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ダイハツの「トール」はマイチェンでどう進化したのか チーフエンジニアが解説

オンライン説明会レポート

2020年9月15日 発売

ダイハツのコンパクトハイトワゴン「トール」

 幅広いユーザーから支持され、発売から間もなく4年が経過するダイハツ工業のコンパクトハイトワゴン「トール」。9月15日にマイナーチェンジを迎えることとなったが、トヨタ自動車やスバルにOEM展開もされている車種はどのような進化をしたのか。オンラインにて説明会が行なわれたので、その内容をお伝えしていく。

 冒頭ではダイハツ工業 製品企画部 チーフエンジニア 嶋村博次氏が、ダイハツの基本思想である「良品廉価」「最小単位を極める」「先進技術をみんなのものに」をもとに、「安全・安心機能の進化」「使い勝手のさらなる向上」「時代進化を感じられるデザインと質感向上」の3つの進化を遂げたと、トールの変更点について紹介した。

ダイハツ工業株式会社 商品企画部 チーフエンジニア 嶋村博次氏

 なお、嶋村氏によればパワートレーンまわりについては大きな変更は行なっていないとしつつ、WLTCモード燃費に対応するためラムダワン(λ=1)領域を拡大したことにより、高速域での燃費を若干向上させたという。足まわりについては特に改良を行なっておらず、安全・安心の進化や使い勝手についてを主に向上させているとした。

トールの改良ポイント

“スマアシ”の機能を向上

安全・安心機能の進化

 安全・安心機能の進化については、マイナーチェンジでありつつも、電子プラットフォームを変更し、スマートアシストにおいて夜間対歩行者検知や追従2輪車の検知が可能となった。さらに、作動対応速度域を対車両においては従来の80km/hから120km/hに、対歩行者については50km/hから60km/hにそれぞれ向上させた。

 また、より安全・快適に走行できるよう、全車速追従機能付きACCをカスタムに標準装備。設定最高速度は、コンパクトSUV「ロッキー」では115km/hだったものが、トールでは125km/hまで引き上げられた。

 そのほかにも、Gグレード以上にはLEDヘッドライトを、カスタムには対向車を検知して減光するABD(アダプティブドライビングビーム)機能やサイドビューランプをそれぞれ標準装備。ダイハツコネクトも9インチのディスプレイオーディオだけでなく、用品ナビでも対応とした。

シートの厚みを増して小型車らしい座り心地に

使い勝手のさらなる向上

 使い勝手の向上については、「タフト」で採用した電動パーキングブレーキとブレーキホールド機能をカスタムに標準設定。シートは骨格を変えずに、パッド形状を大幅に変更。前席の座面を延長するとともに、後席の厚みを増やし、小型車らしい座り心地とホールド性を高めつつ、シート表皮も新しくして、快適で高級感のある室内とした。

 加えて、タントでも採用されているクルマに近付くだけでスライドドアが自動で開く「ウェルカムオープン機能」や、タフトで採用されたキーを持っていればクルマに近付くだけで解錠できる「ウェルカムドアロック解錠機能」といった機能を備え、快適性を向上させている。

 さらに、コネクト対応した壁掛けふうの9インチディスプレイオーディオや、充電用USBポートをセンタークラスターに設定。ディスプレイオーディオ搭載車にはデータ通信もできるUSBポートを併設している。助手席トレイはティッシュBOXが置けるようにバルコニーふうに拡大し、利便性をさらに高めている。

 なお嶋村氏は、シートについてはユーザーへのヒアリングにおいて「シートの座り心地が軽自動車みたい」という声があったことから、軽自動車ではなく小型車らしい座り心地のシートにしたいという思いで改良を行なったと明かした。

先進・洗練・進化をテーマにしたデザイン

 デザインについては、標準車の外装ではフロントまわりの迫力を高め、よりスポーティさを感じられるデザインに仕上げられた。内装はブラウンのトーンを落とし、シート色を統一することでより落ち着いた雰囲気として質感を高めた。また、カスタムの外装はワイド感を強調して堂々とした迫力のあるデザインとしたほか、黒基調内装はトーンを落とした青のアクセントカラーで上質感を付与した。

標準車の内外装
カスタムの内外装

 さらに今回は、ダイハツ独自の「アナザースタイルパッケージ」を設定。外観はトップシェードガラスやメッキアウターハンドルといったメーカーオプションと、ディーラーオプションのエアロパーツを組み合わせ、内装はメーカーオプションのハーフレザー調シートとイルミネーションで、上質感をさらに際立てるものとした。

ダイハツ独自の「アナザースタイルパッケージ」

 ボディカラーは、新色の「ターコイズブルーマイカメタリック」「コンパーノレッド」を追加。カスタムではブラックマイカメタリックとの2トーンカラーも選択できるようにした。

新色のボディカラー

 なお、ダイハツ工業 デザイン部 主担当員 上畑顕雄氏は、先進・洗練・進化の具体的なものとして、先進ではLEDヘッドライト、カスタムのリアコンビネーションランプを、洗練では新意匠のフロントバンパーやグリルまわりを、進化ではサイドポンツーンまわりをしっかりと見せるといったところに取り組んだと説明。現行車のデザインも好評であるため、基本的なものは踏襲しつつ、これらの部分をブラッシュアップしたと解説した。

ダイハツ工業株式会社 デザイン部 主担当員 上畑顕雄氏