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インフィニティ、新型SUVクーペ「QX55」日本初公開。“日本のクラフトマンシップ”を内外装で表現

「SUVとクーペの中央に位置するモデル」とエリック・リゴー部長

2020年11月18日 開催

メディアブリーフィングで新型「QX55」について解説したインフィニティ グローバルデザイン担当シニア・デザイン・ダイレクター 中村泰介氏(左)とインフィニティ 事業本部 商品戦略企画部長 エリック・リゴー氏(右)

 インフィニティ(日産自動車)は11月18日、米国で世界初公開した新型ラグジュアリーミッドサイズSUVクーペ「QX55」を日本で初公開するメディアブリーフィングを日産グローバル本社(神奈川県横浜市)で開催した。

 新型QX55は、日産が新たに打ち出した事業構造改革「Nissan NEXT」に基づいてインフィニティブランドからリリースされる最初の量産車であり、日産にとって重要な最新モデルと位置付けられる車両。2021年春から北米、カナダでの発売を予定しており、日本を含めたインフィニティブランドの未導入国における市場導入は「社内で検討中」とのこと。このほか、新型QX55についての詳細は関連記事「インフィニティ、新型SUV『QX55』ピアノ鍵盤風テールランプなど大胆なデザインを採用」を参照していただきたい。

 なお、日産グローバル本社ギャラリーでは11月23日までステージ上でQX55を展示。11月下旬からは先日オープンしたばかりの「インフィニティラウンジ」に場所を移して車両展示が行なわれる予定。

新型QX55
ボディカラーは「ダイナミックサンストーンレッド」。トップコートに赤いティントが加えられており、ピンク系の強い下地にクリアレッドを合わせていく構成によって深みを追求。陰影が強く出るショルダーラインやボディの低い位置でアーティスティックなイメージを強調しているという
ドアミラーは光輝ブラック塗装されている
タイヤサイズは前後とも255/45RF20 101W。ブリヂストンのSUV専用ハイパフォーマンスタイヤ「ALENZA 001」を装着している
ルーフ後方にシャークフィンアンテナを装備
全車でインテリジェントAWDを採用する
車名ロゴはリアハッチ右下で控えめにアピール
QX55のインパネ
スポーティな小径レザーステアリングを採用。パドルシフトも備えている
2眼式アナログメーターの間にマルチファンクションディスプレイをレイアウト
ステアリングの右側スポークに「プロパイロット」用のスイッチ類を設定
ワイヤレス式の「Apple CarPlay」に対応するデュアルスクリーンインフォテイメントシステム「INFINITI InTouch」を標準装備
シフトセレクターはすっきりとシンプルなデザイン。ドリンクホルダー前方に2つのUSB端子が用意され、1つはUSB Type-Cとなっている
シート表皮はセミアニリンレザーと本革のコンビネーションタイプ
ドアトリムやダッシュボードに設定するウッドパネルは木目を縦に見せるスタイルで個性化。音響システムにはBOSEの製品が採用されている
流麗なクーペフォルムと同時に必要を十分に満たすラゲッジスペースを備えることもアピールポイントとなっている
米国・ロサンゼルスで開催されたQX55バーチャル発表会(42分5秒)

QX55はSUVとクーペのちょうど中央に位置するモデル

インフィニティ 事業本部 商品戦略企画部長 エリック・リゴー氏

 メディアブリーフィングでは、インフィニティ 事業本部 商品戦略企画部長 エリック・リゴー氏が新型モデルであるQX55について解説。現在、日本ではインフィニティブランドの車両は販売されていないものの、インフィニティモデルのプランニングやデザイン、研究・開発といった開発を行なう頭脳にあたる部分はすべて日本にあるとリゴー氏は説明した。

 また、リゴー氏はインフィニティがSUVのパイオニアであり、2003年に「インフィニティ FX」をリリースしてSUVクーペをブランドに導入。その2000年代前半から昨今までSUV市場は大きく拡大しており、常に再発明を行なう必要に迫られていると説明。それによってSUVがインフィニティの顧客に何をもたらせるかを明確化しており、現在の若年層はSUVが持つ高い機能性に魅力を感じていると分析。一方でそんな顧客たちは、SUVが主流になったことで少し古くささが出ていると感じており、都市型の生活をする若い単身者は、やはりクーペに対して夢を抱いているという。

 ただし、純粋なクーペは極端すぎで、若い顧客たちは自分に合うようなクルマを手に入れられていないだろうと語り、これがニューモデルであるQX55の着想の出発点になっていると述べた。

 QX55はSUVとクーペのちょうど中央に位置するようなユニークな概念を持っており、機能性を高めるためにスタイリングを犠牲にすることなく成り立っていると解説。顧客やディーラーからのフィードバックを分析した結果、このQX55が素晴らしい結果をもたらしてくれるだろうとリゴー氏は語った。

QX55を展示するステージ前でメディアブリーフィングが行なわれた

日本のクラフトマンシップがデザインのヒント

インフィニティ グローバルデザイン担当シニア・デザイン・ダイレクター 中村泰介氏

 続いて、インフィニティ グローバルデザイン担当シニア・デザイン・ダイレクター 中村泰介氏が内外装のデザインについて解説を実施。

 外観では垂直に切り立ったフロントノーズによって乗る人のプライドを表わし、クルマとしてのプレゼンスを表現。また、フロントグリルには9月に発表した「QX60 Monograph」でも採用している折り紙にインスパイアされたデザインを使用。紙を折り曲げるだけで形作る立体の純粋さ、日本のクラフトマンシップといったものをパターンのヒントにしている。

 サイドでは4輪によるスタンスのよさでSUVとしての力強さを強調し、ボディラインはシンプルで力強いことに加え、「ダイナミックアーチ」と呼ぶシンプルでスリークなキャビンを合わせた構成を採用。これはインフィニティのSUVクーペの先駆けになった「FX」のスピリットをQX55に与えるためのアイデアになっているという。

垂直に近いフロントノーズが乗る人のプライドを表わし、折り紙にインスパイアされたフロントグリルで立体の純粋さ、日本のクラフトマンシップなどを表現する
「クラムシェルフード」と呼ばれるボンネットは、フェンダー近くまで一体化した広さで力強さとシンプルさを表わし、分割線をドアのキャラクターラインまで連続させてさまざまな要素を整理。ヘッドライトシグネチャーから1本につながるラインでサイドビューの長さを強調する

 ボディ後方は重心の低さと力強さをアピールし、リアウィンドウを小さくすることでスポーティでアグレッシブなイメージを表現している。「デジタルピアノキー」と呼ばれるリアコンビネーションランプは歴代ショーモデルにも採用しているもので、これにインフィニティの最新デザイン言語を与えて「Spirit of FX」と位置付けるFXのスピリットを表現するデザインにチャレンジした。

 また、外観からはスリークでスポーティなキャビンになっているが、車内に入ると広さがあり、ラゲッジスペースの容量はスライド式のリアシートを採用することでクラストップレベルを誇っているという。

「ドライバーセントリック」と表現するインテリアは、赤と黒の強いコントラストでコーディネート。ドライバーズシートを囲むようにレイアウトした「カラーブレイクライン」、黒い本杢によるオープンポアウッドを黒いレザー表皮に組み合わせてオーセンティックな表現を行ない、「ミニマルでありながらクオリティの高い黒」を表現している。

フロントフェンダーはラインをドアまで連続させてフロントノーズの長さをアピールし、リアフェンダーはボリューム感を強調して筋肉質な見え方にしている
45個のLEDを使う「デジタルピアノキー」と呼ばれるリアコンビネーションランプ。リアフェンダーまで連続するデザインキーとなっている

 質疑応答で「デザインコンセプトをひと言で表わすなら」と問いかけられ、中村氏は「簡単に言うなら、やはり“Spirit of FX”ということです。ほかの表現をするなら“パワフルエレガンス”とか“パワーアンドジャパニーズエレガンス”といったところですね」と回答。フロントグリルに与えた折り紙の表現のほか、インテリアにおけるマテリアルの使い方で「ジャパニーズ」を表現。「黒だけど、リッチな黒を作りたい」との狙いから、革とブラックウッドを使いつつ、ウッド部分だけを目立たせるということなく、全部が黒の中でリッチな雰囲気を出す。ミニマルな表現によって、シンプルにした中で一番強い部分を強調するといった考え方を採用していると説明した。