フォルクスワーゲン、ソフトトップの「ゴルフ カブリオレ」発表会 ヴァリアント、トゥーランに続く第4のゴルフモデル登場 |
フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VWJ)は9月8日、同社の中心的ベーシックカーであるゴルフの派生車種「ゴルフ カブリオレ」を、10月1日から発売すると発表。同日、都内において発表会を開催した。
ゴルフ カブリオレのフロント、サイド、リアから。ボディーカラーはピュアホワイト |
■イオスを挟んで約10年ぶりの再デビュー
ゴルフのオープントップモデルは、初代から派生した「ゴルフ カブリオ」の名称で登場。3代目からはゴルフ カブリオレに名前を変え、2002年までに世界で累計68万台以上を売り上げる人気モデルとなった。5代目(先代)ゴルフになってからは、メタルトップオープン方式の「イオス」にポジションを渡してモデルラインアップから姿を消していたが、本モデルから約10年ぶりに再登場することとなった。また、現在はイオスとともに、「ニュービートル カブリオレ」の販売が終了していることから、同社ラインアップで唯一のオープントップモデルとなる。
新型ゴルフ カブリオレはモノグレード展開となっており、車両価格は399万9000円。パワートレーンはゴルフ・TSIハイラインと同じ1.4リッターのターボ+スーパーチャージャーエンジンと7速DSGの組み合わせ。ボディーのオープン化に伴う補強などによって、TSIハイラインと比較して車両重量が130kgほど増加しているが、0-100km/h加速8.4秒という俊足と、15.4km/Lの燃費性能(TSIハイラインは16.0km/L)を両立させている。
キャンバス生地のソフトトップは、ロック機構などもなくスイッチ1つで操作可能なフルオートの電動開閉式。30km/hまでの低速走行中であれば開閉が可能で、オープンまで9.5秒、クローズまで11秒で動作を完了させる。
VW車ではおなじみになったTSIエンジン+7速DSGの高効率パッケージを採用 | ||
作動音が小さく抑えられており、スイッチを押すだけでソフトトップとウインドーの開閉が完了する |
都内で開催された新型ゴルフ カブリオレの発表会で登壇した同社のゲラシモス・ドリザス社長は、新型車を「多くの説明を必要としない楽しいクルマ」と説明。約10年ぶりに復活させた理由について「数年前にフォルクスワーゲンは、完全にオートマチックなハードトップを備えるパサートベースのイオスを発売した。現在でも北米や欧州で人気を得ているが、より手ごろな価格で、若いユーザーを含めた幅広いお客様を対象とするゴルフ カブリオレが必要だと考えたから」と語った。
また、「ゴルフ GTIが“スポーツハッチ”というジャンルを生み出したように、ゴルフ カブリオレはオープンエアモータリングの楽しさをより多くの人に提供し、ゴルフのブランドを特別なものにした。10年の歳月を経て復活したゴルフ カブリオレによって輸入オープンカー市場に新たな風が吹き、このクルマが同セグメントでナンバーワンになると確信している」と、自信を覗かせた。
そのほか、冷え込む世界経済の影響をそれほど受けることなく成長を続けるフォルクスワーゲングループの生産・販売状況や、フォルクスワーゲンが取り組んでいる環境対応車の開発状況、VWJとして新春記者会見で発表した活動計画の進捗状況と、これからの展望などの説明に加え、冒頭では1週間前の台風で被災した近畿地方の人に向けたお見舞いの言葉を口にしていた。
ドリザス社長に続いて解説を行った同社の正本嘉宏マーケティング本部長は、新型ゴルフ カブリオレのエクステリアデザインについて「最新のロールオーバープロテクションシステムの採用により、従来のゴルフ カブリオレのトレードマークだったロールオーバーバーは廃止された。“ストロベリーバスケット”というニックネームまでついたトレードマークが無くなったことを残念に思う人がいるかもしれない。しかし、これによって従来型にあった箱形イメージから、クーペを思わせるスポーティでスタイリッシュな外観に生まれ変わっている」とコメント。
また、歴代カブリオレと比較してフロントウインドーの傾斜が強くなり、前後長が短くなったことは、シャープな印象を与えるデザイン面での効果に加え、風の巻き込みを抑えて快適なオープン走行を実現する実用面での有効性もあると紹介した。
これに加えて環境性能面では、ゴルフ特有のツインチャージャー+DSGというパワートレーンを受け継いだことにより、コンパクトオープンというジャンルでは唯一のエコカー減税(50%減税)対象車となっている点に触れ、「環境意識がますます高まる日本のお客様に、“オープンエアとエコ”という新たな選択肢を提供する」と語った。
正本マーケティング本部長は、歴史あるゴルフ カブリオレが「エコなコンパクトオープンという新しいジャンルを切り開くクルマになる」と解説 |
■ロールオーバープロテクションシステムが“小さく”進化!
多くのユーザーにとって、実際に目にする機会は少ないことが望ましい装備ではあるが、新型ゴルフ カブリオレで特徴的なのは、進化を果たしたロールオーバープロテクションシステムだ。すでに同社のニュービートル カブリオレやイオスに採用されている技術だが、今回は改良を受けシステムのコンパクト化に成功。
これにより、リアシートの左右分割可倒と開口部の広いトランクスルーを実現した。カブリオレ専用の頭部保護機能付きサイドエアバッグなどと合わせて、ユーロNCAPで最高水準の5つ星という安全性とゴルフらしさを感じさせる使い勝手を両立させている。
5種類用意された外装色のうち、ダークパープルメタリック、サンセットレッドメタリック、ピュアホワイトの3色はカブリオレ系独自のラインアップ。残るリフレックスシルバーメタリックとディープブラックパールエフェクトはゴルフと共通となる。
ダークパープルメタリック | サンセットレッドメタリック | ピュアホワイト |
シートはカブリオレ専用に開発された「クールレザー」を新採用。本革素材の表面に、赤外線を反射する顔料を塗り、その上に赤外線を透過する顔料でコーティング。これによって直射日光が当たってもシート表面の温度上昇が抑えられ、通常品と比較して最大で23度の温度差が出ると言う。また、このクールレザーはステアリングにも採用されている。
セラミック内装のシート | サルサレッド内装のシート | シートの温度上昇にまで気を配る、オープンカーならではの新技術 |
3本スポークのマルチファンクションステアリングにもクールレザーを使用 | セラミック内装のドアトリム | サルサレッド内装のドアトリム |
発表会が行われた東京ミッドタウンでは、屋外のコートヤードで初代ゴルフ カブリオ、3代目ゴルフをベースとした2代目ゴルフ カブリオの展示も開催。発売当時をイメージした服装に身を包む女性モデルも登場し、時代の移り変わりを演出していた。
初代ゴルフ カブリオ | 2代目ゴルフ カブリオ | 新型(写真右)と初代(写真左)を並べて展示 |
電動トップのスイッチは、センターコンソールの前方に設置 | 開けた時にソフトトップ前端がそのままカバーの役割を果たしてくれるので、手間がかからない |
クローズ状態のリアビュー | 熱線入りガラスのリアウインドー |
風の巻き込みを防ぐウインドディフレクターは全車標準装備 | 折りたたんでトランクに格納できる | |
ソフトトップの収納部分とトランクが隔離されている | トランク容量は250Lを確保 | トランクリッドにはガスダンパーを備える |
ホイールベースはそのままに、トランクを確保しつつソフトトップの開閉機構と4人乗車のスペースを両立した | フロントシートの後部形状も、リアシートの居住スペースに貢献 |
ウインドーのラインに沿うようにクロームメッキのラインを入れ、オープンカー特有のボディーフォルムを強調 |
LED式のリアコンビネーションランプ | バイキセノンヘッドライトを採用 | エキゾーストパイプ |
インパネ | 7速DSGはステアリングのパドルとシフトノブの両方で操作可能 | |
インパネ | メーターパネル | カーナビはディーラーオプションとなっている |
センターコンソール | センターコンソール内にはオーディオの外部入力端子を備える |
フロントタイヤ。17インチのアルミホイールを標準装備 | リアタイヤ。タイヤサイズは225/45 R17 |
(佐久間 秀)
2011年 9月 9日