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スズキ、新開発ラダーフレームなど4WD性能を高めた新型「ジムニー」「ジムニーシエラ」発表会

「ジムニーは日本が世界に誇れる唯一無二のコンパクト4駆」と鈴木社長

2018年7月5日 開催

 スズキは7月5日、軽4輪駆動車「ジムニー」、小型4輪駆動車「ジムニーシエラ」をフルモデルチェンジして発売。同日に都内で記者発表会を開催した。

 ジムニーは初代モデルが1970年にデビューし、先代モデルとなる3代目が1998年に登場して以来、20年ぶりのモデルチェンジで4代目を迎えた。ボディラインアップは0.66リッターのターボエンジンを搭載して日本国内の専売モデルとなるジムニー、1.5リッターの自然吸気エンジンを搭載してグローバル展開するジムニーシエラの2種類。全車で副変速機を備えるパートタイム4WDを採用し、運転支援機能「スズキ セーフティ サポート」をグレード別に標準装備、またはオプション設定することもトピックとなっている。価格はジムニーが145万8000円~184万1400円、ジムニーシエラが176万400円~201万9600円。

 このほかジムニー、ジムニーシエラの詳細は、関連記事の「スズキ、20年ぶりに軽4WD『ジムニー』・小型4WD『ジムニーシエラ』フルモデルチェンジ」「写真で見る スズキ『ジムニー』『ジムニーシエラ』」を参照していただきたい。

新型ジムニー XC
新型ジムニーのボディサイズは3395×1475×1725mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2250mm。ステージ上に置かれた車両はジムニーが持つ高い走破性をアピールするため、ダミーの岩に左フロントタイヤを乗り上げた状態で展示されていた
ジムニー XCのみに専用設定される「キネティックイエロー ブラックトップ2トーン」(6万4800円高で受注生産)
ジムニーのエントリーグレードである「XG」の5速MT車は145万8000円。ボディカラーは写真の「スペリアホワイト」など4色から選択できる
ジムニーは直列3気筒DOHC 0.66リッターターボの「R06A」型エンジンを搭載。最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク96N・m(9.8kgf・m)/3500rpmを発生する
ジムニーのタイヤサイズは全車175/80 R16。写真のスチールホイールのほか、XCではアルミホイールを標準装備する
新型ジムニーシエラ JC
ジムニーシエラは直列4気筒DOHC 1.5リッター自然吸気の「K15B」型エンジンを搭載。最高出力75kW(102PS)/6000rpm、最大トルク130N・m(13.3kgf・m)/4000rpmを発生する
ヘッドライトはジムニーのXGとXL、ジムニーシエラのJLでハロゲン式(上段)、ジムニー XCとジムニーシエラ JCでLED式(下段)を採用。LEDヘッドライトにはヘッドライトウォッシャーを備える
ジムニーのパワートレーンやラダーフレームなどの技術展示。ラダーフレームの中央付近に新設された「エックスメンバー」や前後の追加クロスメンバーにより、ボディのねじり剛性を従来の約1.5倍に向上させた
「K15B」型エンジンの単体展示
ジムニー、ジムニーシエラの全車でフルサイズの背面スペアタイヤを標準装備。ジムニー担当のチーフエンジニアを務めたスズキの米澤宏之氏によれば、過酷な路面状況で日常的に走行する使用環境から、ジムニーシリーズはサイドウォールをカットするパンクが発生することも多く、パンク修理キットやテンパータイヤでは対応しきれないことを想定してフルサイズの背面スペアタイヤの全車装備にこだわったとのこと。このためリアハッチはサイドヒンジの横開き式のみとなる
従来モデルでは縦型のリアコンビネーションランプを採用していたが、新型ではバンパー装着の横型に変更。これによりリアハッチの開口幅を広げて使い勝手を高めている
ジムニー XGで採用する一体可倒式リアシート。4人乗車時の荷室床面長は240mm
ジムニー XG以外のモデルでは5:5分割可倒式のシングルフォールディングリアシートを標準装備。リアシート背面と荷室内が樹脂化された「防汚タイプラゲッジフロア」を採用し、リアシートを畳んだ状態でフルフラットになるよう、段差部分を収納スペースに活用する「ラゲッジボックス」も装備する
ジムニーシエラ JCのインパネ
ジムニーシエラ JC(写真)とジムニー XCでは本革巻ステアリングホイールを標準装備
中央にマルチインフォメーションディスプレイを設定する大型2眼式メーターを採用
メーターパネルは外観イメージともコーディネートされた「立方体メータークラスター」となる
エアコンの操作ダイヤルやトグル式のスイッチ類、ドアグリップなどはグローブを装着したままでも操作しやすい形状となっている
5速MT車のシフトレバーと機械式副変速機のトランスファーレバー
5速MT車はクラッチペダルを備える3ペダルタイプとなる
ジムニー XGのシフトノブ操作シーン(41秒)
シングルフォールディングリアシートは左右独立で12段階のリクライニングが可能。座面は一体型で固定式となる
全車ではっ水加工が施されたファブリックシート表皮を採用。フロントシートSRSサイドエアバッグも全車で標準装備
SUZUKIロゴ入りのフロントグリルや金属調塗装のフロントバンパーアンダーガーニッシュ、マッドフラップ、サイドデカールなどの外装パーツを装着するオプション装着車
内外装のデザイン変更アイテムのほか、カータープ(写真)やプライバシーシェードといった使い勝手を高めるオプション品も多数用意されている

「ジムニーは日本が世界に誇れる唯一無二のコンパクト4駆」と鈴木社長

スズキ株式会社 代表取締役社長 鈴木俊宏氏

 発表会では、最初にスズキ 代表取締役社長の鈴木俊宏氏が登壇。鈴木氏は「今回のモデルは『本格4駆』『機能美』にこだわりを持って開発を進めました」とコメント。「ジムニーシリーズは日本をはじめ、世界各国で『本格的でコンパクトな4駆』として活躍してきました。プロの方が仕事に使う道具やさまざまなレジャーでの相棒、山岳地帯での生活の足として長く皆さまに愛されてきました」と述べ、48年に渡る歴史の中でこれまでに194の国や地域で販売し、累計販売台数が285万台になると紹介した。

 また、鈴木氏は「ジムニーに並々ならぬ思いを持っている」というスズキ 代表取締役 会長の鈴木修氏のメッセージを紹介。

「ジムニーの20年ぶりとなるフルモデルチェンジを迎えるにあたり、思い出を披露したいと思います。昭和45年に私が東京駐在の常務であったとき、ホープ自動車の小野さんから『360ccの4輪駆動車で富士山の8合目まで上っていける』とのお話しをうかがいました。映像を見せてもらったところ、なるほど、小さなクルマが急斜面をものともせず、グイグイと上って行くではありませんか。その力強さと性能に惚れ込み、小野さんにアイデアをご提供いただきながら、スズキ流の開発を加えて世に送り出したのがジムニーです」。

「発売当時は、まさか半世紀にわたってお客さまにかわいがっていただけるとは思ってもいませんでしたが、熱狂的なファンの皆さま1人ひとりが深く愛してくださったおかげでここまで来ることができました。心より感謝申し上げます。48年前にジムニーが生まれた原点の『本格4駆』にふさわしい姿に仕上がったと、私も嬉しく思っております。これからもジムニーを愛していただければ幸いです」。

 鈴木会長のメッセージを読み上げた後、鈴木氏は「ジムニーは誕生から48年、決して大ヒットというわけではありませんが、地道に販売を続けてまいりました。ロングセラーの代表格がジムニーだと思います。これからも1台1台、大切にお客さまにお届けしてまいります。このジムニーを、スズキを代表する看板モデルの1つとしてさらに成長させていきたいと考えております。ジムニーは日本が世界に誇れる唯一無二のコンパクト4駆です。ジムニーがあったからこそ、その後に発売した『アルト』『エスクード』『ワゴンR』にもその独創性が受け継がれ、スズキが目指す『お客さまの期待を超える価値を持ったクルマ作り』につながったと思います」と語り、ジムニーが持つ独自性をアピールした。

ジムニーシエラと並んでフォトセッションに立つ鈴木氏
スズキ株式会社 四輪商品第二部 チーフエンジニア 課長 米澤宏之氏

 新型のジムニー、ジムニーシエラの商品概要については、スズキ 四輪商品第二部 チーフエンジニア 課長の米澤宏之氏が解説を実施。

 米澤氏はジムニーシリーズの開発にあたって「ジムニーとして継承すべきところ、進化させるべきところを明確にすることでした」と語り、ジムニーは仕事やレジャー、日常的な移動手段など幅広いシーンで利用されており、「継承すべきところ」「進化させるべきところ」を見極めるために、ジムニーの性能をフル活用していると考えられる人に「なぜジムニーを選んだのか」というインタビューを実施。現場でのジムニーの使われ方を肌で感じることができたという。

 これを受け、開発にあたってはスズキがこれまで大切にしていた「ジムニーの基本構造」を受け継いでさらにレベルを高め、本格的な性能を与えつつ、幅広いユーザーに満足してもらえる快適性を兼ね備えた「新しいジムニー」に進化させることに取り組んだと米澤氏は解説。開発コンセプトを「本格的な4駆性能と無駄のない機能美を合わせ持つ、世界に認められるコンパクト4×4」と定め、商品特長として「伝統の基本構造を継承し、さらに進化した本格4WD性能」「合理的で無駄のない機能美を追究したデザイン」「プロユースにも応える使い勝手を追究」「スズキ セーフティ サポートの搭載と優れた衝突安全性能」の4点を設定して開発を行なったという。

 最後に米澤氏は「日本で、世界で多くの人に末永く愛されるクルマになってほしいと願っています」と語ってプレゼンテーションを締めくくった。

ジムニーシリーズが持つ商品特性
日本全国の森林組合でジムニーが利用されており、山間部の林道などではジムニーのコンパクトなボディが重宝されていることなどを説明
伝統的なラダーフレームを受け継ぎつつ、新採用のエックスメンバー、新開発のマウントゴムなどで性能を進化させている
新型モデルの商品特長となる4点
スズキ株式会社 常務役員 国内営業本部 国内第一営業本部長の鈴木敏明氏からは、新型ジムニーシリーズの営業展開などについて解説された
発表会場では初代~3代目の歴代ジムニーも車両展示された
歴代ジムニーの車両展示(48秒)
初代ジムニー
初代ジムニー
2代目ジムニー
3代目ジムニー