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三菱自動車「デリカミニ」で雪深い志賀高原へロングドライブ 4WDモデルの高い雪上走破性を実感
- 提供:
- 三菱自動車工業株式会社
2024年3月14日 00:00
“デリカ”の名前を持つ「デリカミニ」
かつて三菱自動車といえば、4WD(四輪駆動)のイメージがとても強く、古くはパリダカールラリーのパジェロや、WRCのギャランやランサーエボリューションなどが真っ先に頭に浮かんできたものだ。けれども時代が変わり、そうした競技系のイメージが薄まり、アウトドアブームもあってか、タフなギア感が求められる方向へと移行。その先駆者となったのが、今回試乗したデリカミニの兄貴分である本家デリカだろう。
デリカは、ミニバンながらもパジェロゆずりの4WDシステムを奢り、本格的なオフロード走行も許容する走破性の高さは、瞬く間にファンの心をつかんでいったことを思い出す。現行型のデリカD:5においても根強い人気を誇るモデル。こうした歴史があって「デリカ」というブランドが確立したのだ。
デリカミニはこうした由緒正しき家系の子孫である。すなわち、デリカを名乗るのであれば本格的な悪路走行が可能でなければ許されないし、アウトドアで使い倒したとしてもヘコたれないタフさが必要なわけだ。
事実、デリカミニの4WDモデルは特別な開発が行なわれていて、デリカD:5と同じような悪路でテストを実行。兄貴についていけるように徹底的に鍛え上げられたのである。そこで生まれたのが大径タイヤと専用ショックアブソーバー、そしてシンプルなシステムながらもしっかりと駆動する4WDだ。
前輪駆動モデルに対して最低地上高を5mm引き上げ、160mmを達成した大径タイヤを見ると、「なんだ、タイヤを変えただけで車高をアップさせているのか」と思う人もいるかもしれない。けれども、車高が上がった分をしっかりと吸収するために、専用のショックアブソーバーまで仕立てているのだ。たかが5mm、されど5mm。それは高速走行時のグラつきにもつながり、不安定になりかねない。しっかりと支える減衰力をショックアブソーバーに持たせ、安定感を生み出しているのだ。
4WDシステムはビスカスカップリングを用いている。この方式を利用した場合、前輪のスリップが起きて前後のタイヤに回転差が生じると、ビスカスカップリングの締結力が強まり、後輪に駆動を移すようになる。すなわち、基本的には前輪駆動で動くパターンである。
だが三菱自動車の、しかも「デリカ」を名乗るクルマであれば、いつでも悪路を受け入れるフルタイム4WDであってほしいと思う人もいるだろう。そこで前後デフに備わるファイナルギヤ比にあえて差を持たせ、前輪のスリップが起きていないときであってもビスカスカップリングの締結力を生み出すようにセット。これにより後輪にも常にトルクを流すことが可能になっているのだ。
デリカミニ、雪道で実感する好印象の4WDシステム
今回はその走りを堪能するために、雪深い志賀高原までロングドライブに出かけた。片道およそ300kmのロングドライブである。軽自動車に私と編集者、カメラマンが乗り、さらに撮影機材を満載の状態での移動だ。文字にするとつらそうだが、実際のところはなかなか快適。
荷物は後席の片側を畳んでしまえば難なく収納可能。ラゲッジスペースもシートも、濡れ物や汚れ物を載せても簡単に清掃できる素材を採用しているところはマル。運転を任せてリアに座っても、ロングスライドで足を組むことも可能だし、天井にはプラズマクラスター付きのサーキュレーターが装備されているおかげで空調もきちんとキープされていたことが印象的だ。
走れば高速時やワインディングのドライブであってもパワー不足は感じない。しかも、運転支援機能の「マイパイロット」や「三菱e-Assist」があるおかげで、高速巡航時はステアリングにそっと手を置いておくだけで前走車との車間を保ち、車線をきちんとキープしながら走ってくれるのだ。
運転支援機能を使っていない素の状態であっても、足まわりがしっかりとしていて、直進安定性はなかなか。ロングドライブにおける疲労度はかなり軽減されているように感じる。軽自動車だってもう十分に遠出できる時代といえるだろう。
翌朝から行なうロケの下見のため夜のワインディングロードを駆け上がる。十分なトラクションを与えながら、フロントタイヤのグリップを外さずに走る能力は、なかなか頼り甲斐のある仕上がり。常にリアに駆動がかかり、フロントタイヤに余裕が生まれているからこその走り味だ。
夜間における視界も良好で、特に気に入ったのは「アダプティブLEDヘッドライト」だ。これは車速が30km/h以上の時に対向車や先行車がいたとしても、ハイビームを使えるシステム。対向車や前走車の部分だけをロービームにして眩しくしないように光をカットすることが可能だ。これにより道路脇が確認しやすく、運転がしやすくなっていた。
翌日はいよいよ険しい雪道にアタックする。雪深い道に踏み込み磨き上げられた4WDシステムを試す。深雪になっている路面があったとしても、アンダーボディを擦ることもなくクリアしたところは、やはり車高アップが効いている。
まずは2WDは通行不可という看板がある、15%以上はありそうな勾配において、「ヒルディセントコントロール」を使いながら下ってみる。ブレーキから足を離すと、クルマがブレーキをうまく使って、ゆっくりと安全に下ってくれるから一安心。ハンドルに集中しながら走れることもまたメリットの1つだろう。
今度は逆にその坂を上がってみる。いじわるにも坂の途中で一旦停止したのちに発進を試みた。すると、何事もなかったかのようにジワリと動き出すから大したものだ。路面のμが左右で異なるような状況ながらも、「グリップコントロール」によって4輪のブレーキをそれぞれうまく使いながら、なるべくスリップさせずにグリップを生み出すこのシステムは、ドライバーにそんなことをしていると感じさせないくらいスムーズに動き、クルマを前に前にと進めてくれる
おかげで難なく走破。基本的に前輪駆動で動く4WDシステムなら、きっとこうはいかない。フロントがスリップした瞬間、横方向にズレてしまうのが一般的だ。狭い上り坂ではこれは命取りといっていい。
最後にタイトなワインディングを走ってみたが、前夜に走った時の印象どおり、フロントタイヤのグリップを常にキープしながら、しっかりとリアからの蹴り出しも感じられるところが扱いやすかった。常にニュートラルステアで走る感覚に溢れるところがデリカミニの特徴といってよいだろう。
志賀高原の帰りに渋温泉街を走れば、やはりコンパクトな軽自動車のありがたさを感じる。大きくなる傾向がある現代のクルマたちでは入りづらい場所に来ると、日本だけを見てくれているクルマはしっくり来るものだと痛感させられたのだった。
デリカミニはそのキャラクターである「デリ丸。」のインパクトがあまりにも強く、タフさの中に可愛らしい部分を感じる顔つきもあって、どこかカッコだけの企画モノグルマのように感じてしまう方々もいるかもしれない。だが、それは違う。
今回改めて使ってみると、三菱自動車の4WDらしさが凝縮されている1台であることに気づく。このクルマはデリカの名を継ぐ者として恥じないあらゆる性能が宿っていた。