フェラーリ、新フラッグシップモデル「F12 ベルリネッタ」発表会 欧州と同時発売で納車は12月から。3590万円 |
フェラーリ・ジャパン プレジデント&CEOのハーバート・アプルロス氏(左)とフェラーリS.p.A プロダクト・マーケティングマネージャーのアンドレア・バッシ氏、F12 ベルリネッタ |
2012年7月5日開催
3590万円
フェラーリ・ジャパンは7月5日、今年のジュネーブ・モーターショーでワールドプレミアした新型フラッグシップモデル「F12 ベルリネッタ」の発表会を、都内で開催した。11月に生産を開始するが、すでに非公式の受注を1年半分受けていると言う。日本では欧州と同時に発売され、販売価格は3590万円。
F12 ベルリネッタは「599」の後継車で、同社のフラッグシップモデルに位置づけられる。「これまでに発表したモデルの中でもっともパワフル」というF12 ベルリネッタは、V型12気筒DOHC 直噴6.3リッターエンジンをフロントミッドに搭載し、最高出力は545kW(740PS)/8250rpm、最大トルク690Nm/6000rpm。最大トルクに関しては80%を2500rpmから発生させる。
デザインは、フェラーリ・スタイリング・センターとピニンファリーナのコラボレーションによるもの。
発表会会場に登場したF12 ベルリネッタ |
F12 ベルリネッタ諸元 | |
全長×全幅×全高[mm] | 4618×1942×1273 |
ホイールベース[mm] | 2720 |
前/後トレッド[mm] | 1665/1618 |
乾燥重量[kg] | 1525 |
総重量[kg] | 1630 |
エンジン | 65度V型12気筒DOHC 直噴6.3リッター |
ボア×ストローク[mm] | 94×75.2 |
圧縮比 | 13.5:1 |
最高出力[kW(PS)/rpm] | 545(740)/8250 |
最大トルク[Nm/rpm] | 690/6000 |
トランスミッション | 7速F1デュアルクラッチトランスミッション |
駆動方式 | 2WD(FR、トランスアクスル) |
前/後ブレーキサイズ[mm] | 398×223×38/360×233×32 |
前/後タイヤ | 255/35 ZR20 / 315/35 ZR20 |
前/後ホイール | 9.5J/11.5J |
発表会では、フェラーリ・ジャパン プレジデント&CEOのハーバート・アプルロス氏が挨拶を行うとともに、フェラーリS.p.A プロダクト・マーケティングマネージャーのアンドレア・バッシ氏も出席し、F12 ベルリネッタに関してのプレスカンファレンスを行った。
フェラーリ・ジャパン プレジデント&CEOのハーバート・アプルロス氏 | フェラーリS.p.A プロダクト・マーケティングマネージャーのアンドレア・バッシ氏 |
アプルロス氏は、「V12エンジンは我々の歴史。はじめて我々が作った125 スポーツはV12エンジンだった」「ル・マンではじめてフェラーリが優勝した166もV12。以来、250、275、330、375MMなどV12をフロントに搭載する多くの美しいスポーツカーを世に送り出した。そしてはじめてV12エンジン搭載モデルを送り出してから65年経った今、F12 ベルリネッタを導入する」と説明する。
また、「740は馬力、1分23秒はフィオラノのテストコースのラップタイム、123はダウンフォースで数値はkg(200km/h走行時)、8.5は0-200km/h加速のタイム」と、F12 ベルリネッタのスペックを数値で紹介し、「とくに7は重要で、フェラーリは7年間の無償のメンテナンスサービスを提供している。パワーとステータスだけでなく、安心感・安全というものをフェラーリを買うことによって確保できる」ことを強調した。
V型12気筒DOHC 直噴6.3リッターエンジンをフロントミッドに搭載するF12 ベルリネッタ。最高出力は545kW(740PS)/8250rpm、最大トルク690Nm/6000rpmを発生する |
ボンネット中央に排熱用ダクトが備わる | ボンネットを使ってダウンフォースを発生させる「エアロ・ブリッジ」。デザイン上の特徴の1つでもある | |
高温下でのみ冷却エアインテークが開く「アクティブ・ブレーキ・クーリング」 |
インテリア。ダッシュボードには航空分野にインスパイアを受けたカーボン・ファイバーと、軽合金製のエア・ベントをレイアウトした。また、助手席側のダッシュボードにはオプションのパッセンジャー・ディスプレイを備え、エンジン回転数や速度表示などが可能 |
F12 ベルリネッタの詳細に関する説明は、バッシ氏から行われた。
F12 ベルリネッタは599と比べ、0-100km/h加速は0.6秒速い3.1秒、0-200km/h加速は2.5秒速い8.5秒、最高速は10km/h速い340km/h、フィオラノでのラップタイムは3.5秒速い1分23秒であるとし、これらを実現したさまざまな技術について説明した。
V12エンジンは740PS/690Nmを発生するが、その一方で燃費消費率は15L/100km、そしてCO2排出量は350g/kmと、599比で約30%の削減に成功した。その成功の背景に、エアインテーク部の体積を599よりも拡大したほか、200barという高圧の直噴システムを採用したこと、13.5という高圧縮比としたこと、マルチスパークイグニッションを採用したことなどを挙げた。
一方、ボディーサイズは4618×1942×1273(全長×全幅×全高)、ホイールベース2720mmとし、599からホイールベースが30mm短縮されたほか、エンジン(599比-30mm)やダッシュボード、シートなどはシャシーの低い位置に配置された。さらに新型のサスペンションとギアボックスのレイアウトによって車両後部がコンパクトになるなど、結果として599よりも47mm短く、20mm狭く、64mm低くなった。
エンジンのトルク&出力カーブ | 7速F1デュアルクラッチトランスミッションは低回転域からより高いトルクを発生するギアレシオとした |
6-1レイアウトのエキマニのチューブを等長とし、エンジンサウンドの高音域を最適化した | 740PSで「ドライブする楽しさ」を実現するさまざまなシーン |
599比で全高を64mm低くした | 全幅は20mm狭くした |
全長は47mm短くした | ホイールベースは30mm短くした |
エンジン搭載位置も低くレイアウトしたほか、エンジン自体のコンパクト化も図られた | ギアボックスと燃料タンクの位置 | シート位置も低くなった |
重心位置は25mm低くなった | 重量は70kg軽くなった |
また、シャシーとボディーシェルは新設計され、乾燥重量は599よりも50kg軽い1525kgとした。これらには12種類の異なるアルミニウム合金が使用され、ねじり剛性は20%、サスペンションとエンジンポイントの動剛性は100%向上したと言う。
さらに、ブレーキはカーボンセラミック(CCM3)を採用したほか、改良型の磁性流体サスペンション「SCM-E」や電子制御デファレンシャル「E-diff」、トラクションコントロールシステム「F1-Trac」、スタビリティコントロール「ESC」などを搭載。これにより、200-0km/h制動距離を599よりも7m短縮するとともに、コーナーアウト時の前後方向加速を28%向上させるなどしている。
エアロダイナミクスでもっとも注目なのは、ボンネットを使ってダウンフォースを発生させる「エアロ・ブリッジ」と、高温下でのみ冷却エアインテークが開く「アクティブ・ブレーキ・クーリング」の2つのソリューション。
このエアロ・ブリッジの開発にあたり、PC上での演算に5000時間、風洞実験に250時間を費やしたと言い、これによりダウンフォースは599よりも13%向上、空気抵抗は3%低減しており、ダウンフォースは200km/hで123kg(599は70kg)、Cd値は0.299と、歴代モデルの中でももっとも優れた空気力学的効率を誇る。
F1ドライバーのフェルナンド・アロンソとフェリペ・マッサがF12 ベルリネッタに試乗した際の模様もビデオで流された |
(編集部:小林 隆)
2012年 7月 5日