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「人とくるまのテクノロジー展2017 横浜」レポート(パーツメーカー編)

EVや自動運転のキー技術などを写真で紹介

2017年5月24日~26日 開催

入場無料

 5月24日~26日の3日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で「人とくるまのテクノロジー展2017 横浜」が開催されている。車両、部品、材料、測定、製造など、クルマを取り巻くさまざまな分野のテクノロジーが集結するイベントとなっており、2017年の今回で26回目。過去最大規模となる562社が出展し、多数のブース出展に加え、講演、ワークショップなども開かれている。

 ブース展示では、昨今のトレンドである自動運転、先進安全に関連する内容はもちろんのこと、設計・開発ソリューション、素材・材料加工、小部品加工、駆動系部品、製造・測定技術についての最新技術を紹介するものも多い。ここでは、それらのうち一部を写真で紹介する。

部品メーカー

旭化成
旭化成とEV(電気自動車)メーカーのGLMが共同開発したコンセプトカー「AKXY(アクシー)」
旭化成グループの持つ素材、デバイス技術を駆使することで、シートや外装などに新規素材を用いて軽量化。音声認識による機能制御、二酸化炭素センサーを応用した眠気防止といった先進技術の搭載を想定したものとなっている
こちらが二酸化炭素センサー。他社従来品より格段に小型化した独自開発のセンサーチップを使用し、応答速度も高速。AKXYだけでなく、他社のIoT機器に搭載されることも決定している
ショーワ
サスペンションメーカーのショーワ。「2輪車用電子制御車高調整技術」搭載サスペンション(EERAシリーズ)をアピールするため、本田技研工業の「CRF1000L アフリカツイン」を展示
前後サスのプリロードを変えることで車高調整する仕組み。スプリングはシングルレートのため、フィーリングの変化は少ないとする
スズキ「GSX-R1000R」やカワサキ(川崎重工業)「Ninja ZX-10R」に採用されている「BFF(Balance Free Front fork)」(左)と「BFRC-lite(Balance Free Rear Cushion lite)」(右)。従来よりも応答性の向上、高速な減衰力の立ち上がりなどを実現しているという
ダンパーの電子制御に対応した「SHOWA EERA Balance Free Damping Force」。ストロークセンサーはボディに内蔵。低コストと高性能を両立する
「神電 六」が搭載するエアダンパーサスの「SFF(Separate Function Front Fork)-Air」。アウターチューブはCFRP(炭素複合素材)で補強されている。市販化も検討しており、担当者によると「まずはミドルクラス(400~700cc)から」とのこと
島津製作所
島津製作所が新たに発表したエンジン筒内高速モニター「DIOMELAS」。エンジン内の温度、二酸化炭素量をリアルタイムに把握できる。価格は一式で数千万円ほどになる予定
ガソリンエンジン車の点火プラグのサイズに、レーザービームを射出する機能と小型ミラーを組み込んでいる。射出されて戻ってきたレーザーの変化を調べることで、温度と二酸化炭素量を計測する仕組み。写真はサンプルで、実際には車両メーカーが指定した市販プラグに加工を施すことになる
吸気、圧縮、点火という燃焼前の工程におけるエンジン内の状況を知ることが可能。これにより、点火直前にエンジン内にどれくらい不燃焼ガスが含まれているかを確認でき、効率的な燃焼の手法を検討できる
市光工業
1903年創業の市光工業。自動車用ライトの製造を長年手がける同社が展示していたのは、ルームミラーやサイドミラーをカメラ映像で代替えするシステム
前走車や対向車を避ける形でハイビームを照射できる新しいLEDライトシステムのデモ
エクセディ
主に東南アジアなど新興国の低排気量バイク向けクラッチディスクを製造するEXEDY。一方でMotoGPのトップチームであるMovistar Yamaha MotoGPのロッシ選手とビニャーレス選手のマシンに乾式多板クラッチを供給している
全日本ロードレース選手権のレース車両にも湿式多板クラッチディスクを供給。大排気量の市販車両向けに、こうした高付加価値製品を提供する検討も進めているとのこと

材料メーカー

帝人
帝人はダイハツ工業「コペン」をハッチバック化したコンセプトカーを展示
CFRPとポリカーボネートで軽量化したリアゲート
窓部分は樹脂素材ながら、特殊な加工が施されて従来にない高耐久性を実現。経年による変色も少ないという
内装は各部を簡単に取り外しでき、洗ったり、他の素材やデザインのものに“着せ替え”できる。裏側にマイクロファイバーのような特殊な加工が施され、貼り付けると前後に動きにくくなるため、手でまっすぐ手前に動かさない限り簡単には外れない
帝人の技術を背もたれと座面に応用したシート。左側が保温性のある素材を使用したもので、右側が通気性・冷感性のある素材を使用したもの。季節や気分によって簡単に変えて楽しめる
通常は合成皮革のように見えるセンターコンソールだが、必要に応じてエアコンなどの操作ボタンとして光って見えるようになる
東レ
東レの素材技術を結集したというコンセプトカー「TEEWAVE AC1」
外装、内装には炭素繊維素材や樹脂素材が用いられている。そのほかにも高性能モーター(用のコンデンサーフィルム)、高性能バッテリー(用の電極)、イメージセンサー(用の光学素材)、プラスチック光ファイバーなど、東レならではの素材がてんこ盛り
こちらも東レの素材技術をふんだんに盛り込んだ「次世代カーシート」。シート骨格にはカーボンファイバーを用い、クッション性が必要な部分はウレタンではなくリサイクル性の高いモノマテリアルを使用。通気性が高く、軽量で剛性にも優れるとする
積水化学工業
積水化学工業は「自発光中間膜」によるヘッドアップディスプレイをデモ
2枚のガラスに自発光中間膜を挟み込むことで、数色のグラフィックで映像をガラス全面に浮かび上がらせることが可能
メーターパネルの表示やドアに設置するライトにも活用できるという
三井化学
EVを開発するベンチャー企業「rimOnO」のプロジェクトに参画している三井化学
この車両のメーターカバーとスピーカーの塗料として、三井化学の「スタビオ PDI 自己修復システム」を使用。傷がついても自然修復する

デバイス、ソフトウェアメーカー

デンソー
デンソーのブースでは、トヨタ自動車の新型「プリウス PHV」に搭載されている「マルチアプリ対応大画面ディスプレイ」の操作性を試せる
ダイハツ「タント」「ミラ イース」などに搭載されている「小型ステレオ画像センサ」。衝突回避、車線逸脱、オートハイビームなどの処理判断に利用できる
「モーター一体フルSiCインバータ」。EVやハイブリッドカーにおける高効率な動力源として用いられる
SiCインバータで使用されるSiCチップのウエハ
dSPACE
ADASや自動運転のシステム開発を手がけるdSPACE。モデルベース開発に最適な代替えECUのユニットなどを搭載したカートを展示している
これらのモジュールにより、車両の操作系を全て制御できる。ECUの開発を行なう企業が、新入社員に対してモデルベース開発を教育するときに最適とのこと。6月にはNVIDIAのチップを搭載した新型のMicroAutoBoxを発表予定
ZFフリードリヒスハーフェン
自動車用デバイス開発を手がけるZF。これはAI(人工知能)技術を使用するセンサーフュージョンモジュール「ZF PROAI スーパーコンピューティング・エレクトロニクス」。NVIDIAのチップを搭載
自動運転・ADAS向けの「TRI-CAMカメラ」。複数の魚眼レンズカメラで300m先の物体検知に対応する。1つのセンサーが故障しても正しく動作し続ける冗長性も特徴
ダッソー・システムズ
CAD/CAMソフトウェアなどを開発するダッソー・システムズは、VRで設計レビューを行なえるソリューションを披露