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フォーミュラEのデモランもあった「JAFモータースポーツジャパン in お台場2024」

2024年2月24日〜25日 開催

3月に東京で開催されるフォーミュラEに参戦していた「Nissan Formula E Gen2 car」もデモランを行なった「JAFモータースポーツジャパン in お台場2024」

 2月24日~25日、「親子で『見て』『聞いて』『触って』『体感する』モータースポーツ」をテーマに掲げた「JAFモータースポーツジャパン in お台場2024」が東京・お台場地区で開催され、2日間を通じ5万2020人の来場者が楽しんだ。モータースポーツジャパンは、さまざまなカテゴリーのモータースポーツ車両に触れられるイベントとして2006年にはじまり、2021年からはJAFが主催している。

 会場中央の「カーボンニュートラルとモータースポーツ」ブースには、温室効果ガスの排出量削減を目指したCN(カーボンニュートラル)車両や世界選手権を戦うマシンを展示。

 今年の3月末に東京で開催される世界選手権フォーミュラEに参戦していたマシン「Nissan Formula E Gen2 car」(現在のレースはGen3 carが走っている)や、2019年のル・マン24時間レース優勝車両「TOYOTA TS050 HYBRID」、レッドブル・レーシングのF1マシン「RB19(ショーカー)」など、世界選手権を戦うマシンから、現在スーパー耐久シリーズST-Qクラスに参戦している「シビック タイプR CNF-R」など国内レースの参戦マシンまで、さまざまなマシンが披露された。

ホンダ レッドブル・レーシングRB19ショーカー、シビックTYPE R CNF-R
トヨタ TS050 HYBRID 2019年ル・マン24時間レース優勝車両、ヤリスWRC 2021年参戦モデル レプリカ
ニッサン Formula E Gen2 car、リーフNISMO RCほか、SUPER GTやインタープロトシリーズ、女性だけのシリーズKYOJO CUPなど現在国内で開催されているレースのマシンの展示やスーパーフォーミュラマシンSF13の乗車体験などなかなかの充実ぶりだ
SUPER GT(GT300)
インタープロトシリーズ&KYOJO CUP参戦車両と、KYOJO CUPオーガナイザーの関谷正徳氏
スーパーフォーミュラSF13の乗車体験

 会場内に用意された特設コースではD1 LIGHTSやジムカーナのマシンのデモランの他、三菱自動車がレストアを手がけたグループA時代のWRCマシン、ランサーエボリューション3やNissan Formula E Gen2 carもデモランを行なった。

 わずかなモーター音がするだけでほぼ無音のEVから、世界で戦ったわが国のWRCマシンのエンジン音まで、時代の垣根を超えモータースポーツの魅力を堪能できるのはこのイベントならではだ。

 また、1985年にル・マン24時間レースに参戦したグループCカー、トヨタトムス85CLは残念ながら走行はなかったものの、エンジン始動を行ないレーシングサウンドで来場者を楽しませた。ちなみにグループAのランエボ3は1996年WRC1000湖ラリーでトミ・マキネン選手が優勝したマシン。トヨタ トムス85CLのエンジン始動を行なったドライバーは関谷正徳氏という贅沢な布陣だった。

D1 LIGHTS参戦車両によるデモラン
全日本ジムカーナ選手権参戦車両によるデモラン。ジムカーナ車両の同乗走行も行なわれた
ずらりとそろった全日本ジムカーナ選手権参戦車両
Nissan Formula E Gen2 car
三菱ランサーエボリューションIIIグループA 1996年WRC1000湖ラリー優勝者とマシンをレストアしたスタッフ。かつてWRCを戦ったメカニックから次世代の開発陣へ技術を伝承するプログラムの一環だ
トップカテゴリーでも量産車と変わらないフォルムが今となってはとても新鮮なグループA時代のラリーカー
トヨタ TOM'S 85CLとスカイラインGT-R KPGC10
エキゾーストノートを披露するトヨタ TOM'S 85CL
全日本ラリー選手権に出場するカヤバGRヤリス。実戦でも使用する丸いテントはまるで全日本戦のサービスパークのよう
2023年のアジアクロスカントリーラリーに参戦した三菱トライトン(レプリカ)と45度の急斜面を昇るデリカD:5。デリカD:5はアジアクロスカントリーラリーで実際にサポーカーとして現地で活躍した車両だ
世界で戦い続けた懐かしいマシンから最新のトライトン、デリカD:5までラリーアートの魅力が詰まったステッカーが会場で配布されていた
ジャガー・ランドローバーのブースでは世界初となる市販車ベースのBEVによるワンメイクレースシリーズ「JAGUAR I-PACE eTROPHY」のマシンを展示
DSオートモビルはプラグインハイブリッドのDS4 Esprit de Voyage E-TENSEを展示
BBSジャパンのブース
富士スピードウェイはGR86のオフィシャルカーを展示。搭乗体験もできた

 無料ながらモータースポーツ車両の走行や展示が充実しているモータースポーツジャパンだが、もうひとつの顔がAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)による体験プログラム「ふれあい試乗会」、そして18歳以下を対象とした「U-18運転予備校」だ。ふれあい試乗会はAJAJ会員の運転による同乗体験で、その車種はBYDやBMWのEVやマツダのロータリーEVからシボレーコルベットやホンダシビックTYPE-Rなどのスポーティなモデルまで車種が豊富で開場直後から行列のできる人気ぶり。

 U-18運転予備校は免許取得前の若者に運転を体験してもらう意欲的なプログラムで、運転前にはシートポジションの合わせ方から運転のノウハウまでの講習が行なわれた。用意されたクルマは、レクサスLCコンバーチブルやBMW Z4など国内外のスポーティモデルだ。

AJAJ会員の運転による同乗体験「ふれあい試乗会」
「ふれあい試乗会」は開場直後から行列のできる人気っぷり
「U-18運転予備校」ではAJAJ会長 菰田潔氏が座学の講師を務めた
教習車はレクサスLCコンバーチブルやBMW Z4、フェアレディZ、マツダロードスター

 また、新しい電動モビリティツールのシェアリングサービスLUUPとJAFによる電動キックボードの乗り方講習会も行なわれた。走行できる場所、できない場所。右左折の方法などまだまだ周知されていないゆえの問題も少なくない。LUUPを利用するうえでの法規の確認や実車の試乗体験をクローズドコースで行なう事は、これからの社会においてタイムリーかつ大切な取り組みだろう。

試乗用の電動キックボード
試乗コースを電動キックボードで走る。乗り方は極めて簡単なだけに、これまでの実証実験を踏まえた新しい道路交通法をしっかり把握した上での運用が安全のカギとなるだろう

 開会式では小池百合子東京都知事によるビデオメッセージで、これから100%非ガソリン化を目指す東京都の取り組みが紹介され、「脱炭素化のスピードを一気に上げてまいりましょう」と来場者に訴えた。電動フォーミュラマシンの走行や展示、電動キックボードの乗り方講習などはそうした未来が垣間見えるプログラムだ。一方で世界に挑戦し続けてきた懐かしい日本車の走りはもちろんエンジンサウンドも大変魅力的であった。内燃機関とモーター。懐かしいマシンと未来のマシン。時代の変わり目らしい幅の広さと、新旧のバランスの良さが際立った2024年のモータースポーツジャパンであった。

開会式では「脱炭素化のスピードを一気に上げてまいりましょう!」と小池百合子東京都知事がビデオで挨拶
一般社団法人 日本自動車連盟(JAF) 島雅之専務理事
JAFモータースポーツ振興小委員会 鈴木亜久里氏
最新のフォーミュラEや80年代のグループCマシンなどバリエーション豊かなマシンが来場者を迎えるモータースポーツジャパン。本物のだけがもつ魅力を、お台場での買い物ついでに楽しめる気軽さは今回も健在だった