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タイの25時間レースに登場した、トヨタの新型ピックアップ「IMV 0」セーフティカー

タイ25時間耐久レースに登場した新型ピックアップトラック「IMV 0」セーフティカー

タイ25時間耐久レースに登場した新型ピックアップトラック「IMV 0」セーフティカー

 12月16日、タイのブリーラム県にあるチャーン・インターナショナル・サーキットで「IDEMITSU 1500 SUPER ENDURANCE 2022」(タイ25時間耐久レース)の予選が行なわれた。このタイ25時間耐久レースに日本からルーキーレーシングとトヨタ自動車は、水素GRカローラとカーボンニュートラル燃料を用いるGR86で参戦。タイム計測を行なった。

 この予選日からサーキットに用意されていたのが、12月14日にバンコクのQSNCC(Queen Sirikit National Convention Center)で開催されたトヨタ モーター タイランド60周年式典で世界初公開された新型ピックアップ「IMV 0」。IMVはIMVはInnovative International Multi-purpose Vehicleの略で、トヨタが新興国で生産し、主に新興国で使われるために開発した車両群になる。現在はIMV-I~Vまでの5シリーズで展開され、世界的に大ヒット。3085mmのロングホイールベース、2750mmのショートホイールベースの2つのホイールベースを基盤に、多種多様な仕様を生み出している。

12月14日のタイトヨタ60周年記念式典で豊田章男社長によって世界初公開されたIMV 0(左)

 サーキットに現われたIMV 0はセーフティカー仕様となっており、セーフティカーに必要な警告灯などが装着されていた。IMV 0では荷台をさまざまなものに架装できるのがウリとなっているが、セーフティカー仕様のIMV 0ではフラットデッキのままに。シンプルなIMV 0本来の魅力が分かるようになっていた。

セーフティカー仕様のためかレーシーなIMV 0のコクピット。MT仕様となっていた
IMV 0のエンジンルーム。整備しやすそうなエンジンルームであることが分かる
フラットな後部デッキ。補強のためかデザインのためか、働くクルマ感の高いリブの入り方は興味深い

IMV 0の開発に携わる中嶋裕樹CV Company Presidentに聞く

CPグループとのカーボンニュートラルにおける協力関係記者会見に登壇した中嶋裕樹CV Company President(中央左)。中嶋プレジデントが社長を務めるCJPTがカーボンニュートラル輸送の主役となっていく

 このIMV 0について開発に携わるトヨタ CV Company Presidentであり新会社CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)の代表取締役社長でもある中嶋裕樹氏に60周年式典後、囲みにより話を聞くことができた。以下にお届けする。

──IMV 0とはどういった新型車なのですか?

中嶋プレジデント:IMVは元々人々の生活に根差すだとか人々の命を守るだとか、そういうのが商用車の1番大事なところです。ところが先進国の法規制がどんどん進んできて。IMVは新興国の戦略車としながら先進国、とくにヨーロッパには輸出しているのでどんどん上位統合されざるを得なくなっていたというのが課題でした。

 確かに(IMVシリーズは)ご愛顧いただいているものの、一部の富裕層には買ってもらえるけど本当の意味で生活であるとか仕事で使っている方にちゃんとお届けできているのだろうか?という疑問がわいてきました。タイも含めてやはり現地調査、タイの開発拠点であるTDEM(トヨタ ダイハツ エンジニアリング&マニュファクチャリング)でもいろいろ調べてくれて架装メーカーに行ってみたりと。(お客さまは)安い架装で品質がよくないようなものでも一生懸命購入されて仕事をされている。

 でも僕らはクルマ作っておしまいっていう格好でしたから。だとすると架装がしやすいだとか生活をしていただくのに使っていただいてお金を稼いでいただくためのクルマという見方をしたときに1番必要なものは何かと。しっかりと原点を見つめて。なので、IMV 0(ゼロ)なんです。原点のゼロなんです。

──IMV 0のプラットフォームは新規のものですか?

中嶋プレジデント:IMV 0はこれまでのIMVの持つアセット(資産)をうまく活用しながら、原点側にちゃんとクルマを分けてシフトをする。ヨーロッパの基準とか全部入れてしまうと当然重たく高くなってしまう。それと、フラットデッキというベースメント。

 実は架装自体に我々が一緒に入り込んで検討させてもらって、じゃあその架装をしているボディビルダーの方がどういう仕事でどういう材料を使っているのか。そうすると、こういうバリエーションを作ったらよろこばれるんじゃないんですかというもの。この方たちも消費者ですから、まず1回仮説で作ってみて、みなさんに使ってもらって。このバージョンでいけるんじゃないかって言ってもらったものを商品化していこうと。まだこれからなんです。

 今、タイのTDEMにおけるR&Dのメンバーがタイのお客さまところにクルマを持っていって現地調査をしてます。あのクルマそのもので。それを全部仕込んで、来年ぐらいにデビューさせたいなと(編集部注:式典において豊田章男社長は約1年以上先のデビューを語っていた)。

──IMV 0は、販売する地域をかなり限定するのですか?

中嶋プレジデント:スタートはやっぱり原点回帰なので、働いていただくということで。アジアを中心とした、もしくは新興国と呼ばれるアフリカもそうかもしれませんし、南米でもそのような使われ方をしているトラックはたくさんあります。我々が目にしないだけで。ピックアップトラックだとか、仕事をしてるクルマだけを見ようと意識すると、実は一杯走っているんですね。

 我々がそこになかなか意識が行ってないというのもあって、使われ方だとかを見るとものすごく古い。例えば、ハイラックスを中古車で買っていただいて、生活の糧にされて、そうするとメンテナンスが大変じゃないですか。

 結局メンテナンス代が高くついてしまったりすることもあるので、我々としては良品廉価で、かつIMVとして1番大事なことは壊れても直せるというクルマです。

 壊れても直すことができる、壊れても部品を単体でお届けできる、これが我々の強みだと思っています。

 また、各国のアセスメントは国によって違いますし、商用車によって基準が違うとこもあります。そういったところにしっかりとミートする。例えばヨーロッパのこのアセスメントで、最高の星を取るとなった開発をすると、そこができたらそれをどうやってアフォーダブルにするかというのはなかなか正直難しい。そこを一旦ちょっと忘れて働くクルマに必要なもの、法規だとかアセスメントは当然守るとして、それはやるんですけど、それだけ(働くクルマに必要なもの)に注目してやってみたらどうなるかというアプローチです。

──IMV 0はこれまでのIMVよりは小型になるのですが、従来どおりフレームを使っているのですか? それともモノコックを使おうとしているのですか?

中嶋プレジデント:フレームですね。今回のIMVは機能の方を設定的に優先しようと。細かいスペックは出してないのですが、あの大きさで運べる量はあるクルマよりも多く運べるとか、そういうところはコンセプトとして入れてあります。そのために、少し改良しなければならない部分があります。

 従来であると1トンピックアップというカテゴリで1トン積めればよいのですが、実際には過積載をされているとか、いろいろな国があるので。そういったことも配慮しながら「架装でちゃんと強度を持たして大きな荷物も運べるようにしようじゃないか」というコンセプトです。当然それぞれの地域で使われ方は変わるので、ベースのところであるアタッチメントを入れればこのクラスまでいけますよとなっています。

──製造はタイになりますか?

中嶋プレジデント:タイです。


 中嶋裕樹プレジデントによると、IMV 0にはいろいろな工夫が採り入れられているようだ。実際、タイの街中ではピックアップトラックであるハイラックスはよく見かけるし、ブリーラム県のような東北部へ向かうと、ある交差点ではピックアップ車だらけということは普通の風景になってくる。

 それだけ生活に密着したピックアップの実用的なエントリーモデルとしてデビューするのがIMV 0になる。デビューは1年以上先だがテストマーケティングはこの12月に始まるようで、現地のニーズをしっかり採り入れて正式な販売となるようだ。