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SUPER GT 坂東正明代表会見、規制緩和で第2戦富士は2019年同規模の観客を入れて開催 海外レースはまだ厳しい

2022年5月4日 開催

ラウンドスポンサーFAV HOTELの名称が入ったバナーを掲げる株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏(左)と霞ヶ関キャピタル株式会社 代表取締役社長 河本幸士郎氏(右)

 SUPER GT第2戦富士が、5月3日~4日の2日間にわたって富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催されている。5月4日の決勝レース前にSUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション(以下GTA)代表取締役 坂東正明氏による定例記者会見が行なわれた。今回の富士での第2戦は、政府によるイベント開催制約なども取り払われた中で行なわれるイベントとなり、グランドスタンドの席も1つ空けるなどのパンデミック下の制約が取り払われ、基本的な感染対策が続行される中で多くの観客が詰めかけた(5月4日富士スピードウェイ発表、3日[火・祝]2万9000人[晴れ]、4日[水・祝]4万4000人[晴れ]。2日間で延べ7万3000人)に記事公開時点では、まだ観戦者数は発表されていない。坂東代表は「引き続き感染対策を取っていきながら、徐々に制約をなくしていきたい」と今後のレースへの期待を述べた。

鈴鹿やオートポリスの近くにもある「FAV HOTEL」が第2戦のラウンドスポンサーに

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏(左)と霞ヶ関キャピタル株式会社 代表取締役社長 河本幸士郎氏(右)

 今回の第2戦のラウンドパートナー(レースのタイトルスポンサー)としてレースに協賛しているのがレース名の一部になっているFAV HOTEL(ファブホテル、運営会社は霞ヶ関パートナーズ)で、その親会社になる霞ヶ関キャピタル 代表取締役社長 河本幸士郎氏が壇上に呼ばれて、その紹介が行なわれた。

 河本氏は「弊社はいくつかの事業を行なっているが、その中でFAV HOTELというホテル事業を運営しており、そのFAV HOTELとして今回のレースの協賛を行なわせていただいている。20件程度がもっか工事中で、すでに鈴鹿(筆者注:ホテル名として伊勢)、オートポリス(同:熊本)などで開業しており、SUPER GTの開催地近くで展開している。FAV HOTELがどんなホテルかといえば、コンセプトは“広くて、安くて、格好いい”で、大人6人程度がゆったり泊まれて、かつ値段が安く、格好いい、そういうホテルを目指しており、2年後に御殿場でも開業する計画です」と述べ、すでに2カ所SUPER GTの開催サーキット(鈴鹿サーキットとオートポリス)近くにホテルを持っていて、2年後に今回の会場である富士スピードウェイ近隣の自治体となる御殿場で開業する予定であることから、今回ラウンドパートナーになることを決めたと説明した。

 なお、同ホテルのWebサイトによれば、ほかにも飛騨高山、高松にも開業しており、河本氏によれば今後20カ所程度を追加する予定であるということだ。

霞ヶ関キャピタル株式会社 代表取締役社長 河本幸士郎氏

 GTAの坂東代表は「FAV HOTELさまに厚くお礼申し上げる、モータースポーツを盛り上げるために多くの企業が協力してくださっている。FAV HOTELは鈴鹿やオートポリス近くにもあると伺っているので、協力体制を強化しながらお互いウイン・ウインになれるように努力していきたい」と感謝を語った。

感染対策を徹底しながら、制約なくコロナ禍前のような大人数の観客を迎えて開催するレースに

 FAV HOTELの紹介後は、GTAの坂東代表による定例会見が行なわれた。以下はその模様となる。

──それでは坂東代表より、あいさつをお願いしたい

坂東代表:第2戦晴れました。なおかつ、ウィズ・コロナの中ではあるが、イベントへの制約もなく開催することができている。今回もドライバー、レースクィーン、関係者の抗原検査を行なっているドライバーと、お客さまの距離は保たれており、そこにいるサーキットの関係者もニコニコになるぐらいチケットの販売も好調だと聞いている。お客さまもそれなりの数が入っていただいており、久しぶりにそうした雰囲気を味わいながらのレースとなる。今回は450km、100周という新しいフォーマットを、いい環境でやりがいのある形になっている。

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

──持続可能なレースへの取り組みに関して、GT500と同じNRE(ニッポン・レース・エンジン)というエンジンを使っているスーパーフォーミュラは、SUPER GTと別の動きをしているように見える。SUPER GTとスーパーフォーミュラでカーボンニュートラルフューエルを共同で開発するという話はなかったのか?

坂東代表:持続可能な燃料の開発に関して、カーボンニュートラルフューエルの名称や概念を自動車メーカーも含めて決めたことがJRP(スーパーフォーミュラのプロモーターである日本レースプロモーション)にも伝わっているというのがGTAのスタンスだ。現行では水素もそうだが海外からの輸入になっており、最終的には国産を念頭に置いて開発している。WRCには今期から導入している燃料があり、その燃料を利用してJRPとトヨタなどがテスト段階に入ったと認識している。それに対してGTAでは、開幕戦の岡山で発表したハルターマン・カーレスの燃料の導入を検討しており、トヨタ、日産、ホンダにテストをやってもらっている。

 そうした動きは、スーパーフォーミュラの動きから離れているつもりはまったくない。先方と一緒にやっており、実際先週のスーパーフォーミュラレース後のテストでは、ハルターマン・カーレスの燃料を利用してテストしている。JRPのそれ以前のテストでは別のカーボンニュートラルフューエルもテストしており、さまざまな燃料をテストする一環として同じパフォーマンスを出すために、燃料量や熱害などをチェックしている段階だ。

 GT300の車両や、FIA GT3の車両にも鈴鹿ですでにその燃料で走らせている。無鉛ハイオクに比べて点火系などを2%補正するなどして取り組んでいて、問題がないことが確認されればハルターマン・カーレスと契約する予定だ。すでに欧州のGT3のマニファクチャラーにも渡しており、トヨタ、日産、ホンダのエンジンベンチテストなどの結果を伝えたりしながらやっており、この燃料で移行と合意している。また、MFJからはベンチテストしてみたいという話も来ており、別々にやっているのではなくみんなが一緒で動いているつもりでやっている。

SUPER GT 坂東正明代表会見、カーボンニュートラル燃料の導入テストは8月の鈴鹿戦後に実施 月曜日にエンジンを載せ替え、火曜日に走行
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1403490.html

──岡山の開幕戦が終了したが、昨日の第2戦の予選でもBRZがポール取ったものの、GT300のエントラントの中にはBoP(Balance of Performance、レース主催者による性能調整)でFIA GT3との格差があるのではないかという声が出ている。再調整を行なう考えはあるか?

坂東代表:GT3の性能調整は、SRO(SRO Motorsports Group、FIA GT3のカテゴリーを作成したステファン・ラテル氏が設立した企業で、ブランパンシリーズなどのGT3カテゴリーの成長調整を行なっている)が調整している。海外でワンメイクのタイヤで行なうなど公平な形になっている。そこにGTAが触るつもりはない。GT3のパフォーマンスウインドウはきちんとしていると考えている。

 マザーシャシーも含めたGT300(筆者注:従来のJAF-GT300やマザーシャシーと呼ばれていた日本独自の車両はGT300という名称に統一されている)に関しては、ストレートスピードよりもコーナリングスピードやマザーシャシーのタイヤサイズ変更などになるだろう。今季はやらないが、それが性能調整のパラメーターとして関係してくる。そこを見ていくと、コーナリングスピードは少し下げてもいいかもしれない。

 ただ、BRZが2回連続でポールポジションを獲ったことからも分かるように、まずは結果を見てから言ってほしいと考えている。決勝に関しては、確かに結果は残っていないが、それはレースでトラブルに直面したからだし、決勝レースは速さよりも作戦なども関係してくる。その意味でBoPを変えるとしても速さに関しては予選の結果を重視してみていきたい。前半の4戦が終わってみてからそこは考えていきたい。

海外渡航の解禁も進むが、マレーシアやタイなどの海外戦は来年も難しいだろうと坂東代表

──COVID-19の感染状況に関しては全国的に和らいでおり、さまざまな緩和策が取られているが、今後の方針に関して教えてほしい。

坂東代表:関係者(筆者注:ドライバー、レースクィーン、チーム関係者、メディアなど)に対する抗原検査に関しては今回で終わりにしたい。ただし、国のガイドラインでもドライバーとの接触抑制はうたわれたままになっており、ファンの皆さまとドライバー、レースクィーンの接触に関してはそうならないように導線の確保を引き続き続ける(前回岡山から行なわれている)。ピットウォークに関しては距離を取りながらやっていきたい。グリッドウォークに関しては、どのように距離を取るか引き続きサーキットと詰めないといけない部分があるので、今後検討していきたい。

──関係者の抗原検査免除は3回のワクチン接種が済んだ人のみとなるか?

坂東代表:われわれの関係者の中でワクチンの2回接種を受けている人は82~83%程度だと理解している。引き続きワクチン2回接種を受けていない関係者の方には、レース前のPCR検査をお願いすることになる。

──2023年のカレンダーに関してまだかなり早い段階だと思われるが、海外渡航も徐々に可能になってきている。来年のカレンダーでタイやマレーシアでのレースが復活する可能性はあるか?

坂東代表:確かに海外渡航ができるような状況ができつつある。タイもマレーシアも渡航制限が解除されつつあるような状況ではあるが、来年にいきなりみんなで向こうにいってレースができるかと言えば、まだまだ難しい状況もあり、先方ともよく話あっていく必要があると考えている。現状はお伝えできるようなことはないが、次の鈴鹿のレースでは何かをお伝えできる可能性がある。ただ、現状は来年はまだ難しいのではないか、そう考えているだけお答えさせていただきたい。

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

──前のカレンダーの質問の続きだが、過密日程に関する話題は毎年出てきている。実際、今もスーパーフォーミュラとSUPER GTは実質的に4周連続開催になってしまっている。それが緩和される可能性はあるのか?

坂東代表:この質問が出たときにいつも同じことをお答えさせていただいているが、自分が決めているときには白紙の状態から決めていて、自分の中では過密にはなっていないということだ。52週あるなかで8週を選んでいる。逆に言うと、その後に過密日程になってしまうようなスケジュールを組んでいる人やオーガナイザーに聞いてみてほしい。

 とはいえ、確かに過密日程になると、働き過ぎになってしまう人もいるかもしれない。そういうことはよくないのでなんとかしたいが、では(エントラントやチーム、自営業のエンジニアなどにとって)仕事がもらえると言われているのに、仕事が断わることがいいことなのかは非常に複雑な議論だ。仕事がないのも困るが、ありすぎも困るということだ。欧州ではサマーホリデーで強制的に仕事できない期間を設けるなどの取り組みをしており、それも考え方の1つだ。ただ、(チームやエントラントにとって)メーカーが仕事をくれると言っているのに仕事受けないというのは難しいだろうから、そうした規則にするのも1つの考え方だ。いずれにせよ、JRPとはもっとコミュニケーションしていかないといけない課題だと認識している。