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独フォルクスワーゲン、2019年末から「ID.」を生産開始。年間100万t以上のCO2削減

2025年までに20以上のEVを発売

2019年2月15日(現地時間)発表

フォルクスワーゲンの子会社「Elli」の再生可能な電力でEVの新型コンパクトカー「ID.」を充電

 独フォルクスワーゲンは2月15日(現地時間)、2025年までに20以上のEV(電気自動車)を発売するなど、今後に向けた包括的な脱炭素化プログラムの取り組みについて発表した。

 フォルクスワーゲンでは「気候変動は現代における最大の問題」と位置付け、パリ協定に協力するため電動化攻勢に注力。持続可能なモビリティを実現する基礎を築く取り組みを進めており、フォルクスワーゲンブランドだけで2023年までに約90億ユーロを電動化の「e-モビリティ」に投資する計画としている。

 具体的な製品では、2019年末から独ツヴィッカウ工場でEVの新型コンパクトカー「ID.(アイディ.)」の生産をスタートされるほか、SUVの「ID.CROZZ(アイディ.クロス)」、バン/MPVの「ID. BUZZ(アイディ.バズ)」、セダンの「ID.VIZZION(アイディ.ビジョン)」が続くロードマップを示している。

 ID.の生産にあたっては、CO2排出量の削減や回避を目標に設定し、搭載するバッテリーセルは“グリーン電力”を使ってヨーロッパで生産される予定。また、原材料の生産を含めたサプライチェーン全体でさらなるCO2削減の可能性を追究するため、直接的および間接的なサプライヤーの協力を得て検討を行なっているという。生産を担当するツヴィッカウ工場は再生可能エネルギーの電力を工場外に供給する状態となっており、生産工程で避けられないCO2の排出に関しては、認証された気候プロジェクトへの投資によって相殺する。この結果、ID.は当初から“CO2ニュートラル”で生産されるモデルになるとしている。

ID.で“CO2ニュートラル”のバリューチェーンを構築

 また、フォルクスワーゲンではEVのバッテリー充電に、風力や水力といった再生可能エネルギーを使用することを推奨。フォルクスワーゲンの子会社「Elli(エリ)」では、「フォルクスワーゲン ナトゥアシュトローム」と名付ける再生可能な方法で発電した電力の供給を開始しており、フォルクスワーゲンなどの自動車メーカーが設立した「IONITY(イオニティ)」は、欧州の高速道路上にある約400か所の充電ステーションに可能なかぎりグリーン電力を提供する急速充電ネットワークを構築する予定となっている。

 これらの結果、ユーザーがグリーン電力で充電した場合、ID.はフォルクスワーゲン グループで初めて「ライフサイクル全体をとおしてCO2ニュートラルなクルマ」となり、ID.の生産段階だけを取り上げても、100万t/年以上のCO2削減効果(30万世帯に電力を供給する石炭火力発電所のCO2排出量に相当)を見込んでいる。

 この発表内で、フォルクスワーゲン グループ サステナビリティ評議会のスポークスマンを務めるジョージ・ケル氏は「人類が生み出すCO2の排出は、可能な限り早期に削減する必要があります。フォルクスワーゲン グループ サステナビリティ評議会は、設立以来、気候保護をグループの戦略的優先事項の1つにするために懸命に取り組んできました。フォルクスワーゲンは、電動化攻勢と新型『ID.』によって、正しいアプローチを採用しています。そして今こそ、この計画を力強く実行に移す時です」とコメントしている。