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トヨタ、次世代デジタルコクピット公開 フルデジタルメーターに加え手元デジタルディスプレイ装備

手元デジタルディスプレイを備えた次世代デジタルコクピット

Digitalized Intelligent Cockpit(デジタライズド インテリジェント コックピット)

 トヨタ自動車は、「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開日:10月28日~11月5日、場所:東京ビッグサイト)で、2026年に発売を予定している次世代バッテリEVに搭載予定の次世代デジタルコクピットを公開する。この次世代デジタルコクピットは、デジタル化と知能化でコクピットの再定義を実現するものだという。

 その特徴は、メーターパネルがスレートタイプのディスプレイによってフルデジタル化されていることに加え、ステアバイワイヤによる異型ステアリング、その両脇に用意された手元デジタルディスプレイなどから構成されていること。センター部にはオプションにより、エンタテイメントに使えるディスプレイを用意することを提案していた。

異型ステアリングの両脇に備えられた手元デジタルディスプレイ

 この次世代コクピットは、Digitalized Intelligent Cockpit(デジタライズド インテリジェント コックピット)と名付けられ、3つの価値を提供するという。

1.すべての操作を道路から目を離すことなく手元で行なえる。
2.現在のデジタルコンテンツがドライバー体験の一部となっていないことに対し(主にパッセンジャー向きのうれしさ)、ドライバーであってもデジタル体験ができるようになる。
3.クルマの基本機能だけに特化したいスポーツカーや廉価ニーズから、エンターテイメントをより楽しみたいニーズまで、多様なニーズに応えるフレキシビリティ。

 これらを実現するために、新たなコクピットデザインが採り入れられた。

 その第一印象は、ステアバイワイヤのステアリングと相まって、とても未来的ながら、走りを予感させるもの。2026年に発売するバッテリEVは、「クルマ屋が創るBEV」をうたうだけに、ステアリングの操作性に配慮されている。

 とくに、ステアリング両脇に用意された手元デジタルディスプレイは、左側がシフトセレクターなどパワートレーン系の操作が、右側は音楽の選曲などエンタテイメント系の操作が割り当てられている。

 右側の手元デジタルディスプレイは、スマホライクな操作でコンテンツ操作ができるようにデザインされており、普段スマホを使っている人であれば迷うことなく操作できるだろう。

 一方、まったく新しい操作系となるため、かっこよさは抜群だがとまどいがあったのが、左側の手元デジタルディスプレイ。シフト操作は「D」などをタッチすればよいので直感的に分かるが、ADAS系の操作も左側に集約されていた。基本的に記者は右ハンドルのクルマに乗っているので、左にシフト関連の動作があるのが自然だと思うように教育されている。

 その前提での言及となるのだが、ADAS系が左側にあるのに、ちょっと違和感を感じた。ADAS系は、これまでバラバラだったものが、国産車では右側に集約されてきているように思う。それはトヨタ車も同じで、ADAS関連は右というのが今の基本だ。そのため、左手でADASを設定していることに違和感を感じた。

 もちろんこれらはソフトウェアで実現されているので、どちらにでも機能を割り振ることができるし、今回公開されたのは機能デザインの検証用に見えるため、これから討議されていく部分かと思う。左ハンドルに慣れている人は(世界では多数派)、また違う意見もあると思われるので、クルマ屋であるトヨタらしい、そしてレクサスらしい、コクピット哲学が提示されることを期待して、完成形を楽しみに待ちたい。

Personalization of Motion(パーソナライゼーション オブ モーション)

LFAモードのデジタルコクピット

 このプログラミング可能な次世代デジタルコクピットならではの提案が、パーソナライゼーション オブ モーションになる。これはあるトリガーをきっかけに、コクピットがLFAにも2000GTにもなるというもの。バッテリEVとArene(アリーン) OSによって、次世代BEVは4輪独立した統合制御が可能になっており、走りのセッティングも大きく変更することができる。

 走りも変化する上、コクピット内もLFAや2000GTを感じさせるものになる。

 ここにはオープン化の要素も採り入れるとしており、サードパーティによる開発に対応し、コンテンツ販売なども見据えているようだ。レースゲームに詳しい人であれば、DLC(ダウンロードコンテンツ)を実現するプラットフォームを装備していると言えば、一発で分かる部分だろう。それをトヨタは実車で実現していくという。

2000GTモードのデジタルコクピット
シフトレバーを取り付ける提案

Interactive Reality in Motion(インタラクティブ リアリティ イン モーション)

インタラクティブ リアリティ イン モーションの概念

 知能化の部分では、インタラクティブ リアリティ イン モーションという、インテリジェンスな機能を投入する。これは室内モニタリングシステムにより、ドライバーの顔が向いている方向や、手の指さしをボーン(骨)で認識するというもの。そこに音声認識を組み合わせ、指を指してウェイクワード(今回は、Hey Lexus)で呼びかければ、指さししているレストランをポインティングし、予約をしたり、メニューの内容を知ったりできる。

 指さしという大きなジェスチャになっているが、これは「その方向を見る」ということが安全面の考えから(よそ見運転前提になるので)使わないため。いろいろ検討した結果、現時点では指さしになっているとのことだ。

 これらの要素が採り入れられた次世代デジタルコクピット。ジャパンモビリティショーで、世界初公開の展示が行なわれていく。