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住友ゴム山本悟社長がSUPER GT鈴鹿を激励訪問 2025年にセンシングコア技術をレース導入
2024年6月2日 15:27
6月1日~2日の2日間にわたって、「2024 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 3Hours RACE」が鈴鹿サーキットで開催されている。SUPER GTのGT500クラスにはタイヤメーカー3社(ダンロップ[住友ゴム工業]、ブリヂストン、横浜ゴム)が参戦、GT300クラスには4社(前記3社に加え、ミシュラン)が参戦して、マシンだけでなくタイヤの開発競争を行なっている。
土曜日には予選が開催され、GT300クラスにてダンロップのタイヤを装着する777号車 Aston Martin Vantage GT3 EVO(藤井誠暢選手/C.ファグ選手)がポールポジション、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTのSUBARU BRZ GT300(井口卓人選手/山内英輝選手)が2番手と、ダンロップ装着車がフロントローを飾った。
ダンロップ勢が好調の中、決勝日に住友ゴム工業 山本悟社長が鈴鹿へチームを激励に訪れていた。チーム激励中の山本社長に、モータースポーツへの最新技術導入などの話をうかがった。
──初戦の岡山は足を運べなかったと悔やんでいましたが、今回SUPER GT鈴鹿を訪問した目的を教えてください。
山本悟社長:まずはレースというのは本当に過酷な実験場ですよね。自動車メーカーさんも、最先端の車両を投入されますし、チームも、ドライバーも、いろいろと準備して挑んでいます。そういった最高峰の中でタイヤのいろんな実験をでき、フィードバックをもらえる。そのフィードバックは市販用タイヤに活かされますので、やっぱり我々としては非常に大事な場所としてとらえています。
また、私もモータースポーツが大好きなので、サウンドや雰囲気などは肌で感じたいし、SUPER GTに限らずほかのカテゴリも時間ができたらできる限り行くようにしています。やっぱり現場に行かないと分からないことってありますよね。今からチームを回りますが、実際にタイヤの評価もしっかりといただきますし、それは現場でやらないといけないと思っています。
それと競合メーカーさんのタイヤと、今の現状というか“差”などをいろんな人としっかりと話して把握するのも重要です。それをもらい戻ってメンバーと意見交換しながら開発にフィードバックしていきます。
──すでに2024年からセンシングコア技術を本格的に収益化させていくと発表していますが、モータースポーツへの導入を見すえて、2023年に軽自動車の耐久レース「K4GP」でテストを行なっていました。導入時期などの目途は見えていたのでしょうか?
山本悟社長:まずは“路面の状況を把握する”という取り組みを行なっていますが、これは結果的にタイヤの状況も分かるということで、現在ダイハツのチームとK4GPで一緒にやっています。ほかにもさまざまなシチュエーションでテストしていますが、本格的には2025年からレースでもしっかりとセンシングコアを活用してデータが取れるようにしていきたいと考えています。
このダイハツさんとの取り組みは、一般ドライバーやアマチュアドライバー向けにタイヤの状況を知ってもらう機能です。本格的なレースではテレメトリやTPMSなどをすでに装着しているので、直接タイヤの内圧などは分かるのですが、やはり一番の問題はスローパンクチャを、TPMSやセンシングコア技術使って少しでも早くドライバーやピットのメカニック、エンジニアに伝えられないかなと取り組んでいます。ただし、SUPER GTはリアルタイムにデータを取るのはレギュレーションで禁止されているので、ニュルブルクリンクのレースなどで、テストを行なっています。こちらの技術に関しては、もう1年くらい先かもしれないです。
──GT300クラス予選でフロントローを獲得したチームへのメッセージを
山本悟社長:まだまだ課題もありますが、ゴムの研究と設計、さらに先日も視察に行ってきたばかりですが、レース用タイヤを生産している名古屋工場と、今その3つの連携を深めながらやっていて、そこにチームからいろいろなフィードバックをいただき、とにかく課題を網羅して1個ずつ解決させる。前回の富士ではタイヤにトラブルが起きましたが、そこを1か月足らずで解決しました。
チームからも「そこまで詰めてくれたのか!」って言われましたし、今回1ステップ超えたものを投入できましたので、その結果が予選のリザルトにつながっているんだと思います。これからも一緒に戦っていきましょう!