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豊田章男社長、誰もがモータースポーツ観戦を楽しめることができる実証実験を岡山で体感
2022年10月16日 07:44
10月15日~16日の2日間にわたって岡山国際サーキットでスーパー耐久第6戦が開催されている。この第6戦岡山では、トヨタ・モビリティ基金のアイデアやソリューションの社会実装を目指すコンテスト「Make a Move PROJECT」で選ばれた17のコンテンツが実証実験されている。
Make a Move PROJECTでは、“障がいの有無などにかかわらず誰もがモータースポーツ観戦を楽しめることができるアイデア”というテーマで選んでおり、視覚や聴覚にハンデのある人でもモータースポーツを楽しんでもらおうというコンテンツがグランドスタンドエリアなどに用意されていた。
トヨタ自動車 代表取締役であり、トヨタ・モビリティ基金の理事長でもある豊田章男氏は、モリゾウ選手として15日の予選を終えた後、17のコンテンツの実証実験現場の視察に現われた。
豊田章男氏は各種のコンテンツを視察し、説明を聞くとともに、いくつかのコンテンツを実際に体験。どのような体験を得られるのか、自分の体で確認していた。
体験を終えた後、豊田章男氏にトヨタ・モビリティ基金の取り組みを聞いてみると、「まず、アイデアはあるんですよ。でも、実際に世の中にはなかなか出てこない。モビリティ基金がこういうプラットフォーム(コンテストや支援)を作り、誰でも参加していいよと集まったことはいいことだと思っています」と、まずはものとして表に出てきたことがうれしいという。
その上で、実際に岡山国際サーキットでこういった取り組みを見てもらうことで、観客に評価され、そこで製品なりコンテンツなりが進化・選別されていくという。アイデアがあり、モビリティ基金がエンジェルの役割をすることで、モビリティやモータースポーツの裾野が広がるという取り組みになる。
さらに、章男氏はいう。「自分自身は健常者のため正確には分からないが、ほかの人は楽しめていることが、(ハンデのある人は)楽しめないということがあると思うのです。ただ、今回こうして目をつぶってクルマの音で感じ方が違う(ハプティックデバイス)を使うと、自分はひとりぼっちではないという感じにもなる。安全なモビリティは出発点ではあるけれど、共感する、一人ではないということを(多くの人に伝えることが)できればと思う」と、同じモータースポーツの観客として多くの人が共感する手伝いをトヨタ・モビリティ基金ができれば、トヨタ・モビリティ基金というプラットフォームを使ってもらえればとの思いを語った。
豊田章男氏は自動車会社の社長ではあるが、一人のモータースポーツ好きのアマチュアドライバーでもある(そのレベルは相当高いのだが)。さらに、モータースポーツ観戦については7歳の誕生日に鈴鹿で開催された第1回日本グランプリを、10歳の誕生日に富士で開催された第3回日本グランプリをパドックで見ていたという日本でも有数のモータースポーツを見るプロでもある。
今回の視察でも一番時間をかけていたのが、ハプティックデバイスでモータースポーツを楽しむというものでもあり、振動によって「GT-Rだな」「メルセデスだな」と、体感していた。
モータースポーツの楽しみ方が増えることで、さまざまな人がモータースポーツに接することができるようになるのは、一人のドライバーでもあり、筋金入りのモータースポーツ観戦者である豊田章男氏にとって、とてもうれしいことに違いない。