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トヨタ、2020年度第3四半期決算説明会 コロナ禍で2次3次サプライヤーとの関係性に変化が生まれた

これまで直接関わっていなかった2次3次サプライヤーともコミュニケーションを開始

2021年2月10日 発表

トヨタ自動車は決算説明をオンラインで行なった

2020年10月~12月はプラスに好転

 トヨタ自動車は2月10日、2021年3月期 第3四半期(2020年4月~12月)の決算説明をオンラインで行なった。登壇したのは執行役員の長田准氏と同じく執行役員の近健太氏の2名。

執行役員 長田准氏

 まず最初に近健太氏より、連結販売台数(9か月累計)の実績説明から行なわれた。販売台数は前年同期比79.3%の543万8000台。各地域で新型コロナウイルス感染拡大の影響により、全体的にボリュームダウンとなったと明かした。また、トヨタ・レクサスの販売台数は、前年同期比89.5%の662万7000台で、2020年9月以降はグローバルで前年同期比100%を超えて推移していると解説。

 連結決算は、営業収益が前年同期より3兆4419億円減の19兆5252億円で、営業利益は前年同期より5313億円減益の1兆5079億円。税引前利益は前年同期より5237億円減益の1兆8699億円。当期利益は前年同期より2407億円減益の1兆4680億円となった。

 営業利益の増減要因としては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による販売台数の低迷などで6150億円減益、為替変動で1750億円減益。しかし、原価改善の努力で1000億円の増益、諸経費の増減・低減努力で850億円増益、その他で737億円の増益があり、前年同期より5313億円の減益となったと説明した。また、3か月ごとの推移では、4月~6月と7月~9月は減益だったが、10月~12月は増益に転じて回復基調であると報告。同じく所在地別の営業利益についても、トータルとしては減益となっているものの、10月~12月は各地域ともに増益となったと解説した。

 また、中国事業については、販売台数が前年同期比119.9%の152万7000台。営業利益と持分法による投資損益ともにプラスとなり、前年同期より1008億円増益の2919億円となったと紹介した。

 通期の見通しに関しては、販売台数は2020年11月期の見通し案より10万台増の760万台。トヨタ・レクサスは同じく30万台増の890万台と上方修正した。連結決算に関しては、営業収益26兆5000億円、営業利益2兆円、税引前利益2兆5500億円、当期利益1兆9000億円とした。営業利益2兆円は、営業面の努力などにより2020年11月期の見通しより7000億円の増益とした。

コロナ禍により2次3次サプライヤーとの関係性に変化が

執行役員 近健太氏

 原価改善の詳細について聞かれた近氏は、トータルの販売台数が落ち込んだことで、原価改善の努力の効果も薄れてしまい、グロスで3000億円の改善を目標にしているところ、グロスで2000億円程度になるだろうと解説した。しかし期首から徐々に回復傾向にあることは間違いないと付け加えた。さらに、この回復傾向についても、ここまで当たり前のことを当たり前のようにみんなで一生懸命にやってきた結果であり、これは豊田社長からも「決算報告の際に、自動車産業に関わる550万人の皆さまへの感謝を申し上げてほしい」と言付けられてきたと明かした。

 また、電動化の流れが加速している中、傘下のダイハツ工業の軽自動車の電動化はどのように考えているのかという質問について近氏は、軽自動車についても、電動化は当然進めなければいけないと考えていると前置きし、そのうえでトヨタの技術が軽自動車に使うには高額なのではないか、といった声があるのも承知しているが、要素技術についてはしっかりと共有して、軽自動車にも使える技術は使ってグループの総合力を活かしていく部分だと思うと回答。まずはハイブリッド化かもしれないが、長い目でみればユーザーから選ばれるEVをちゃんと作らなければいけないと認識していると述べた。

 続いて、コロナ禍で1年以上が経ち、オンラインやテレワークが急速に増えているが、働き方やサプライヤーとの関係に変化があれば教えてほしいとの質問に対して近氏は、まだ課題はあるもののリモートワークが定着してきた。また「現地現物」という考え方についは、これまで海外出張に年間数十億円使っていたが、今期は99%削減し、ほぼ行っていない状況であると紹介。もちろん今でも最後の最後は現地に赴いたほうがよいと思っているが、今はカメラを使いリモートで対応していると現状のやり方を紹介した。

 また、サプライヤーとの関係については、これまでは基本的に1次サプライヤーがメインで、2次や3次に関しては1次サプライヤーに管理してもらうスタイルだったが、今期は稼働率が下がったり、もの凄く高負荷になったりと、大変な1年だったので、2次サプライヤー以下の約1万社とコミュニケーションを取ったことを紹介。これはまったく新しい関わりになったと明かした。

 さらに、過度に高くなっていた品質要求についても見直しを図り、サプライヤーの方で「トヨタに収めるんだから…」という理由から、ちょっとした傷だけで、製品としては問題なく使えるものまでNGにしていたようなケースに対して、実際に現地へ足を運び「これくらいのキズなら問題ない」といった確認作業を徹底的に行なったという。これまで2次3次のサプライヤーは「顔も見たこともないトヨタの誰か」と間接的に仕事をしていた感じが強かったと思うが、顔が見えるようになったことで安心感にもつながり、結果的に製造コストの低減にもつなげられたと思うと解説して締めくくった。