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「人とくるまのテクノロジー展2017 横浜」レポート(自動車、バイク、トラック編)
自動運転に向けた先進技術や駆動部品が大量に
2017年5月25日 00:06
- 2017年5月24日~26日 開催
- 入場無料
5月24日~26日の3日間に渡り、パシフィコ横浜で「人とくるまのテクノロジー展2017 横浜」が開催されている。車両、部品、材料、測定、製造など、クルマを取り巻くさまざまな分野のテクノロジーが集合するイベントとなっており、2017年の今回で26回目。過去最大規模となる562社が出展し、多数のブース出展に加え講演、ワークショップなども開かれている。
クルマの周辺技術をテーマにしたイベントのため、モーターショーのようなコンシューマー向けの展示は少なく、ビジネス商談イベントの趣もあるが、大手自動車メーカーによる展示も目立っている。ここではそれら自動車/トラックメーカーのブースを紹介する。
トヨタ自動車
新型「プリウスPHV」を2月から発売しているトヨタ自動車。同社はその車両に用いられているハードウェアを中心に紹介している。エンジン、モーター、バッテリー、ソーラーパネル、充電関連機器など、プラグインハイブリッド車において重要な多数の技術を構造が目に見える形で展示している。
また、新型プリウスPHVでも採用されているプラットフォーム「TNGA(Toyota New Global Architecture)」の解説のほか、新型マルチステージハイブリッドシステム、FF/FR用の新型オートマチックトランスミッションの詳細情報やカットモデルなども披露している。
日産自動車
日産自動車は、2016年度下期コンパクトセグメントで販売台数No.1となった「ノート e-POWER」とそのパワートレーンを披露。モーターと発電用のエンジン、インバーターの協調動作を理解できるカットモデルで仕組みを解説している。
また、新型「セレナ」に搭載している高速道路での同一車線自動運転技術「プロパイロット」を体験できるVRコーナーも用意。多くの来場者が順番待ちしている姿が見られた。
本田技研工業
本田技研工業のブースでは、2016年に首都高速道路で自動運転走行を行なった試験車両(レジェンド)のほか、参考出品されているロボット芝刈り機「Miimo(ミーモ)」と、重さ5.3kg、定格最大出力300Wの「ハンディタイプ蓄電機」が目を引く。
2輪教習所などで目にすることがある2輪用シミュレーターに似た「Honda Riding Trainer」は、実際に操作して体験できる。主に2輪の安全技術の検討のため世界各地でテスト運用しているもので、操縦を学ぶ教習所のシミュレーターとは使用目的が異なるが、ハンドルやペダルまわりは実車と同じかそれに近いものが使用され、走行風を再現するサーキュレーターも設置されているなど、リアリティの高い装置となっている。
マツダ
新型「CX-5」の“赤”が目立つマツダのブースでは、その「ソウルレッドメタリック」の塗装手法とメリットをパネルなどで紹介しているほか、今回ここで新たに提案する技術として、耐食性にかかわる新手法を解説している。
従来は部品を水槽に満たした液体に浸して錆を発生させ、耐食性の検証を行なってきたが、錆の発生までに時間がかかるうえ、水槽に設置できる部品の大きさにも制約があった。今回紹介している新手法では、塩水を媒介にして電圧を加えることで錆を発生させるのに必要な時間を制御。場合によっては数分というわずかな時間で錆を発生させることができ、検証にかかる時間、コスト、部品サイズなどの課題をクリアしたという。
そのほかSKYACTIV-Dエンジンのカットモデルや、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を構成する技術、センサー類も展示している。
スバル
スバルのブースでは、新型「インプレッサ SPORT」に採用されているSGP(SUBARU GLOBAL PLATFORM)をアピール。同車の車台部分が設置され、フレームの各部を強度ごとに色分けしているため、その構造や設計思想を把握しやすい。設置場所の床はミラーになっていることもあり、車台の裏側までしっかり観察できる。
三菱自動車工業
三菱自動車工業は、先進安全技術「三菱e-Assist」を搭載する「アウトランダーPHEV」を展示。乗車して機能の概要を知ることができる。また、人工知能技術による「AIパーソナルアシスタント RISA」のデモンストレーションも実施。クラウドと連携した音声認識によるナビゲーション等の操作サポート、ドライバーの状態検知といった、RISAが実現する機能の一端を動画などで紹介している。
ダイハツ工業
ダイハツは、歩行者にも対応するブレーキアシスト機能「スマートアシストIII」を搭載する新型軽自動車「ミラ イース(Mira e:S)」と、使い勝手のよさを実現する“軽の技術”を活用したコンパクトカー「トール」を中心に紹介。フロントガラスへの反射が少なく、クリアな視界にするダッシュボードの新しいシボ加工を確認できる展示もある。
スズキ
スズキは新型「ワゴンR」の先進安全技術に加え、新型「GSX-R1000R」の車両とエンジンのカットモデルなどを展示している。
現行モデルから大幅に手を入れたプレミアムモデルのGSX-R1000Rとスタンダードモデルの「GSX-R1000」は、エンジンの構造面にも注目すべき点が多い。MotoGPのテクノロジーを取り入れた、低速域と高速域とで異なるカムタイミングにする「スズキレーシング VVT」、ライドバイワイヤによってスロットルバルブを1つにしたうえで、吸気の流速によってエアの取り入れ方が自然に変化する2重構造のインテークポート「スズキトップフィードインジェクター」など、最新のスーパースポーツならではの技術や工夫の一端を垣間見ることができる。
ヤマハ発動機
ヤマハ発動機は、同社のフラグシップスーパースポーツ「YZF-R1」に採用しているマグネシウム合金による鋳造フレーム、鋳造ホイールを展示。シートレールは実際に触れて、アルミ合金製とマグネシウム合金製との重さの違いを体感できる。これらはすべて同社で内製しており、製造工程、材料管理、腐食対策などの面で、扱いの困難なマグネシウムについて多数のノウハウを獲得することにつながったという。
日野自動車
日野自動車が展示しているのは、同社の大型トラック「PROFIA」と中型トラック「RANGER」のそれぞれで採用している新型エンジンなど。PROFIAは排気量9リッターの「A09C」を搭載。2段過給システムにより過給効率をアップさせ低燃費化し、9リッターながらも排気量13リッターのエンジンと同等の動力性能をもつことを紹介している。
RANGERは排気量リッターの「A05C」を搭載。燃料の高圧噴射やフリクションの低減により、従来型のエンジンよりも低回転で高トルクを発揮する特性とし、全馬力帯で低燃費化を果たしたとしている。
いすゞ自動車
国内メーカー初という天然ガスを燃料とする大型CNGトラック「GIGA CNG-MPI」と、同車が搭載するエンジン「6UV1-TCN」を展示しているのがいすゞ自動車。1800rpmで330PSものパワーを発揮するというCNGエンジンは、その性能に対して意外にもコンパクトに見える。GIGA CNG-MPIは、実際に運転席に座って、乗車感覚を体験できるようにもなっている。
UD TRUCKS
UD TRUCKSは、燃費性能を高めたというクリーンなトラック用ディーゼルエンジン「GH11」と、運転性能を進化させたとするトラック用電子制御トランスミッション「EDCOT-VI」などを展示。間近で観察できる威圧感のある巨大なGH11エンジンは、燃焼室形状の最適化、インターマニホールドをはじめとする吸気系の形状改善、燃料噴射システムの改良、冷却用ウォーターポンプの性能向上などにより、省燃費と高出力、クリーンな排気を実現したという。
また、ESCOT-VIは、変速ショックの低減によるシフトアップの高速化、ドライバーの運転に対して最適なアドバイスをディスプレイに表示する「燃費コーチ」機能、一度走行したことのある登坂路などでGPSの位置情報と連携し、路面に合わせて出力を制御して燃費を改善する「フォアトラック」機能などを備える。