ニュース

日野の2020年3月期決算。純利益42.7%減で314億6700万円に

2021年3月期の業績予想は公表せず

2020年5月11日 発表

オンラインで開催された2020年3月期決算説明会に出席した日野自動車株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者 下義生氏

 日野自動車は5月11日、2020年3月期(2019年4月1日~2020年3月31日)決算を発表。売上高は1兆8155億9700万円(前年同期比8.4%減)、営業利益548億5900万円(同36.7%減)、経常利益495億9600万円(同40.9%減)。親会社株主に帰属する当期純利益については314億6700万円(同42.7%減)と、前年同期比234億4000万円減となった。

 なお、次期2021年3月期の連結業績予想については、2020年度の世界経済は新型コロナウイルス感染症の今後の感染拡大の規模や収束の時期などの見通しがたっていないことなどを理由に、現時点では業績に影響を与える未確定な要素が多いとして、公表を差し控えた。

連結決算の状況
市場見通しと収益目線

 具体的な業績内容では、日野ブランド事業のトラック・バスの総売上台数は17万4300台と前年同期に比べ2万9900台(14.6%)減少。

 国内売上台数では、大中型・小型トラック、バス総合計で6万6500台と前期に比べ5600台(7.8%減)減少したが、大中型・小型トラックを合わせたシェアについては過去最高の2019年度に次ぎ、32.6%を達成している。

 海外トラック・バスの売上台数では10万7700台と前期に比べ2万4300台(18.4%)減少。インドネシア・アメリカをはじめとする主力市場の鈍化に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響を受け販売台数が減少した。

 また、トヨタ向け車両台数については、SUVや小型トラックの台数が減少した結果、総売上台数は13万9300台と前年同期に比べ1万3300台(8.7%)減少した。

販売状況

オンラインで決算発表会を開催

販売/損益の状況

 同日、オンラインで開催された2020年3月期決算説明会に出席した日野自動車 代表取締役社長 最高経営責任者 下義生氏は2020年度の見通しなどについて説明。

新型コロナウイルスに対する取り組み

 日本については、すでに新型コロナウイルスの影響が出始めており、トラック市場については第2四半期より販売が落ち込み、年度内は影響が続くとし、バス市場については観光バスを中心に年度を通じて大幅減の見込みを示した。また、海外については主要市場において上期は大幅な落ち込みを想定。下期も低水準での推移を見込む。

2020年度の見通し

 2020年度目標についてはグローバル販売台数を15万台とし、2019年度実績の18万302台に対して約3万台減とした。業績予想に代わる収益目線として、売上高1兆5000億円、営業利益100億円の目標を掲げた。

2020年度の取り組み方針

 質疑応答の中で新型コロナウイルス後の世界についての質問に、下氏は「新型コロナウイルス後の世界をひと言で表わすのはなかなか難しいと思いますが、やはり今一番の問題は先が見えない、そして経済活動の基本である人との接触が制限されるといった状況はなかなか急激には回復しないのではないかと考えております。そういった意味では新型コロナウイルスの後の世界ではやはり従来の延長ではない新しい世界になるのではないかと考えています」との考えを話した。

 また、そういった状況の中でのトラック事業やバス事業の市場環境について、下氏は「さまざまなことがリモートで行なわれるようになり、私たちのお客さまである物流がその生活の基盤であるということを、今回ほど皆さんが再認識されたのではないかなと考えております。まずはその稼働をしっかり支えていくという、そういった意味では日野自動車の果たす役割はたいへん大きいのではないかと考えております」と述べるとともに、「一方で観光を中心としたバスの需要、観光バス事業については当面厳しい環境が続くと考えております。特にこのバス事業者さまの状況についてはしっかりコンタクトをさせていただいて、われわれなりにどのような協力ができるのか、トラック以上に考えていかなければならない」との考えを示した。

2019年度の取り組み報告
中期経営計画の2025年に向けた取り組みの進捗