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トーヨータイヤ、清水隆史社長会見 2023年は過去最高益、2024年は「その先を見据え、愚直に力をつける年」
2023年12月12日 11:58
- 2023年12月8日 実施
2023年の業績は好調というトーヨータイヤ
TOYO TIRES(トーヨータイヤ)は12月8日、2023年のふり返りと2024年の展望を説明する社長記者会見を4年ぶりに実施した。
冒頭で清水社長は、「自動車や機械といった製造業を中心に円安、好調な海外事業、値上げなどで売り上げが底上げされ、3月期決算の国内上場企業のうち、過去最高益を含む企業数が上振れしている」との報道にふれつつ、「自社でも主力市場である北米で、SUVピックアップトラック向け大口径タイヤを中心に販売が好調に推移し、第3四半期(1月~9月)累計売上高が前年に続いて過去最高を更新した」と紹介。
また、利益についても「売上高の増加に加え、海外輸送費の安定化、為替の円安メリット、有価証券の売却益の計上などもあり、営業利益、経常利益、四半期純利益の利益3項目も共に第3四半期で過去最高になった」と好調ぶりをアピールした。
トーヨータイヤはこれらの業績を踏まえ、2023年度通期の業績予想について、営業利益を600億円から650億円に、当期純利益を550億円から600億円に上方修正している。
続けて清水社長は、2022年12月に開所したセルビア工場についても、「2023年の新たな事業基盤の一角として、生産設備の順次導入・配備を進めつつ生産能力を高めている。欧州市場での地産地消ビジネスを担いながら、主力アメリカ市場に向けての供給補強ができる戦略的な基地である」と説明した。その主力市場である北米は、上半期は消費者マインドがインフレの抑圧を受けたことで、インチアップ需要が一時的に消極的になったものの、下半期は徐々に大口径サイズが動き始め、自社の得意カテゴリーである「WLTR(ワイドライトトラック用タイヤ)」が前年を超える販売で収益を押し上げていると説明。
国内販売に関しては、アウトドアブームのほか、SUVやオフロード仕様の車両も人気が伸長していることから、MT(マッドテレーン)タイヤの「オープンカントリー」ブランドが指名買いされるようになってきたと解説する。
サステナブル素材採用タイヤの開発に関しては、2023年5月に発表した国立大学法人富山大学との共同研究で、二酸化炭素から高収率でブタジエンへ変換する触媒を開発し、タイヤの主原料であるブタジエンゴムの合成に成功したことや、同11月にセルビアでノヴィ・サド大学とサステナブル原材料の研究開発を目的とした産学連携に関する協定を結ぶなど、清水社長は「引き続き商品化を目指して原材料改革にチャレンジしていきたい」とまとめた。
2024年は「その先を見据え、愚直に力をつける年」
清水社長は2023年を、「2021年から取り組んでいる5か年計画の新中期経営計画『中計'21』の中間地点で、折り返しにあたる年である」と前置きし、「前半はコロナと共にあったが、コロナ禍が収束する一方で、地域間の戦闘という国際社会で火種が悪化し、たちまち世界経済も社会も混乱と混乱に踏まれると同時に、物価高やインフレ、ロジスティックコストの急騰、原材料やエネルギー価格の上昇、雇用不安、景気の冷え込みなど、常に何がしかの要件が入れ替わり立ち替わりやってくるといった状態が続いている」と振り返る。
しかしそんな中で、「先の見通しがきかないときに頼るべきは目先ではなく、自分が立っている足下。すなわちそれは一緒に働いている同志、会社の仲間であると学んだ」と清水社長は言い、新たに幹部間でデイリー打ち合わせを始めたところ、「事業全体の状況把握ができる」「日々の意見交換で判断軸、バランス感覚が通じ合っていく」「打ち合わせで決めたことがスピーディに展開される」といった3つの効果が得られたと紹介した。
最後に清水社長は、「中計'21の後半に入る2024年は、変化にもまれながらも、その変化に適応しながら、自分たちの実力値をしっかり底上げしていき、これまでの取り組みをしっかりと熟成させ、さらにその先を見据えて力をつける年にしたい」と締めくくった。