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曙ブレーキ、自動車用ブレーキ製品等の定期検査報告11万4271件に不適切な行為

ISO9001認証とIATF16949認証の一時停止も

2021年2月16日 発表

 曙ブレーキ工業は2月16日、同社国内生産子会社が製造する自動車用ブレーキ製品等の定期検査報告において不適切な行為があったと発表した。顧客に提出する11万4271件の報告データに不適切行為があったといい、最も古いもので2001年1月から行なわれていたとしている。

 不適切な行為があったのは、曙ブレーキ山形製造、曙ブレーキ福島製造、曙ブレーキ岩槻製造、曙ブレーキ山陽製造の同社生産子会社の4社。

 同社では日常検査のほかに顧客から指定された検査項目に関して定期的に検査を行ない、その結果を顧客へ報告している。その中で「検査データの修正」「未実施検査データの記載」「要求されている検査サンプル数の省略」といった行為が判明した。

 定期報告データ総件数19万2213件の内、不適切行為があった報告データは11万4271件。そのほとんどは顧客との合意に基づく管理値の範囲内であり、管理値と乖離がある報告データは4931件としている。なお、対象製品の再評価結果で製品の性能に問題はないと判断している。

 同社では、再発防止策として、特別調査委員会から組織体制の見直し・監査機能の強化、生産設備見直しとITシステム導入、教育研修によるコンプライアンスの強化と組織風土改革等の再発防止提言を受けて、具体的計画を策定して取り組みを開始しているとしている。

2019年10月より新経営体制に移行して内部告発

 同社は、事業再生ADR手続成立の後、2019年10月より新経営体制に移行した。同年11月に同社品質保証部門より代表取締役社長に対して、同社生産子会社の曙ブレーキ山形製造が製造する自動車用ブレーキパッドの一部で、顧客に提出する定期検査報告書の数値記載において不適切と思われる行為が行なわれているとの報告があった。

 その報告を受けて、同年12月より社内調査を開始。その過程において山形製造以外の生産子会社が製造する製品でも同様の可能性があるとの認識を持つに至り、2020年2月より調査対象を国内全生産拠点に拡大した。

 その後、同年3月上旬に一部の顧客から、同社生産子会社の曙ブレーキ岩槻製造が製造するディスクブレーキの一部で、定期検査報告書に不審なデータが記載されているとの指摘を受けた。

 こうした状況から新経営陣は、客観的な視点からの徹底的な調査が必須であるとの判断に至り、3月中旬開催の取締役会において社外弁護士4名で構成する特別調査委員会の設置を決め、同委員会による調査を開始した。

 同委員会の調査開始後、その過程で判明した不適切行為は、調査完了を待たずに速やかに是正。また、対象となる顧客へ順次、事実関係の説明を行なうとともに、対象製品について顧客と協議、評価・検証を2021年1月末まで継続してきたという。

 同委員会からの調査結果の最終報告は2020年9月に受け、その調査報告内容を精査するとともに、同委員会の提言を受けた再発防止策を策定し、取り組みを開始しているとしている。

ISO9001認証とIATF16949認証の一時停止も

 なお、同社はこの件を受けて、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッドよりISO9001認証および、IATF16949認証の一時停止の審議結果通知を受領したと報告。

 同社および同社国内生産子会社は是正計画策定を進めており、早期の解除に向けて全力で取り組むとし、今回の一時停止による生産および納入への影響はないとしている。