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マツダ、2021年3月期決算説明会 営業利益は前年比80%減も88億円の黒字確保
2021年5月14日 20:14
- 2021年5月14日 実施
米国とオーストラリアは順調に回復
マツダは5月14日、2021年3月期(2020年4月1日~2021年3月31日)の決算を発表。同日、通期決算説明会が電話会議(コンファレンス・コール)にて実施された。会議には代表取締役 社長兼CEOの丸本明氏、常務取締役員の藤本哲也氏と工藤秀俊氏の3名が出席した。
まずは藤本氏より2021年3月期の通期実績報告が行なわれた。グローバル販売台数は、対前年9%減の128万7000台で、好調な米国やオーストラリアは需要の回復を上まわる販売を達成し、前年よりも販売台数が多くなった。一方、欧州やアセアンは新型コロナウイルスによるロックダウンなどの影響が下期以降も継続し、前年を下まわる台数になったという。
続いて、売上高は2兆8821億円(前年比16%減)、営業利益88億円(同80%減)、当期純損失317億円と報告。固定費抑制などの取り組みにより、2021年2月に発表した内容よりも利益水準は上まわったと解説した。また、連結出荷台数は対前年24万2000台減の99万台となった。
また、営業利益変動要因としては、販売台数や部品販売がマイナス1085億円と大きく、広告宣伝費や開発費の効率化など徹底した抑制効果で763億円のプラス要因を生み出したものの、最終的には対前年348億円のマイナスとなった。ただし、下期だけにクローズアップしてみると、米国とオーストラリアの販売台数が伸びたことに加え、販売の質も高まり、対前年で439億円増と収益体質が大幅に改善しているとアピールした。
続いて2022年3月期の見通しについても藤本氏から語られた。グローバル販売台数は前年比9%増の141万台で、2020年3月期並みの販売台数にまで回復するとした。また、連携出荷台数は、対前年15%増の113万5000台。半導体供給問題による生産影響は約10万台の前提としつつ、「在庫の最大活用などを行なうことで出荷への影響は約7万台にまで抑えられる」と語った。各市場でコロナ禍による台数減少からの回復がかかっているが、米国、オーストラリアでは前期の勢いを維持しつつ、欧州や中国などグローバルでの販売回復を目指すとした。
また、売上高は、対前年5179億円増の3兆4000億円、営業利益は半導体影響に加え、金属など原材料価格の高騰を踏まえたうえで、650億円(対前年562億円増)を見込み、当期純利益は350億円(対前年667億円増)とした。連結出荷台数は前年比14万5000台増の113万5000台。562億円増の営業利益変動要因については、出荷台数と販売費用の抑制などで747億円、為替変動で335億円のプラス要因を見込むも、コロナによる操業停止で発生した前期特別損失の振替205億円と原材料価格高騰の影響による335億円のマイナス要因などを見込んだ結果とした。
丸本社長兼CEOによる2021年3月期決算総括
「2021年3月期は新型コロナウイルスにより、上期を中心に大きな影響を受けた1年だった」と振り返った丸本氏。そんな中で、緊急資金調達をはじめ、販売回復や固定費の抑制、変動利益向上による損益分岐点台数の引き下げなど、重点的かつ継続的に進めてきたとした。そして、これらの構造改革の成果が現われはじめ、下期の営業利益は617億円、ROS(売上高経常利益率)は3.5%、損益分岐点台数は50万台弱(※下期のみの値)と、収益体質が着実に強化できていることをアピールしながら、今後も継続的に改善に取り組むとした。
需要回復に合わせて在庫をコントロールしながら販売・生産を行なうことや、徹底した支出抑制・効率化による固定費削減、効率化を織り込みながらの成長投資といった構造改革については、取り組みを加速・強化させてきたことで、2020年7月に提示した目標を過達したと振り返った。
販売については、コロナ禍からの着実な回復を図り、米国とオーストラリアを中心に販売台数を伸ばすことができたとし、販売費用の抑制や販売ミックスの改善など、販売の質的な改善により、販売台数は大幅に伸ばせたと分析。固定費に関しても、広告宣伝費、諸経費、開発費など、あらゆる領域で効率化を定着・強化させてきたことで、想定以上の改善が見られたという。また、コロナ禍でありながらも全社一丸となって取り組んだことで、収益体質改善の効果が出始めているとまとめた。
2022年3月期の見通しについては「半導体不足の影響や原材料価格高騰のリスクを踏まえた上での計画となっていて、充分に達成できる目標である」と説明。あわせて構造改革についても、目標達成に向け引き続き強化していくとした。また、電動化戦略やカーボンニュートラル実現に向けての挑戦などについては、現在具体化を進捗させている途中段階とのことで、適切な時期に改めて説明の機会を設けるとした。