようにという配慮がされている。

 インテリアも、エクステリアと同様に機能に徹した飾らない潔さを狙いとして、合理的で無駄のない機能美、プロの道具を形にするため3つのテーマを中心にデザイン開発を実施。

ジムニー/ジムニーシエラのインテリア(MT車)
ジムニー/ジムニーシエラのインテリア(AT車)

 室内空間はスクエアなデザインにより、頭上や肩まわりの空間を広くして快適性を向上。シートポジションはジムニー/ジムニーシエラ共通で、前席は30mm後方に下げつつ、前後乗員間距離を40mm拡大した。

 内装色は運転に集中できる環境とするため黒を基調として、無駄な色や余計な装飾を排除。機能部品を明確にするため、空調機能であるサイドルーバーのリングに鋼をイメージした金属調シルバーを採用してタフ&重厚感を表現した。

 車両の傾きや変化を感覚的に感じ取れるようにデザインされた水平基調のインパネ上方には、メーターや安全装備、ナビゲーション、オーディオなどをレイアウト。中央部分のエアコンダイアルや集合スイッチは、グローブを付けたままでの走行や、悪路走行など過酷な環境での操作も想定して、感覚的に操作できるような形状とした。

 ドアトリムも必要な機能を最小限に収め、グローブをしたままでも掴みやすいドアグリップと連続したアームレストなど、インパネ同様に水平基調のデザインを採用。鉄板面を残すことで、タフで潔い割り切りを表現した。

 フロントシートは、腰をしっかりサポートしつつ肩はサポートレスにする形状で、車体が大きく揺れたときに身体を揺らせるようにデザインを考慮。シート表皮は上級、標準の2種類が用意され、上級では撥水機能を備えた黒地のトリコット生地にアクセント色を加えて清潔な印象を演出。標準では幾何学的でメカニカルな柄を採用した。

 なお、内装の樹脂表面には傷つき性や汚れ除去性を考慮した複数種類のシボを配置。アッパーには横基調のデザインでメカニカル・緻密感のあるシボを、グラブバーやドアグリップ用には、傷が目立ちにくく直接的な光りの反射を抑えるとともに、グリップ性も考慮した新開発のシボを採用した。

 パッケージングについては、コンセプトである“プロの道具”として、ジムニーを仕事や趣味で使っているユーザーへの調査に基づき、使いやすさや荷室の機能性を追求。先代モデルを踏襲しながら、取りまわしのしやすいボディサイズと視界のよさにこだわった。

 バックドアの開口部は、テールランプの位置を変更することで1mを超える荷室開口幅を確保。荷室幅は最大1300mmとなり、シートバックを倒すとフラットな床が現われる。なお、後席シートバックと荷室は、樹脂化した防汚タイプのラゲッジフロアを採用して、汚れに強く荷物の出し入れをスムーズに行なえるようにしたほか、フラットな床を実現するため、後席シートベルトは脱着式とした。

シートアレンジ例。車内長は最大1795mmで、長尺物の積載も可能

 そのほかにも、荷物を固定しやすくするフックを取り付けるためのユーティリティナットを荷室左右にそれぞれ5カ所設置。また、荷室下部には「収納の幅広いニーズに応えるために進化した」という「ラゲッジボックス&ツールボックス」を装備する。

 ボディカラーは、使用される環境や人を知るために日本と欧州の森林組合やプロハンターなどにインタビューを実施。「機能を表現した車体色」として、暗い森の中や悪天候でも目立ち視認性が高い色相の「キネティックイエロー」と、深い森の中に溶け込み自然と一体になる「ジャングルグリーン」を新しく設定。外装部品の色は加飾を廃し、必要な場所に必要な色・質感を与えている。

視認性が高い「キネティックイエロー」のジムニー
自然と一体になる「ジャングルグリーン」のジムニー
「シフォンアイボリーメタリック」のジムニー
「ブリスクブルーメタリック」のジムニー
「ミディアムグレー」のジムニー
「ブルーイッシュブラックパール3」のジムニー
「シルキーシルバーメタリック」のジムニー
「ピュアホワイトパール」のジムニー
「スペリアホワイト」のジムニー
ジムニー XCにはルーフがブラックになる2トーンカラーも設定。こちらは「キネティックイエローブラック2トーンルーフ」
「シフォンアイボリーメタリックブラック2トーンルーフ」のジムニー XC
「ブリスクブルーメタリックブラック2トーンルーフ」のジムニー XC
ジムニー XCにのみ設定され、受注生産の「キネティックイエローブラックトップ2トーン」。ルーフに加えてボンネットもブラックとなる
「キネティックイエロー」のジムニーシエラ
「ジャングルグリーン」のジムニーシエラ
「シフォンアイボリーメタリック」のジムニーシエラ
「ブリスクブルーメタリック」のジムニーシエラ
「ミディアムグレー」のジムニーシエラ
「ブルーイッシュブラックパール3」のジムニーシエラ
「シルキーシルバーメタリック」のジムニーシエラ
「ピュアホワイトパール」のジムニーシエラ
「スペリアホワイト」のジムニーシエラ
ジムニーシエラはJCにルーフがブラックになる2トーンカラーを設定。こちらは「キネティックイエローブラック2トーンルーフ」
「シフォンアイボリーメタリックブラック2トーンルーフ」のジムニーシエラ JC
「ブリスクブルーメタリックブラック2トーンルーフ」のジムニーシエラ JC

 安全性能については、安心して乗れる運転のしやすさを考えた「基本安全」、事故そのものを未然に防ぐ「予防安全 スズキ セーフティ サポート」、万が一の衝突時に被害を軽減するための「衝突安全」の大きく3つの項目に分けて技術を開発。

 新型ジムニー/ジムニーシエラの基本安全については、見切りのよさ、スイッチ類の操作性のよさを追求。予防安全では、スズキ セーフティ サポートの「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」「車線逸脱警報機能」「誤発進抑制機能(AT車)」「ハイビームアシスト」「先行車発進お知らせ機能」「ふらつき警報機能」「標識認識機能」をジムニー XC、ジムニーシエラ JCに標準装備。その他のグレードにはオプション設定した。また、標識認識機能ではこれまでの「車両進入禁止」に加え、「最高速度」「はみ出し通行禁止」の標識を認識可能となった。

デュアルセンサーブレーキサポートの作動イメージ
誤発進抑制機能(AT車)の作動イメージ

 衝突安全では、軽量衝撃吸収ボディ「テクト(TECT)」のほか、衝撃吸収カウルトップ構造や衝撃吸収フードヒンジ構造、衝撃吸収フロントバンパー構造などの歩行者障害軽減ボディを採用。全車に「フロントシートSRSサイドエアバッグ」「SRSカーテンエアバッグ」を標準装備するとともに、後席シートベルトリマインダーを設置した。