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ポルシェ、フル電動レーシングコンセプト「ミッションR」 モーター2基で最高出力1088PS発生

2021年9月6日(現地時間)発表

「IAA MOBILITY 2021」でフル電動カスタマースポーツレーシングカーのコンセプトモデル「ミッションR」発表

 ポルシェAGは9月6日(現地時間)、ミュンヘンモーターショー「IAA MOBILITY 2021」においてフル電動カスタマースポーツレーシングカーのコンセプトモデル「ミッションR」を発表した。

 ミッションRは最先端のテクノロジー、天然繊維強化プラスチックなどの持続可能な素材、ポルシェが持つモータースポーツへの情熱を融合したコンセプトカーで、フル電動カスタマーモータースポーツの将来像を示したモデルとなる。

ポルシェコンセプトモデル「ミッションR」(1分16秒)

 ミッションRには新開発の2つの電気モーターを搭載し、予選モードで最高出力800kW(1088PS)を発生。約80kWhのバッテリー容量と革新的な回生システムによって、出力を失うことなく加速することが可能という。0-100km/h加速は2.5秒未満、最高速は300km/hオーバーで、サーキットでは現行911 GT3カップと同じラップタイムで周回するとアピールしている。

 新設計の電気モーターとバッテリーセルによって、ミッションRはレースモードで500kW(680PS)の定出力を発生し、ディレーティング(熱条件によるバッテリーの出力低下)も取り除かれた。320kW(435PS)の電気モーターがフロントアクスルに駆動力を供給し、リアには最高出力480kW(653PS)が供給される。高度な900Vテクノロジーとポルシェターボチャージャーによって、わずか15分で5-80%のSoC(充電状態)にバッテリーを充電することができ、最大340kWで充電することが可能。

 外観ではノーズセクションとリアウイングにドラッグリダクションシステム(DRS)を備えたポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)を装備し、これはノーズセクションの2つのサイドエアインテーク(各々3つのルーバー付)と、調整可能な2セクションリアウイングで構成。ポルシェのエンジニアとデザイナーが“exoskeleton”(エクソスケルトン)と名付けた新開発のカーボンルーフ構造も採用する。全長は4326mmと、現行の718ケイマン シリーズよりもわずかに短い一方で、全幅は著しくワイドな1990mm、全高も1190mmと大幅に低く構えるスタイルになっている。

 また、CO2の低減と持続可能性にも重点を置くボディは主に天然繊維強化プラスチック(NFRP)でできており、その基本素材は農業で得られた亜麻繊維で作られる。このエコロジー素材はフロントスポイラーリップ、ディフューザー、サイドスカートに加え、インテリアドアパネル、リアバルクヘッド、シートといったインテリアにも幅広く使用された。

ミッションRのボディサイズは4326×1990×1190mm(全長×全幅×全高)

 インテリアではステアリングホイールスイッチ間に人間工学的に配置されたディスプレイを備え、レース中の関連データが表示され、ステアリングコラム上のモニターにはサイドミラーカメラとセンタールームミラーカメラからの画像を表示。シート右側にあるタッチディスプレイを使用すると、ドライバーの生体認証データを呼び出すこともできるという。また、車内にある多数のカメラを使用して、ライブストリームにエキサイティングなシーンを提供することも可能とした。

ミッションRのインテリア

 今回の発表について、ポルシェAGの取締役会会長 オリバー・ブルーメ氏は「ポルシェは夢を実現する人々のためのブランドです。これはモータースポーツにも当てはまります。私たちはサーキットで革新的な強さを体験し、新しい道を追求する勇気を示し、クルマのオーナーにスポーツカー然とした性能で喜びを与えます。フォーミュラE世界選手権への参戦に加えて、私たちはここでE-モビリティの次の大きな一歩を踏み出します。このコンセプトモデルは、フル電動カスタマーモータースポーツに対する当社の展望を示します。ミッションRには、ポルシェを強くする全てのもの、つまり性能、デザイン、持続可能性が具現化されています」と述べている。