新技術を投入した製品が続々登場「スタッドレスタイヤカタログ 2012-2013」
ダンロップ、ミシュラン、ヨコハマが主力製品をフルモデルチェンジ


 北海道や東北では秋も徐々に深まり、ウインターシーズンへの準備が必要になりつつある。すでに自動車用品店の店頭などではスタッドレスタイヤの商戦が始まっているところもあり、今シーズンの購入を検討している人もいるだろう。

 2012-2013年シーズンのスタッドレスタイヤの話題は、ダンロップ(住友ゴム工業)、日本ミシュランタイヤ、ヨコハマタイヤ(横浜ゴム)が乗用車用スタッドレスタイヤに新製品を投入してきたことにある。スタッドレスタイヤは、3年~4年のサイクルで新製品が登場することが多いが、定評のある製品がモデルチェンジしたことで、今シーズンはスタッドレスタイヤ選びに大いに悩みそうだ。

 スタッドレスタイヤに求められるのは、第一に氷上や雪上でのグリップ力。凍った道や雪道は滑りやすく、各社はそこでのグリップ力を確保するために最新の技術を惜しみなく投入している。氷上や雪上でのグリップ力を確保した上で、操縦安定性、ライフ、ドライ路面やウェット路面の性能などを追求しており、コンパウンド(タイヤの素材)、トレッドパターン、コンストラクション(タイヤの構造)の違いに、各社の考え方の違いが見て取れる。

 とくに外見から違いが分かりやすいのが、トレッドパターン。スタッドレスタイヤではこのトレッドパターンに、サイプと呼ばれるジグザグ状の小さな溝が刻まれていることが多く、このサイプによるエッジ効果でグリップを確保している。また、ブロックとブロックの溝で雪を挟むことで、雪上でのグリップ力を作り出すなど、さまざまなノウハウが表面に現れている部分だ。

 スタッドレスタイヤカタログ 2012-2013では、各タイヤメーカーが乗用車向けに発売しているスタッドレスタイヤを紹介していく。スタッドレスタイヤ選びに役立てていただければ幸いだ。


ダンロップ「WINTER MAXX」

ダンロップ「WINTER MAXX(ウインターマックス)」
サイズラインアップ:135/80 R13 70Q~245/45 R19 98Qの計88サイズ
ダンロップ:http://tyre.dunlop.co.jp/
製品情報:http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/studless/wintermaxx/
ニュースリリース記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120724_548764.html
発表会記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120822_554291.html
レビュー記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120925_561018.html

 ダンロップの「WINTER MAXX(ウインターマックス)」は、「ダンロップ史上、断トツNo.1の氷上性能実現」を開発コンセプトに、ゼロから作り上げたと言ってもよい新スタッドレスタイヤ。

 コンパウンドには、同社の新材料開発技術「4D NANO DESIGN(フォーディー ナノ デザイン)」を活用したことで、マクロレベルで見た場合はブロック剛性が高いものでありながら、ナノレベルで見た場合は水に追従・密着する柔軟性を両立するゴム「ナノフィットゴム」を開発。単結晶針状セラミックの「ハイパーテトラピック」を配合するなどでグリップを確保していた従来モデルから、大きく作り方を変更している。

 トレッドパターンも、イン側とアウト側で形状の異なる非対称トレッドパターンを新たに採用。これにより、直進時とコーナリング時の特性の最適化を図り、より安定した走行性能を得ようとしている。サイプに関しては、倒れ込みを抑制するために採用していた「ミウラ折りサイプ」を、25%薄くすることで、さらに緻密なサイプ配置を実現。エッジ成分が22%増えるとともに、ブロックもより倒れ込みにくくなり接地面積もアップしている。

 さまざまな技術が新投入されたウインターマックスは、前モデルに対して氷上ブレーキ性能が11%向上。ウェット性能も15%アップしたほか、耐摩耗性にいたっては48%の大幅な向上を実現した製品となる。

ウインターマックスのトレッドパターン。これは分かりやすくするためリブを赤く、ラグを黄色くぬったもの。非対称パターンを採用しており、右がアウト側となるアウト側のトレッドパターンブロックのショルダー部にも溝が刻まれグリップを確保
従来型のミウラ折りサイプと、旧モデルとなる「DSX-2」のトレッドパターン
ウインターマックスの新ミウラ折りサイプとトレッドパターン。サイプが倒れ込みにくくなり、さらにブロックあたりのサイプ密度が向上している
氷上ブレーキ性能11%アップウェットブレーキ性能15%アップ根本から作り直された結果、耐摩耗性能は48%の大幅アップ



X-ICE XI3

ミシュラン「X-ICE XI3(エックスアイス エックスアイスリー)」
サイズラインアップ:185/60 R14 86H XL~235/50 R18 101H XLの計32サイズ
日本ミシュランタイヤ:http://www.michelin.co.jp/
製品情報:http://www.michelin.co.jp/Home/Products-Services/pattern-detail/Winter/X-IceXI3
リリース記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120727_549690.html
発表会記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120730_550014.html
レビュー記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120924_560538.html

 ミシュランの「X-ICE XI3(エックスアイス エックスアイスリー)」は、X-ICEシリーズの第3世代モデル。従来モデルの「X-ICE XI2(エックスアイス エックスアイツー)」から、氷上ブレーキ性能を向上するとともに、耐久性、省燃費性、静粛性も高次元で確保することを目標として開発された。

 氷上性能、雪上性能の確保のために、「トリプルエフェクトブロック」「マックスタッチ」「ZigZag(ジグザグ)マイクロエッジ」「バリアングルサイプ」「115%ブロック」「フレックスアイスコンパウンド」「新Vシェイプデザイン」から構成される、第3世代ウィンターグリップテクノロジーを投入。氷上ブレーキ性能は、X-ICE XI2に比べ約9%向上。加速時などの指標となる氷上トラクション性能も約5%向上している。

 また、全体的な性能向上を図るため、偏摩耗を防いでタイヤの長寿命化を可能にする「マックスタッチ」、初期効果の維持を実現する「トレッドデザイン」、静粛性を向上させる「周波数コントロール」や「サイレントアイ」、サイプ底の形状を丸くすることでサイプ底にかかるストレスを分散する「ティアドロップ」などの技術も投入されている。

トリプルエフェクトブロック最新のシミュレーションツールを用いて均一な接地面圧を確保したZigZagマイクロエッジ
バリアブルアングルサイプにより多方向へのエッジ効果を発揮。安定感のある運転を実現氷上ブレーキ性能は約9%向上氷上トラクション性能は約5%向上

 トレッドパターンは回転方向指定のある深溝構造を採用。50%摩耗時でも新品時のトレッドデザインを極力維持することで初期性能の維持を実現している。

X-ICE XI3のブロックは、従来タイプに比べて115%に。エッジ効果を増やしつつ、静音性を高める工夫がされている新品時のトレッドパターン50%摩耗時のトレッドパターン。それほど変化がなく、初期性能を維持できるとする

 そのほか、ジョイントレス・ナイロンキャッププライの採用やタイヤ構造の見直しにより、より高速走行に対応。多くのサイズにおいて、従来の190km/h(T)から210km/h(H)まで対応速度を引き上げている。また、今シーズンのX-ICE XI3のサイズラインアップは、従来の約半数となる32サイズ。そのほかのサイズについては、X-ICE XI2が継続販売される。




iceGUARD 5

ヨコハマタイヤ「iceGUARD 5(アイスガード ファイブ)」

サイズラインアップ:135/80 R12 68Q~245/45 R19 98Qの計89サイズ
横浜ゴム株式会社:http://yokohamatire.jp/
製品情報:http://www.iceguard.jp/
リリース記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120702_544268.html
発表会記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120731_550232.html
レビュー記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120926_561572.html

 ヨコハマタイヤの新スタッドレスタイヤ「iceGUARD 5(アイスガード ファイブ)」(製品名:アイスガードiG50)は、同社の第5世代スタッドレスタイヤ。降雪地域での利用、非降雪地域での利用、節約志向という市場ニーズに応えるため、従来製品「アイスガード トリプルプラス」の「氷に効く」「永く効く」「燃費に効く」の3コンセプトを踏襲しつつ、同社の「BluEarth(ブルーアース)」コンセプトに基づき、優れた氷上性能のさらなる向上に加え、省燃費性能も高めることを目指している。

 氷上性能については「新マイクロ吸水バルーン」と「吸水ホワイトゲル」を新たに採用。吸水量を従来の「トリプル吸水ゴム」比で約21%向上した「スーパー吸水ゴム」を開発。トレッドパターンを非対称トレッドパターンに変更。この非対称IG50パターンでは、イン側に氷上性能を重視したパターンを、アウト側に雪上性能を重視したパターンを配し、氷上・雪上性能の向上に主眼を置いている。

吸水力を高めた新開発コンパウンド「スーパー吸水ゴム」非対称トレッドパターンを採用各ブロックを、さまざまな凍結路面を想定して配置
17インチ以上で、235幅以上のサイズは、リブ列を1列追加した幅広のトレッドパターンになる標準タイプのタイヤパターン幅広タイプのタイヤパターン

 新開発コンパウンド+新開発トレッドパターンの相乗効果により、従来品よりも、8%氷上ブレーキ性能を向上。たわみ制御プロファイルを投入し、タイヤのたわみを制御することで不要な発熱を抑制し、5%の転がり抵抗低減を実現している。

スーパー吸水ゴムと非対称パターンの相乗効果で、氷上ブレーキ性能を8%向上たわみ制御プロファイルで低転がり抵抗も実現した転がり抵抗は5%低減した



BLIZZAK REVO GZ

ブリヂストン「BLIZZAK REVO GZ(ブリザック レボ ジーゼット)」
サイズラインアップ:135/80R12 68Q~265/35 R19 94Qの計94サイズ
株式会社ブリヂストン:http://www.bridgestone.co.jp
製品情報:http://www.blizzak.jp/revogz/
リリース記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20090717_302893.html
レビュー記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20091120_329835.html
レビュー記事(ドライ編):http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20100115_341029.html
レビュー記事(スケートリンク編):http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20111111_489925.html
レビュー記事(帰省編):http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120113_504173.html
リリース記事(ハイブリッド専用):http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120823_554885.html

 ブリヂストンの「BLIZZAK REVO GZ(ブリザック レボ ジーゼット)」は、ブリザックとしては初めて同社の基準を満たしたエコ対応商品。それでいて氷上ブレーキ性能は従来比12%アップ、ウェットブレーキ性能では9%向上している。

 その性能を実現したのが、新たに採用されたレボ発泡ゴムGZ。新素材「コンティニューミクロパウダー」を新たに配合することで、タイヤ摩耗時にゴム内の気泡や水路が繋がり排水性をアップ。スリップの原因となる氷上の水膜を効果的に取り除く。

 トレッドパターンはイン/アウト非対称パターンを採用。これは発進時、コーナリング時、ブレーキ時でトレッドの使いかたが異なるため、それぞれに最適化したパターンとしたもの。さらに同社のREGNOやPlayzで採用している非対称形状も搭載。サイドウォールの形状をイン側とアウト側で変更することで、直進安定性を向上している。

 雪やシャーベット、水の上などで効果を発揮するのが、新設計の「スリム&ロングコンタクト」だ。タイヤの接地面の幅を従来より細くすることで、走行時に路面上の雪や水によって受ける抵抗を低減。さらに従来より接地長を長くすることで、接地面積は従来同等としている。これにより路面に対して効果的に力を伝達できるようにしている。

 2012年シーズンには、195/65 R15 91Qの1サイズのみとなるが、ハイブリッド専用モデルを追加。ハイブリッド車は発進から一定速度までモーター駆動が行えることから、その車両特性に合わせて氷上路面での加速時にトラクションがかかるよう、タイヤの構造を最適化したと言う。

従来品と比べ氷上ブレーキ性能で12%、ウェットブレーキ性能で9%向上摩耗時に気泡や水路が結合し排水性能をアップ加速、減速、コーナリングでのタイヤの接地状況に合わせ、トレッドを左右非対称パターンに
路面の凹凸など外乱によるふらつきを抑える非対称形状接地幅を減らして抵抗を低減。接地長を伸ばすことで接地面積は確保2012-2013年シーズンはハイブリッド車専用モデルを1サイズ追加。外観の違いはサイドウォールに刻まれる「HV」の文字のみ



BLIZZAK SI-12

ブリヂストン「BLIZZAK SI-12(ブリザック エスアイジュウニ)」
サイズラインアップ:195/65R15 91Qの1サイズ
株式会社ブリヂストン:http://www.bridgestone.co.jp
リリース記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20121009_564924.html
3発表会記事:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20121010_565017.html
レビュー記事(スケートリンク編):http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20121012_565437.html

 ブリヂストンの「BLIZZAK SI-12(ブリザック エスアイジュウニ)」は、195/65R15 91Qの1サイズのみ、北海道限定で約2000本(500台分)が発売されるスペシャルスタッドレスタイヤだ。それは、製品名にも現れており、SI-12は、Special ICE 2012 modelから名付けられている。

 その特徴は、アイス性能において定評のあるブリザック レボGZを、超える氷上性能を持つこと。氷上制動距離は19%短縮、氷上加速タイムは21%短縮、氷上旋回タイムは12%短縮したと言う。その代わり、ウェット路面性能、ドライ性能、シャーベットスノー性能、スノー性能については、レボGZに劣り、前世代モデルであるレボ 2同等となっている。

 その氷上性能の高さを実現するために投入された主な技術が、「オクタゴンパタン」と「親水性発泡ゴム」になる。オクタゴンパタンは、八角形のブロックから構成されるトレッドパターンで、2本のサイプが入った八角形のブロックを全面に敷き詰めている。従来のスタッドレスタイヤに比べ、小さなブロックとすることで、氷上の水が湧きにくくなり(氷りが溶けにくくなり)グリップ力が向上。また、小さなブロックのため氷路面の追従性も高く、接地面積が向上している。

 親水性発泡ゴムは、従来の発泡ゴムに対して、親水性コーティングを施した上で、より高い吸水性能を実現している。親水性コーティングは、発泡ゴムの穴を生成する工程で行われるため、タイヤが摩耗しても、新しい穴には常に親水性コーティングが行われている状態となる。

 ブリザック SI-12は、レボ シリーズを置き換えるものではなく、なによりも最高のアイス性能を求める方へ向けて作られている。冬の間は、常に氷結路面の移動となる方は、検討に値するスタッドレスタイヤと言えるだろ。

初期グリップを確保するため、タイヤ表面に小さな凹凸を採用した新技術「マイクロテクスチャー」を採用オクタゴンパターンの効果レボ GZの発泡ゴムと、SI-12の親水性発泡ゴムの吸水性の違い



WINTER ICECONTROL

ピレリ「WINTER ICECONTROL(ウィンター・アイスコントロール)」
サイズラインアップ:155/65 R13 73Q~225/45 R17 91Qの計25サイズ
ピレリジャパン株式会社:http://www.pirelli.co.jp/
製品情報:http://www.pirelli.com/tyre/jp/ja/car/sheet/winter_icecontrol.html?url=CarWatch

 ピレリの「WINTER ICECONTROL(ウィンター・アイスコントロール)」は、同社が日本市場向けに開発したスタッドレスタイヤ。コンパウンドには独自のシリカ7を配合。さらにアロマティックオイルを排除し環境性能も向上している。

 トレッドデザインはセミブロック型アローデザインを特徴とした新デザインで、新形状のスクエアショルダーとすることで接地形状と接地圧を改善。サイプやより細かく薄いスレンダーサイプとし、ショルダーとセンターのリブ部で異なる等長&非等長コンビネーションサイプとしている。

 ピレリからは気温低下時のサマータイヤの性能低下を考慮し、冬期の非降雪地域でのデイリーユースも考慮したスタッドレスタイヤ「WINTER SNOWCONTROL SERIE II(ウインター・スノーコントロール・セリエデュエ)」も発売されている。




SCORPION WINTER

ピレリ「SCORPION WINTER(スコーピオン・ウインター)」
サイズラインアップ:215/65 R16 XL~295/35 R21 XLの計24サイズ
ピレリジャパン株式会社:http://www.pirelli.co.jp/
製品情報:http://www.pirelli.com/tyre/jp/ja/suv/sheet/scorpion_winter.html?url=CarWatch

 ピレリの「SCORPION WINTER(スコーピオン・ウインター)」は、今シーズン新たに投入されるSUV向けスタッドレスタイヤ。SUVからクロスオーバーまでを守備範囲としており、転がり抵抗の低減、車内外ノイズの軽減、タイヤ寿命の長期化を実現。従来モデルに対して、転がり抵抗を4%低減しつつ、車外ノイズを3dB抑えている。

 新投入シーズンにあたるため、タイヤサイズのラインアップは順次拡大していく。




ICE NAVI ZEAII

グッドイヤー「ICE NAVI ZEAII(アイスナビ ゼア ツー)」
サイズラインアップ:135/80 R13 70Q~265/35 R19 94Qの計72サイズ
日本グッドイヤー株式会社:http://www.goodyear.co.jp/
製品情報:http://www.goodyear.co.jp/products/tires/icenavizea2/icenavizea2.html

 グッドイヤーの「ICE NAVI ZEAII(アイスナビ ゼア ツー)」は、天然素材でできたパワフルグラスとイオン結晶体により、氷をひっかきグリップ力をアップ。さらに撥水シリカによりスリップの原因となる水膜を除去。バイオフィラーによって柔軟性を持ったバイオトレッドが氷面の細かな凹凸に密着する。これにより従来品と比べ氷上ブレーキテストでは初速30km/hからのブレーキングで4.7mも制動距離を短縮している。さらにロングライフポリマーの配合により耐久性をアップ。ロングライフを実現している。

 トレッドパターンには4リブ構造としたZEAIIパターンを採用。隣り合うブロック同士が支えあうジグザグ三次元サイプのZEAブレードと併せてブロック剛性を向上し、氷上でのコーナリング性能、ドライ性能を向上。さらにパターンノイズも低減している。また、ショルダーブロックの回転方向に設けたコーナーグリップサイプや、サイプとは別に設けたアイスエッジにより、コーナリング時や新品時からのグリップを約束する。

氷をひっかくパワフルグラスとイオン結晶体バイオフィラーの配合により氷面の凹凸に柔軟に密着ロングライフポリマーで耐久性もアップ
ブロック剛性を保つ4リブ構造を採用立体的なサイプで支えあうZEAブレードアイスエッジにより新品時から高いグリップを生む



GARIT G5

トーヨータイヤ「GARIT G5(ガリット ジーファイブ)」
サイズラインアップ:135/80 R12~245/40 R18の計73サイズ
東洋ゴム工業株式会社:http://toyotires.jp/
製品情報:http://toyotires.jp/catalog/grg5.html

 トーヨータイヤの「GARIT G5(ガリット ジーファイブ)」は、トレッドゴムに天然素材の竹炭を使った吸水カーボニックパウダーを配合し、スリップの原因となるミクロの水膜を除去。新素材のナノゲルゴム(マイクロモルフ)により、氷点下でもゴムが硬くならず氷に密着し接地面積を確保、さらにゴムに配合された鬼クルミの殻が氷をひっかき、アイスバーンでも高いグリップを生む。

 G5では新パターン、新サイプ構造も採用している。加速、減速、コーナリングと全方向で路面に追従する360°サイプはバージョンG5に進化。六角形のサイプを大きく前後にずらして配置することにより、接地圧を均一化しグリップを向上している。接地長の長くなるトレッドセンター部には空洞を設けた吸着3Dサイプを採用。これにより、より路面の凹凸に密着し、エッジ効果を生む。さらにトレッドサイド部には排雪性の高いスラッシュスリットを採用している。そのほか、新品のタイヤからグリップを発揮させるため、新ファーストエッジを採用。エッジ加工により全方向に対応する。

 コーナリングやブレーキング時に安定性を生み、ドライ路面でもしっかり感を出すため、ベルト補強構造や高硬度プライトッピング、高剛性サイドウォール、高硬度ビートフィラーを採用。タイヤ自体の剛性を向上している。

氷点下でも柔らかさを保つナノゲルゴムと、水膜を除去する吸水カーボニックパウダー、そして路面をひっかく鬼クルミの殻で氷上でも高いグリップを発揮さらに進化した360°サイプや新品時からグリップする新ファーストエッジなど、トレッド面にも技術が凝縮される
タイヤ自体の剛性を確保することで、コーナリングやブレーキングの安定性を確保従来モデルと比べ氷上ブレーキ、氷上コーナリングともに性能を向上



スタッドレスタイヤの利用にあたって
 なお、スタッドレスタイヤの使用には以下の点に注意していただきたい。

・タイヤチェーンと異なり、必ず4輪ともスタッドレスタイヤを装備する必要がある。
・スタッドレスタイヤにより積雪路や凍結路などでの運転性は向上するが、スリップなどを完全に防ぐものではないので過信しないこと。また、法令でチェーン装着が義務付けられた場合は、スタッドレスタイヤ装着時でもタイヤチェーンを装着しなくてはならない。
・タイヤの使用限界を示すスリップサインのほかに、冬用タイヤとしての使用限界を示す「プラットフォーム」が設けられている。プラットフォームは、溝の深さが約50%以下になると露出するもので、この時点で冬用タイヤとして利用できなくなる。

 スタッドレスタイヤを購入する際に選択するタイヤサイズについては、現在利用している通常タイヤと同サイズが望ましい。スタッドレスタイヤへの交換を機にインチアップ/インチダウンするのであれば、タイヤ外径が通常タイヤとほぼ同様になるサイズを選択することが望ましいだろう。タイヤ外径については、タイヤ幅、扁平率、リム径から計算して導き出すことも可能だが、購入する店舗で店員に車種や利用目的を告げて相談するほうが確実だ。

 スタッドレスタイヤに交換した後の通常タイヤや、冬期以外のスタッドレスタイヤの保管にも注意が必要だ。タイヤは言うまでもなくゴム製品であり、紫外線、熱、水分、油分に晒されることで硬化し、劣化してしまう。劣化を防ぐためには、直射日光が当たり湿度の高いところを避け、タイヤにはカバーをかけて保管するとよい。また、タイヤの空気圧を指定された空気圧の半分程度に落とす、できるだけホイールを組んだ状態で保管し、ホイールを組んだ場合は横置きに、ホイールがない場合は縦置きにすること、タイヤゴムに含まれる薬品が床などに染みないようダンボールなどを下に敷くこと、などを心がけるとよいだろう。

(編集部)
2012年 9月 21日