ダイハツ、第3のエコカー「ミラ イース」発売 燃費は10・15モードで32km/L、79万5000円から |
ダイハツ工業は9月20日、軽自動車「ミラ e:S(イース)」を発売した。価格は79万5000円~122万円。
「低燃費」「低価格」「省資源」を柱に、「誰もが乗れる第3のエコカー」と銘打って開発した軽自動車。先に発表した低燃費技術「e:Sテクノロジー」を採用した初のモデルとなる。e:Sテクノロジーは、Energy Saving Technologyの略称。
グレード構成は2WD(FF)車が「G」「X」「L」「D」、4WD車が「Gf」「Xf」の計6モデルで展開される。主だっては装備面で差別化を図っており、全車ともCVT、アイドリングストップ機構「eco IDLE(エコアイドル)」は標準装備する。
グレード | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
D | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 79万5000円 |
L | 89万5000円 | |||
X | 99万5000円 | |||
G | 112万円 | |||
Xf | 4WD | 109万5000円 | ||
Gf | 122万円 |
コンパクトなボディーながら、室内長1920mm、室内幅1350mm、室内高1240mm、前後乗員間距離930mmとし、大人4名がしっかり座れるスペースを確保した | ||
Gグレード | ||
Xグレード | ||
Lグレード | ||
Dグレード | ||
Gfグレード | ||
Xfグレード |
注目は10・15モード燃費で32.0km/L、JC08モード燃費で30km/L(いずれも2WD車)を達成した燃費性能。同社はハイブリッド化などコストが必要となる手法はとらず、現行ミラなどに搭載する「KF」型エンジンに手を加えるとともに、空力性能の改善、車体の軽量化など、既存技術をブラッシュアップして実現した。
エンジンでは、燃焼効率の向上とエネルギーロス低減を目的に、圧縮比を従来の10.8から11.3に向上したほか、インジェクターによる噴霧を微粒子化するなど、8項目で改善を行い燃焼効率を高めた。
また、燃焼室内のイオンで燃焼状態を検知するイオン電流燃焼制御をEGR制御に応用した「i-EGRシステム」を採用し、エンジン特性に合わせ緻密に制御することで、再循環排気ガスをより大量に送り込み、ポンピングロスを大幅に低減。さらにチェーン幅細化による張力低減や、ピストンリングの低張力化、オイルシールの見直しなども実施している。
ボディーについては、剛性面を確保した上で骨格の合理化が図られたほか、CVTの軽量化、インストルメントパネル、ドアトリムといった樹脂部品の薄肉化など内装面で軽量化が行われ、結果として全長を短縮することなく現行ミラ(2WD/CVT)比で約60kgの軽量化に成功した。これにより2WD車の車重は730kg、4WD車は790kgを実現している。
60kgの内訳は、アレンジ・パッケージの変更で10kg、シェルボディーの骨格合理化で30kg、内装部品の軽量化で20kg、その他CVTの軽量化などで15kg。合計すると75kgの減量となるが、15kg分の追加装備によりトータルで60kgの軽量化となる。
また、デザイン段階から風洞実験を実施し、フロントコーナーの形状変更、床下流速の減速化したほか、駆動部品の改善などによって転がり抵抗の低減も図っている。
直列3気筒DOHC 0.66リッターの「KF」型エンジン。最高出力は38kW(52PS)/6800rpm、最大トルクは60Nm(6.1kgm)/5200rpm | CVTはケースの薄肉化やオイルポンプカバーなどのアルミ化により軽量化が図られた | グリルから外気をよりエンジンルームに送り込める形状とした |
i-EGRのシステム図 | 風洞実験も行われた |
世界初の「停車前アイドリングストップ機能」を装備。従来では完全停止と同時にアイドリングストップする仕様だったが、同機能ではブレーキを踏みながら車速が7km/h以下になるとエンジンが停止する |
■eco IDLEも進化
これまでアイドリングストップ機構「eco IDLE(エコアイドル)」は停止と同時にアイドリングを停止させていたが、ブレーキをかけながら車速が7km/h以下になるとエンジンを停止する「停車前アイドリングストップ機能」を備えた。アイドリングストップする時間を長くすることで燃費を稼ぐ施策となるが、7km/h以下の条件付きとは言え、ドライバーが違和感を感じてしまうようであれば意味がない。そのため、停車前に再加速する場合のドライバーのマインドチェンジにも対応できるよう、試作車で試乗を繰り返し、制御の最適化に取り組んだと言う。さらに電動オイルポンプを廃止したCVTなどの採用により、アイドリングストップシステムの専用部品を減らすことができ、その結果、軽量化・コンパクト化にも成功している。
こうした改善によって、「平成22年度燃費基準+25%」「平成17年排ガス基準75%低減レベル(★★★★低排出ガス車)」を達成し、エコカー減税によって自動車取得税と重量税が75%軽減される。
エクステリアデザインは「スマート・エコスタイル」をコンセプトに、ミラとは異なるデザインが与えられた。ボディーサイドは空気抵抗の少ない低く流れるようなシルエットとし、シンプルな面構成になったほか、バンパーとボンネットフードは大きくラウンドさせるとともに、リアバンパーのサイド部にエアロコーナー型のデザインを与えることで空気抵抗の低減を図っている。また、フロントグリルに葉っぱをモチーフにした専用エンブレムや、LEDコンビネーションランプを採用している。
ボディーカラーは新色のスカイブルー、シェルローズのほか、コットンアイボリー、プラムブラウンクリスタルマイカ、ブラックマイカメタリック、ブライトシルバーメタリック、パールホワイトIII、ホワイトの全8色を設定。
インテリアでは、インストルメントパネルにベージュとブラックのツートーンインパネを採用したほか、ベージュの表皮を採用したシート、自発光式デジタルメーター、金属調のパネルを採用したオーディオなどを装備している。
グレード | G/X/L/D | Gf/Xf |
駆動方式 | 2WD(FF) | 4WD |
全長×全幅×全高[mm] | 3395×1475×1500 | |
ホイールベース[mm] | 2455 | |
前/後トレッド[mm] | 1300/1295 | 1300/1265 |
乗車定員[名] | 4 | |
重量[kg] | 730 | 790 |
エンジン | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | |
最高出力[kW(PS)/rpm] | 38(52)/6800 | |
最大トルク[Nm(kgm)/rpm] | 60(6.1)/5200 | |
燃料タンク(L) | 30 | 34 |
10・15モード燃費(km/L) | 32 | 30 |
JC08モード燃費(km/L) | 30 | 27 |
トランスミッション | CVT | |
前/後サスペンション | マクファーソン・ストラット/トーションビーム | マクファーソン・ストラット/3リンク式コイルスプリング |
前/後ブレーキ | ディスク/リーディング・トレーリング | |
タイヤ | 155/65 R14 |
(編集部:小林 隆)
2011年 9月 20日