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ブリヂストン、バイアスタイヤや‘80’sスーパーバイクレース用タイヤが登場した2020年新商品発表会

RS10の性能を一段階引き上げた「BATTLAX RACING STREET RS11」登場

BATTLAX RACING STREET RS11:2020年3月16日 発売

BATTLAX BT46/BATTLAX CLASSIC RACING CR11:2020年2月1日 発売

クラシックバイクに装着された「BATTLAX BT46」

 ブリヂストンは11月27日、2輪車用スポーツラジアルタイヤの新モデル「BATTLAX RACING STREET RS11」と、2輪車用ツーリングバイアスタイヤの「BATTLAX BT46」のほか、1980年代の旧車を使用した2輪レース「‘80’sスーパーバイクレース」用の競技タイヤ「BATTLAX CLASSIC RACING CR11」の3製品を発表した。RS11は2020年3月16日に、BT46とCR11は同2月1日に発売する。

「BATTLAX RACING STREET RS11」や「BATTLAX BT46」などを発表

RS10の性能を1段階引き上げた「BATTLAX RACING STREET RS11」

新製品の概要を紹介した株式会社ブリヂストン MCタイヤ事業部長の内田達也氏
技術的な解説を行なった株式会社ブリヂストン MCタイヤ開発部の時任泰史氏

 RS11は、2015年に発売された「BATTLAX RACING STREET RS10」の後継製品で、公道走行をメインに据えたスポーツラジアルタイヤの最高峰。ワインディングはもちろんのこと、サーキットユースでも高いパフォーマンスを発揮し、街乗りやスポーツ走行に適したモデルとなっている。

 RS11ではサーキット向けのレーシングタイヤ「BATTLAX RACING R11」のトレッドパターンをベースとして、新たなコンパウンドや構造を採用し、「高いグリップ力」と「シャープなハンドリング」の両立を目標に開発された。

 トレッドパターンについては、ブレーキング時や加速時にタイヤにかかる力と同じ方向に溝を刻むことで高い剛性を実現。リアのショルダー部では横方向の溝の配置や長さを工夫することで、剛性バランスやリーン時の接地感の向上を果たした。

「BATTLAX RACING STREET RS11」
「BATTLAX RACING STREET RS11」
溝の配置などを工夫してタイヤの剛性バランスや接地感を向上させた

 フロント・リアともに、センター部とショルダー部で異なるコンパウンドを使って3分割する3LC(3 Layer Compound)を採用。特にリアのショルダー部については微粒径カーボンを素材とした新開発のコンパウンドとすることで、路面の凹凸になじみやすく、高いグリップ力を得られる設計にした。

 さらに、同社のリアルタイム解析技術「ULTIMAT EYE」を活用して接地面の圧力を最適化することにより、リアタイヤではRS10よりも縦に長い範囲で、均一に荷重を受け止められるようにし、内部のベルト構造をR11でも採用されている「V-MS・BELT」とすることで、グリップ力をさらに引き出した。

BATTLAX RACING STREET RS11を装着した車両
リア
フロント

 フロントタイヤは断面のクラウン形状を小径化したことで、ハンドリングの軽快性を追求。コーナリングでの安定性や接地感も含め、多くの性能指標においてRS10より1段階アップさせた。実際に行なったオートポリスサーキットでのタイムアタックでは、RS10と比較してRS11の方が平均的なラップタイムにおいて1.7%短縮したという。

 サイズ展開は主に1000cc以上のスーパースポーツに適合する3種類となる。近年人気の高まっている250ccのスポーツバイクなどにも適合するタイヤサイズについては、今後のニーズを見極めて検討するとしている。

RS11のコンセプトと採用技術
トレッドパターンと新コンパウンド
V-MS・BELTの採用とULTIMAT EYEの活用でグリップ力を向上。クラウン形状の変更でハンドリングを軽快に
総合的に性能が向上
ラップタイムで1.7%の差がついたという
RS11のサイズ展開

20余年の歳月を経て生まれ変わった「BATTLAX BT46」

ツーリングバイアスタイヤ「BATTLAX BT46」

 ツーリングバイアスタイヤの「BATTLAX BT46」は、1998年から販売している同社のバイアスタイヤ「BT45」の後継となる製品。ユーザーからアップデートの強い期待がありながらも「全体の製品ラインアップにおける優先順位」の問題から開発は後ろ倒しにならざるを得なかったが、20余年の歳月を経て、最新技術を盛り込んだ形で新モデルの登場となった。

トレッドパターンはBT45を踏襲

「歴代の名車をいかに活かすか、長年愛されてきたBT45のバランスをいたずらに崩すことなく、どう進化させるか」をテーマに開発された。トレッドパターンはBT45を踏襲しながらも、20年前とは異なる現代の設計思想に沿って、フロントは回転方向を反対にした。リアにはシリカ配合ゴムによる最新のコンパウンド技術を採用することで、特にウェット路面でのグリップ力とハンドリング性能を高めた。

「BATTLAX BT46」フロント
「BATTLAX BT46」リア

 ドライ路面での性能や耐摩耗性についてはBT45と同等を維持している。「昔のいいバイクの乗り味は変えず、雨でもより安心して走れるようにし、ツーリングをもっと楽しく」するタイヤに仕上げたという。サイズ展開はフロント8タイプ、リア17タイプ。

BT45のコンセプトと採用技術
ウェットハンドリング路の周回タイミングでは1.7%のタイムアップが可能だったという
特にウェット路面での性能にフォーカス
トレッド面にはデコレーショングルーブが刻まれる
BT46のサイズ展開

旧車のレースで安全かつ速く走る「BATTLAX CLASSIC RACING CR11」

「BATTLAX CLASSIC RACING CR11」のコンセプト

「BATTLAX CLASSIC RACING CR11」は、旧車とも呼ばれる1980年代のクラシックバイクのレース専用タイヤとして開発された製品。R11のトレッドパターンをベースに3LCやV-MS・BELTを採用するなど、RS11とほぼ同様のデザイン、構造にして特にドライグリップにフォーカスした。

レース向けタイヤにカテゴライズされる
採用技術
CR11でもULTIMAT EYEを活用

 欧州で行なわれた4時間耐久レースで試験導入したところ、CR11を装着した車両2台が3位にベストラップで3~4.2秒差をつけたうえでワンツーフィニッシュを飾り、高い戦闘力を持つことを示した。「レースで勝つことにこだわる」ユーザー向けの製品であり、ドライグリップに重きを置いているとはいえ、希少な旧車のレース向けということで、転倒につながりやすい急なコンディション変化にも対応できる十分なウェットグリップも備えているという。

欧州で行なわれたレースではCR11装着車がワンツーフィニッシュ。ベストラップで4.2秒もの差がついた
CR11のサイズ展開
「BATTLAX CLASSIC RACING CR11」は残念ながらまだ開発途中とのことで、実物の展示はなかった。11月1日に発売したエンデューロレース向けタイヤ「BATTLECROSS E50 EXTREME」が披露(右)された
「BATTLECROSS E50 EXTREME」は2018年に発売したE50のソフトコンパウンド版で、トレッドのゴムは明らかに柔らかい
BATTLECROSS E50 EXTREMEのコンセプト
走破に向いたシチュエーション
ソフトコンパウンドにより高いグリップを発揮する
E50 EXTREMEのサイズは1種類
ブリヂストンのバイク用タイヤの全ラインアップ