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三菱地所とMONET、丸の内エリアでMaasの実証実験「オンデマンド通勤シャトル」説明会

2019年2月25日 開催

ビジネスパーソン向け実証実験

 三菱地所とMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)は2月25日、東京・丸の内エリアに勤務するビジネスパーソンやワーキングパパ・ママを対象にした実証実験「オンデマンド通勤シャトル」の説明会を開催。両社は、この実証実験を皮切りに、将来的なMaaS(Mobility as a Service)の実現に向けて検討を進めていくという。

 2月26日~3月22日に実施する実証実験では、利用者がスマートフォンのアプリケーションで選択した場所から勤務地付近まで送迎するサービスが提供される。

 ビジネスパーソン向け実証実験では、車内をオフィススペースとして利用できるようにWi-Fiサービスの提供や膝上テーブルなどを設置。ワーキングパパ・ママ向け実証実験では、保育施設の利用者が子供と快適に通勤できる空間を提供する。また、車内で軽食などを販売するなど、車内空間を活用した新たなサービスの可能性についても検証を進めていく。

 実証実験を主催するMONETは、トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社。今回の実証実験で三菱地所とMONETは、クルマの車内空間を有効活用することで、これまでの移動時間を働く時間や家族と快適に過ごす時間に変えるとともに、車内での物品販売など新たなモビリティサービスの検証を進めていくという。

 記者説明会では、三菱地所 経営企画部 DX(デジタルトランスフォーメーション)推進室 和田泰秀氏、MONET Technologies 事業推進部 佐久間早苗氏が登壇して実証実験の狙いなどを説明した。

三菱地所株式会社 経営企画部 DX(デジタルトランスフォーメーション)推進室 和田泰秀氏

 三菱地所の和田氏は「本実証では、モネ・テクノロジーズさまと都市部における新たなモビリティサービスの実現に向けてご一緒させていただき、主に働き方に焦点を当てて移動時間にとらわれないサービスの実現がありえるのかを検証するべく実証を行なっていきます。三菱地所グループ全体では商業施設や空港があり、こうしたモビリティサービスを活用できる場面が多々あると感じております。本実証を皮切りに、こういった新しいモビリティサービスがわれわれグループにとっても新しいビジネスにするべく検討を進めていきたいです」と話した。

MONET Technologies株式会社 事業推進部 佐久間早苗氏

 MONET Technologiesの事業推進部 佐久間早苗氏からは、今回の実証実験の概要が説明された。

ビジネスパーソン向け実証実験

ビジネスパーソン向け実証実験で使用される「アルファード」

 ビジネスパーソン向け実証実験は「満員電車での朝の通勤で、業務に向かう気力や体力がなくなる」「集中して仕事したいときには、グリーン席のようなものが欲しい」「週後半の疲れているときに座って眠りながら帰りたい」といったニーズに応えるもの。実証実験ではトヨタ自動車の「アルファード」2台を運行車両に使用して、2月26日~3月22日の期間(休日を除く)、朝は6時30分~9時30分、夜は17時45分~20時30分の時間帯で運行する。

 送迎エリアは吉祥寺、豊洲、川崎、上野、等々力、赤坂エリア~丸の内エリアで、対象者は野村総合研究所、古河電気工業の従業員など、大手町・丸の内・有楽町エリアで三菱地所が運営・管理するビルに勤務する人。

ワーキングパパ・ママ向け実証実験

ワーキングパパ・ママ向け実証実験

 一方、ワーキングパパ・ママ向け実証実験では「満員電車では子供が押し潰されそうになる」「子供と電車に乗ると、他の乗客の視線が冷たく感じることがある」「妊娠中は特に満員電車のストレスで身体の負担が大きい」といったニーズに応えるという。

 実証実験ではトヨタ「エスクァイア」を運行車両に使用して、2月26日~3月22日の期間(休日を除く)、朝は6時30分~9時30分、夜は17時45分~20時30分の時間帯で運行。

 送迎エリアは丸の内を中心とした半径3km圏内で、実証実験の対象者はアルファコーポレーション、ポピンズ、三菱地所プロパティマネジメントが運営する保育施設の利用者など、圏内にある三菱地所が協力を依頼した保育施設の利用者。

ワーキングパパ・ママ向け実証実験で使用されるトヨタ「エスクァイア」

企業による福利厚生などBtoBでの展開を検討

 実証実験の利用者は、専用のスマホアプリから乗車場所や降車場所、利用日時などを入力して利用予約を実施。運行車両にはタブレットが設置されており、運転するドライバーはタブレットの表示に従ってルートを走行する。MONETはこれを実現させるシステムを提供する。

ドライバーはタブレットの表示に従ってルートを走行する
利用者はスマホアプリから利用予約を実施する

 同説明会の質疑応答には、MONET Technologiesの事業推進部 担当部長 鈴木彩子氏も参加して、記者からの質問に答えた。

MONET Technologies株式会社 事業推進部 担当部長 鈴木彩子氏

 既存のサービスとの違いについて、MONET Technologiesの鈴木氏は「(MONETでは)BtoBでやっていきたいと考えています。本実証では三菱地所さまから日本交通さまにドライバーと車両を手配していただき、MONET Technologiesが三菱地所さまにシステムを提供するカタチになります」とサービスの枠組みを説明した。

 また、実証実験では利用料は無料となっているが、実用化された際の料金について鈴木氏は「法人のお客さまが利用するユーザーの方にどのように料金などを設定するかによりますが、MONET TechnologiesとしてはBtoBとして、企業の皆さまの福利厚生などに使っていただきたいと思っています。今後については各企業さまと相談しながらサービスを作っていきたいです」との見通しを話した。

 今後、両社は実証実験の結果などを踏まえ、通勤に加えて商業施設や空港への移動など、さまざまなシーンにおけるモビリティサービスの事業化について検討を進めていくとしている。