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【日産360】パフォーマンス・ブランドの確立に向け、多角的な活動を行う「NISMO」

新しい顧客獲得に向け、ロードカー開発からパーツビジネス、レース活動など多角的に実施

グローバルイベント「日産360」では登場間もない「フェアレディZ NISMO」や、「リーフ NISMO RC」などにも試乗できた
2013年8月19日~開催

NISMOがEV「リーフ」をレース仕様に仕立てた「リーフ NISMO RC」。デビューは2011年のニューヨークモーターショーだった

 日産自動車は、米カリフォルニア州においてグローバルイベント「日産360」を8月19日から開催している。本稿では、日産360の中で行われた「NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)」ブランドのプレゼンテーションについて紹介する。プレゼンテーションは、NISMOの中枢であるNISMOビジネスオフィスでマネージャーを務める松島士乃さんが行った。

 NISMOは、今年の3月に日産の横浜工場3地区が隣接する鶴見事業所内に本社機能を移し、グローバル新本社として活動を開始した。これまでのレース車両の製作やパーツの開発・販売などに加え、メルセデス・ベンツのAMGやBMWのMのようなコンプリートカーの製作にも着手しており、すでに「ジュークNISMO」「フェアレディZ NISMO」を発売している。そして12月には「マーチ NISMO」が、さらにその先に「GT-R NISMO」が待機(2月の発表会でカルロス・ゴーンCEOが「12カ月以内に発表する」と公表)する。

 近年、精力的にNISMOブランドをアピールする理由は、NISMOを日産のパフォーマンス・ブランドと位置づけ、従来のモータースポーツファンのみならずより幅広いユーザーに日産の魅力を伝えていくため。そのためのコンプリートカーであり、競技用パーツのみならずストリートで使えるパーツ開発にも精力的だ。

 コンプリートカーと言っても、単にNISMOのパーツをつけただけではNISMOバッヂがつくモデルとして特別な価値を提供することはできない。そのため、例えばジュークNISMOではSUPER GTで得たノウハウがエアロパーツに活かされているし、足まわりの開発にはミハエル・クルム氏が携わっている。“本物”でなければコンプリートカーとしてなり得ないという、走りにこだわる日産ならではの情熱が伝わってくる。

SUPER GTで得たノウハウを詰め込んだエアロパーツを採用する「ジュークNISMO」。ECUの変更によりベース車から最高出力が10PS、最大トルクが10Nmそれぞれ向上している
「フェアレディZ」のプレミアムスポーツバージョン「フェアレディZ NISMO」では、等長デュアルエキゾーストの採用やECMのチューニングにより、標準モデルの247kW(336PS)/365Nm(37.2kgm)に対し、261kW(355PS)/374Nm(38.1kgm)に高められている
12月に発売予定の「マーチ NISMO」は、1.2リッター+CVTの「マーチ NISMO」、1.5リッター+5速MTの「マーチ NISMO S」をラインアップ
こちらはコンプリートカーではなく、リーフ用としてエアロパーツやホイールをパッケージ化した「NISMOエアロパッケージ」、エアロパッケージに加えスポーツサスペンションキット、スポーツリセッティングをパッケージ化した「NISMOパフォーマンスパッケージ」装着車。パーツの開発にも積極的だ

新しい顧客獲得に向けた取り組み

NISMOビジネスオフィス マネージャー 松島士乃さん

 そんなNISMOだが、現在はユーザーにより“ワクワク”を提供するブランドになるべく、「モータースポーツで培った技術から生まれる確かなパフォーマンス」「斬新的なデザインとパーソナリゼーション」「クルマとの一体感を加速させる最先端の車両IT機能」の3点に注力していると言う。

 この3点に注力する目的はターゲットユーザーの拡大にある。これまでのNISMOのターゲットユーザーは「クルマはパワーがある方がよい」「レースが好き」といった志向のコアユーザー(NISMOでは「Performance Seeker」と呼んでいる)だったが、今後はPerformance Seekerに加え、「これまでよりもよい生活を送りたい」「それほど馬力は要らないが、ちょっと自慢ができるクルマが欲しい」という志向の「Highlife Seeker」にまで拡大していきたいと言う。

 そのため、10名で構成されるNISMOビジネスオフィスのうち9名はPerformance Seekerに属するそうだが、残り1名に「これまでリソースマネージメントの部署にいたため、日産にいながら自動車に関わる部署にいなかった」という、Highlife Seekerに属する松島さんが選ばれるといった、新たなNISMOブランドの構築に向けた取り組みが行われている。

GT-RとNISMOモデルのチーフ・プロダクト・スペシャリストを務める田村宏志氏は、NISMOが“ワクワク”を提供するブランドを目指していると説明
NISMOは日産のモータースポーツ活動を担う会社として1984年に設立
NISMOブランドの目標
ブランドの確立に向け、モータースポーツで培った技術から生まれる確かなパフォーマンス」「斬新的なデザインとパーソナリゼーション」「クルマとの一体感を加速させる最先端の車両IT機能」の3点に注力していると言う
これまでのNISMOのターゲットユーザーは「クルマはパワーがある方がよい」「レースが好き」といった志向のコアユーザー(Performance Seeker)だったが、今後はPerformance Seekerに加え「これまでよりもよい生活を送りたい」「それほど馬力は要らないが、ちょっと自慢ができるクルマが欲しい」という志向の「Highlife Seeker」にまで拡大する構え
日本から欧米およびASEAN諸国へ向け、NISMOのコンプリートカーおよび各種パーツを発信していく

 また、モータースポーツ活動について、今年度は3つの領域に力を入れていると言う。1つは国内ではSUPER GT、海外ではブランパン耐久シリーズといったGT-Rによるレース活動で、「今年度は世界で12のチームがGT-Rでレースを行っており、日本でもSUPER GTで優勝できるよう頑張っている」(松島さん)。

 2つ目はル・マン24時間レース(LMP2クラス)やオーストラリア V8 スーパーカーシリーズなどへのレースエンジンの提供となっており、最後はドライバーの育成に関してで、NISMOは新しいモータースポーツに関する取り組み「ニスモグローバルドライバーエクスチェンジプログラム」を7月に発表。この取り組みの一環として、ゲーマーをリアルなレーシングドライバーにする「GTアカデミー」の出身であるルーカス・オルドネス選手が、8月のSUPER GT 鈴鹿1000kmレースに参戦するなど、「未来のドライバー」の育成にも積極的だ。

 加えてレース専用車両の「GT-R NISMO GT3」、リーフをモチーフとしたレーシングカー「リーフ NISMO RC」、2014年のル・マン24時間レースに参加する電力駆動レーシングカー「Nissan ZEOD RC(Zero Emission On Demand Racing Car)」の製作など、NISMOではさまざまなロードカーの開発からパーツビジネス、レース活動を実施しており、「これらを通じてよりNISMOブランドを強化していき、皆様にこれまでになかった“ワクワク”をご提供できればと考えている」と述べ、プレゼンテーションを締めくくった。

今年度のモータースポーツ活動で力を入れている1つ、GT-Rによるレース活動について
2つ目はル・マン24時間レース(LMP2クラス)やオーストラリア V8 スーパーカーシリーズなどへのレースエンジンの提供
「未来のドライバー」の育成も積極的に行っている
「GT-R NISMO GT3」「リーフ NISMO RC」「Nissan ZEOD RC」の製作など、NISMOの活動は多岐にわたる

(編集部:小林 隆)