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トヨタ、新型「ヤリス」で初採用した「交差点シーン対応」は既存ハードをそのまま使って実現
新型ヤリス ワークショップレポート(安全装備編)
2019年10月18日 12:02
トヨタ自動車は10月16日、新しいコンパクトカー「ヤリス」を公開した。ヤリスは長年トヨタのコンパクトカーの中心的地位にあった「ヴィッツ」の4代目にあたるモデルで、新型モデルから世界統一名称として車名をヤリスに変更。トヨタが考える新世代のコンパクトカーを具体化したものになっている。
東京 お台場で開催された発表会では、ヤリスの特徴を解説するために「デザイン」「パワートレーン」「プラットフォーム」「安全装備」「駐車支援」「外部給電システム」6項目でワークショップに開催したので、その内容を1つずつ紹介していく。
本稿では「トヨタ初」「トヨタコンパクトカー初」の各種機能を実現した「安全装備」について取り上げる。
ヤリスは多くのユーザーに選ばれるコンパクトカーということで、最新の先進安全システムの開発を進めて、X“M Package”を除く全車に最新型の「Toyota Safety Sense」を標準装備するという。
その内容も、トヨタのコンパクトカーとしては初めての搭載となる「レーダークルーズコントロール」と「レーントレーシングアシスト」、夜間歩行者に対応する「プリクラッシュセーフティ」に加え、「オートマチックハイビーム」「先行車発進告知」「ロードサインアシスト」などを装備するほか、さらに「インテリジェントクリアランスソナー」「パノラミックビューモニター」といった先進安全機能も採用。
また、駐車場からバックして出庫する時に、左右後方から近づいてくるクルマなどを検知してブレーキを作動させる「リヤクロストラフィックオートブレーキ」と、車線変更時に死角となる斜め後方の状況を知らせる「ブラインドスポットモニター」もトヨタのコンパクトカーとして初採用。エアバッグが開くような強い衝突を検知した後もまだクルマが静止してない場合に、二次衝突の発生を抑制するため自動的にブレーキを掛けて減速させる「セカンダリーコリジョンブレーキ」の機能も持っている。
これら機能の中でとくにポイントになるのが、プリクラッシュセーフティに追加された「交差点シーン対応」。これはトヨタ初の機能として「交差点の右折時に前方から来る対向直進車、交差点右折時の横断歩行者」の検知を可能としたものだ。
交差点を右折する時に事故を予防する機能は高度な装置を必要とするものだと思っていたが、ヤリスは従来からToyota Safety Senseで使われていた機器をそのまま使用していて、機能の追加はソフトウェアの改良で実現しているとのこと。
しかし、センシング機器ともなれば、最初に設定したとてもシビアな条件に沿って設計されていると思うので、あとから機能を追加することが可能なのだろうかと疑問になる。
この点を質問してみたところ、実は以前のシステムでも右折時の直進対向車や横断歩行者などを検知できていたとのこと。ただ、ほかの色々な動体なども同時に検知していたので、検知した多くの情報から必要なものだけを見極めることが困難だったため、誤作動を避ける面から使っていなかったという。しかし、多種多様な認識テストを繰り返し、ソフトウェアの改良と動作検証を徹底的に行なうことで、センシングエリア内の目標の検知率を飛躍的に向上。Toyota Safety Senseに組み込めるまでの精度を実現したのだ。
予防安全技術の高性能化は事故に遭わない、事故を起こさないという点において大歓迎な部分だけに、交差点右折時の予防安全機能まで追加されたToyota Safety Senseの採用はユーザーにとって非常に心強いものと言える。
ヤリスにはそんなToyota Safety Senseと合わせ、トヨタ初となる高度駐車支援システム「Advance Park」が採用されているが、それについては別の記事で紹介する。